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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月11日

塾は放課後のサードプレイスになるか|放課後の居場所とプログラムの研究

35研究をまとめたLauerら(2006)では、学習上の支援が必要な子どもの学校外プログラムに、読み・算数の小さい改善が見られました。武蔵境で図書館の閲覧席を利用する子を見ながら、家庭の外に落ち着ける場所を持たせたいと考える保護者もいるでしょう。塾や自習の場は、勉強するだけでなく、家でも学校でもない居場所になり得るのでしょうか。

この記事の要点
  • 第三の居場所は、家庭や学校とは別にくつろげる場所を考える言葉です。
  • 放課後プログラムでは、活動の順序や練習の機会、目的の明確さが結果と関係していました。
  • 学習支援では読み・算数の改善が見られる一方、出席や問題行動には明確な改善が出ていない統合研究もあります。
  • 家庭では、安心して過ごせるか、必要な支援を使えるか、生活の負担が増えていないかを分けて記録します。

塾は放課後のサードプレイスになるか|放課後の居場所とプログラムの研究

35研究をまとめたLauerら(2006)では、学習上の支援が必要な子どもの学校外プログラムに、読み・算数の小さい改善が見られました。武蔵境で図書館の閲覧席を利用する子を見ながら、家庭の外に落ち着ける場所を持たせたいと考える保護者もいるでしょう。塾や自習の場は、勉強するだけでなく、家でも学校でもない居場所になり得るのでしょうか。

塾が第三の居場所になる可能性はありますが、居心地のよさと学習の成果は分けて確かめ、そこで行う活動まで見て選ぶことが大切です。 席があること、安心して過ごせること、つまずいたときに助けを求められることは、それぞれ異なる条件です。学習の予定が整っていても、子どもが休みたいと言い出せなければ、本人にとっての使いやすさは変わります。反対に、落ち着いて過ごせるようになったことを、すぐに点数へ置き換えて評価する必要もないでしょう。

放課後の研究を読むときは、居場所の名前より、活動の目的と比べた相手に目を向けます。人との関わりを練習する活動、読みの指導、自由に過ごす時間では、確かめる成果が違うためです。保護者と子どもが同じ場所に別の役割を期待しているなら、まずその違いを言葉にするところから始められます。

要点

  • 第三の居場所は、家庭や学校とは別にくつろげる場所を考える言葉です。
  • 放課後プログラムでは、活動の順序や練習の機会、目的の明確さが結果と関係していました。
  • 学習支援では読み・算数の改善が見られる一方、出席や問題行動には明確な改善が出ていない統合研究もあります。
  • 家庭では、安心して過ごせるか、必要な支援を使えるか、生活の負担が増えていないかを分けて記録します。

「サードプレイスの意味」で探す人へ:第三の居場所と学習支援の違い

サードプレイスは、家庭や職場、子どもなら学校のほかに、くつろいで過ごせる場所を指す社会学の言葉です。教育の場面では、家や学校とは違う関わり方ができる場所を考える手掛かりになります。「通う場所が増えた」という事実と、「そこにいると気持ちが落ち着く」という本人の感覚を分けると、この言葉の意味を捉えやすくなります。塾であっても図書館であっても、建物の種類だけで子どもの居心地は決まりません。

保護者が期待するのは、宿題に取りかかることかもしれません。一方、子どもは学校の出来事から離れ、自分のペースを取り戻す時間を求めていることがあります。この食い違いを残したまま「よい居場所だから」と予定を増やすと、過ごし方をめぐる話し合いがかみ合いません。先に、落ち着くための時間と学ぶための時間のうち、今は何を大切にしたいのかをすり合わせます。

研究でいう放課後プログラムには、活動の内容や目標が組まれた取り組みが含まれます。Durlakら(2010)がまとめたのは、子どもや青少年の、自分を扱う力や人と関わる力を育てようとする活動です。Lauerら(2006)は、学習面で支援が必要な子どもへの学校外の取り組みを扱っています。ともに、席を使えるようにすることとは別に、何を学ぶかという中身に注目した研究です。

家庭で場所の役割を考えるなら、「ここではどのように過ごせると助かるか」と本人に尋ねます。答えが「人と話さずに休みたい」なら、交流の多さを魅力として説明しても期待は重なりません。「困った問題を聞けると助かる」なら、質問できる場面や相手が重要になります。第三の居場所という呼び名を決める前に、本人が必要としている過ごし方を具体的にします。

成果のある活動には、順序と練習の機会がある

Durlakら(2010)は、複数の研究をまとめて計算し直すメタ分析で、活動に参加した子どもと対照となる子どもを比べました。参加した側では、自分への捉え方、学校への結びつき、周囲との望ましい関わり、学校の成績や学力に改善が見られ、問題行動も減っていました。対照群とは、調べたい取り組みの成果を判断するために置く比較相手のことです。結果を読む際は、参加者の変化だけでなく、この比較がある点を押さえます。

同じ統合では、Durlakら(2010)が挙げた4つの実践が、複数の成果の違いと関係していました。内容は「順序立てる」「能動的に取り組む」「育てる力に焦点を当てる」「目標を明示する」です。能動的とは、説明を聞くだけで終わらず、本人が実際にやってみることを意味します。活動に筋道があり、何を練習しているのかが子どもにも伝わる設計が注目されていました。

これを家庭で見られる形に置き直すと、活動の説明を聞くときの観点になります。たとえば人に助けを求める練習なら、困っていることを言葉にし、伝え方を試し、相手の反応を受けて振り返る流れが考えられます。「自主性を育てる」という説明だけでなく、子どもが実際に何をする時間なのかを確かめます。これは研究の活動を再現する手順ではなく、内容を具体的に聞くための例です。

塾の自習の場でも、課題を選ぶ、取り組む、行き詰まった箇所を整理する、といった動きに分けて見られます。大人が答えを示して終わる場合と、子どもが自分の困り方を説明する機会がある場合では、している活動が違います。どちらが今の子どもに必要かは、理解の状態と本人の希望を合わせて考えます。居心地を守りながら、必要なときに活動へ入れる仕組みがあるかが、具体的な確認点になります。

読み・算数の改善は、場所より支援の中身から読む

Lauerら(2006)は、対照群や比較群を置いた35研究をまとめ、学習面で支援が必要な子どもの読み・算数への影響を調べました。放課後や夏季など、学校の通常の授業時間外に行う活動が対象です。結果は、読みと算数の両方に、小さいものの統計的に有意な改善があるというものでした。有意とは、研究で採用した統計的な基準で、偶然のばらつきだけでは説明しにくい差と判断されたことです。

差の大きさを、得点のばらつきなどを物差しにして表す数を効果量と呼びます。Lauerら(2006)では、読みの個別の指導を含むなど、特定の特徴を持つプログラムで、より大きい効果量が見られました。注目したいのは、学校の外にいる時間だけをまとめて評価していないことです。読みで何に困っているのかに対応する支援が含まれるかどうかを、活動の特徴として見ています。

また、Lauerら(2006)では、放課後に実施するか、夏季に実施するかで効果の違いは見られませんでした。家庭の判断に置き直すなら、時間帯の名称よりも、その時間に受ける支援を先に確かめる読み方ができます。文章の内容を捉えにくい子に必要な関わりと、課題は理解しているものの着手のきっかけを求める子の支え方は異なります。どちらにも同じ課題を渡すだけでは、本人の困り方が見えにくくなります。

たとえば、自習のあとに「宿題が終わった」と話した場合、終えたことを受け止めたうえで、困った箇所をどう進めたかを聞きます。自力で考え直したのか、説明を聞いて納得したのか、答えを書き写したのかで、次に必要な支援は変わります。子どもが説明しにくい日は、教材の途中の跡を一緒に見る方法もあります。滞在の長さを成果とするより、学習中に使えた支援と残った課題を記録するほうが、次の相談につながります。

出席や問題行動まで同じように変わるとは限らない

Kremerら(2015)は、学習や生活に困難を抱える子どもの放課後プログラムについて、24研究を集めた統合を行いました。調べた成果は学校への出席と、攻撃的な行動など外に表れる問題行動です。比較対象との平均的な差はどちらも小さく、統計的に有意ではありませんでした。研究間の結果のばらつきに加え、調査方法上の重要な弱点も指摘されています。

この結果は、「放課後に行く先ができれば、学校の出席も自然に変わる」と期待を重ねる前に読む必要があります。Kremerら(2015)が明確な改善を示せなかったのは、出席と外に表れる行動という成果です。これに対して、Lauerら(2006)が調べたのは読み・算数の学習でした。調べた子ども、活動、比較条件、成果の種類をそろえて読むと、別の結果が並ぶ理由を捉えやすくなります。

期待されやすいこと 研究の結果 比べた相手 対象と活動
人との関わりや学習を支えられる Durlakら(2010)では自己認識、学校との結びつき、成績などが改善 各研究の対照群 子ども・青少年の個人的・社会的な力を育てる放課後活動
学校外で学べば読み・算数が伸びる Lauerら(2006)では平均では小さい改善 各研究の対照群・比較群 学習面で支援を要する子どもの学校外プログラム
行く場所があれば出席や行動も改善する Kremerら(2015)では平均的な差は小さく、有意ではない 各研究で設定された比較対象 困難を抱える子どもの放課後プログラム

保護者が記録するときも、「よくなった」という欄だけにまとめず、過ごしたときの様子、学習で進んだこと、学校の出席を分けます。落ち着いて過ごせた日があれば、それは本人にとってどうだったかを聞く材料になります。学習の進みが少なかった日は、休息を選んだのか、支援を求められなかったのかを区別します。異なる変化を別々に受け止めると、本人に期待を背負わせすぎずに話し合えます。

居心地を損なう使い方と、今は合わない子

放課後の予定を考えるときは、活動を増やす利点とともに、本人が使える余力にも目を向けます。ここから挙げるのは、家庭で負担を見つけるための確認例です。帰宅後に休む時間がなくなる、行く前から予定を気にし続ける、やめたいと言えずにいる、といった変化を見ます。学ぶ機会を増やしたつもりでも、本人には義務が増えたと感じられる場合があります。

人との交流を楽しむ子に合う活動でも、放課後は人と話すことから離れたい子には負担になり得ます。困ったときにすぐ声をかけてほしい子と、考えをまとめる間は待ってほしい子でも、望む関わりは違います。子どもが話さないことを、関心がないという評価に直結させないことが大切です。「話す」「書いて伝える」「あとで伝える」など、希望を表す方法も本人と相談できます。

また、学習の遅れを補うことが主な目的なら、本人が落ち着けるという評価に加えて、必要な内容に取り組めているかを見ます。反対に、まず気持ちを休める時間を求めているとき、毎回の学習成果の報告を求めると、そこでも評価されると感じる可能性があります。どちらの場合も、利用の目的が途中で変わっていないかを見直します。初めに保護者が決めた目標を、そのまま本人の目標として扱わないようにします。

負担が気になるときは、すぐに場所全体の良し悪しを決めるより、何が重いのかを分けます。移動なのか、活動の量なのか、人とのやり取りなのかによって、調整する箇所が変わるためです。休む日を選べるか、途中で活動を切り替えられるか、困り事を誰に伝えるかを先に決めておきます。続けることだけを成功にせず、本人の状態に合わせて使い方を変える余地を残します。

家庭では、希望と実際の過ごし方を照らし合わせる

はじめに、保護者が望むことと子どもが望むことを別々に短く書きます。保護者が「課題を進めたい」、子どもが「家へ帰る前に気持ちを切り替えたい」と考えていても、すぐにどちらかへそろえる必要はありません。両方の希望を満たせる過ごし方があるか、本人と相談します。利用する場所の仕組みを聞くときも、希望が具体的なほど必要な条件を尋ねやすくなります。

  • 過ごし方:休む、学ぶ、話す時間を本人がどう選べるか。
  • 学習支援:課題に詰まったとき、誰にどのように伝えられるか。
  • 活動内容:取り組む順序と目的が子どもに伝わっているか。
  • 負担:移動や帰宅後の予定まで含めて、無理が生じていないか。
  • 見直し:休む、減らす、活動を変える希望を出せるか。

実際に利用したあとは、毎回長い感想を聞くより、本人が話せる範囲の具体的な出来事を残します。「落ち着いていた」と保護者が感じた場合も、本人はどう感じたかを添えます。学習については、取り組んだ内容、助けを使った場面、次に残した課題を簡潔に記録します。感想と学習の記録を並べると、居心地はよいが支援が足りない、といった違いも見えます。

見直す際には、通った回数の多さより、最初に書いた希望と実際の過ごし方を比べます。子どもが落ち着けるようになり、質問もしやすいと話すなら、その条件を保てる使い方を考えます。疲れが強いなら予定を調整し、学習の困り事が残るなら支援内容を相談します。家庭や学校以外に安心して過ごせて、必要なときには学びにも向かえる条件がそろうとき、塾はその子にとって第三の居場所の役割を担い得ます。

よくある質問

勉強があまり進まなくても、居場所として使う意味はありますか

まず、そこで何を得たいのかを本人と確かめます。落ち着いて過ごすことを求めているなら、その感覚と学習の進みは別々に受け止められます。ただし学習の支援も必要なら、進まない理由を課題の難しさ、助けを求める方法、活動の量などに分けて見ます。安心して過ごせたという変化を認めながら、学習面で残った困り事を次の相談へつなげることが大切です。

楽しく通っているなら、学習にもよい場所と考えてよいですか

楽しさは本人の居心地を知る手掛かりになります。学習については、何に取り組み、どこで助けを使い、何を理解したかも確かめます。Lauerら(2006)の結果でも、読みの指導など活動の特徴によって成果の大きさに違いがありました。通いたいという気持ちを大切にしつつ、学習を目的とする部分では必要な内容に取り組めているかを見ます。

学校を休みがちな子にも、放課後の場所を増やすべきですか

場所を増やすことを先に決めず、本人が何に困り、どのように過ごしたいかを聞きます。Kremerら(2015)の統合では、学校への出席に明確な改善は出ていませんでした。学校へ行くための段階として利用を求める前に、その場所自体が本人の望む過ごし方に合うかを考えます。出席の変化だけを評価の基準にせず、本人の負担や安心して過ごせる条件について、学校の先生と相談する進め方が考えられます。

この記事の限界

測定されたのは成績、自己認識、出席、行動などで、子どもが塾を第三の居場所と感じること自体の効果を直接比べた研究ではありません。取り上げたのは米国など海外の子ども・青少年を扱う統合研究で、対象学年や活動期間、比較条件が異なるため、日本の塾でどれほど続ければ同じ変化が出るかは定まりません。

Kremerら(2015)が指摘する研究方法の弱点もあり、出席や行動についての確実性には幅があります。登校の困り事や強い負担が続く場合は、居場所の選択だけに解決を求めず、本人の希望と日々の様子を学校の先生や専門家に伝えて相談することが大切です。 その場所に求める過ごし方を、保護者の期待と子どもの希望に分けて言葉にできますか。

参考文献

  1. Durlak JA, Weissberg RP, Pachan M. A Meta-Analysis of After-School Programs That Seek to Promote Personal and Social Skills in Children and Adolescents. American Journal of Community Psychology. 2010;45(3-4):294-309. doi:10.1007/s10464-010-9300-6
  2. Lauer PA, Akiba M, Wilkerson SB, Apthorp HS, Snow D, Martin-Glenn ML. Out-of-School-Time Programs: A Meta-Analysis of Effects for At-Risk Students. Review of Educational Research. 2006;76(2):275-313. doi:10.3102/00346543076002275
  3. Kremer KP, Maynard BR, Polanin JR, Vaughn MG, Sarteschi CM. Effects of After-School Programs with At-Risk Youth on Attendance and Externalizing Behaviors: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Youth and Adolescence. 2015;44(3):616-636. doi:10.1007/s10964-014-0226-4

わからなくなった単元まで、講師と二人で戻ってやり直す。

  • 向く人: 集団授業で質問できないまま進み、どこでつまずいたのか分からなくなった中学生・高校生
  • 向く人: 苦手な科目を、つまずいた単元まで戻って一対一でやり直したい人
  • 向かない人: 大勢と競い合う中で力が出る子や、集団授業の速い進度を求める人
  • 向かない人: 塾に通うだけで成績が変わると考え、家で手を動かす時間を取れない人

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よくある質問

勉強があまり進まなくても、居場所として使う意味はありますか

まず、そこで何を得たいのかを本人と確かめます。落ち着いて過ごすことを求めているなら、その感覚と学習の進みは別々に受け止められます。ただし学習の支援も必要なら、進まない理由を課題の難しさ、助けを求める方法、活動の量などに分けて見ます。安心して過ごせたという変化を認めながら、学習面で残った困り事を次の相談へつなげることが大切です。

楽しく通っているなら、学習にもよい場所と考えてよいですか

楽しさは本人の居心地を知る手掛かりになります。学習については、何に取り組み、どこで助けを使い、何を理解したかも確かめます。Lauerら(2006)の結果でも、読みの指導など活動の特徴によって成果の大きさに違いがありました。通いたいという気持ちを大切にしつつ、学習を目的とする部分では必要な内容に取り組めているかを見ます。

学校を休みがちな子にも、放課後の場所を増やすべきですか

場所を増やすことを先に決めず、本人が何に困り、どのように過ごしたいかを聞きます。Kremerら(2015)の統合では、学校への出席に明確な改善は出ていませんでした。学校へ行くための段階として利用を求める前に、その場所自体が本人の望む過ごし方に合うかを考えます。出席の変化だけを評価の基準にせず、本人の負担や安心して過ごせる条件について、学校の先生と相談する進め方が考えられます。