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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月11日

最後に伸びる受験生はどれくらいいるか|模試の判定と成績予測の外れ方の研究

三者面談の前夜、武蔵境で大学受験を控えた子の模試結果を並べながら、志望先をどう話そうかと迷う保護者もいるでしょう。判定の厳しさは気になる一方、本人が取り組んできた答案には前より書けた箇所も見つかります。今の判定が低くても、最後に伸びて合格する人はどれくらいいるのでしょうか。ここで扱う研究からその割合は算出できませんが、予測を読むときは、一致の程度と、高め・低めのどちらに外れたかを分けることが大切です。

この記事の要点
  • 教師の判断と試験の成績に関連があることと、将来の結果を正確に言い当てることは別です。
  • 予測の外れは、高めに見積もる場合と低めに見積もる場合で、進路選択への意味が変わります。
  • 合格した人の話だけから、最後に伸びる人の割合を決めないようにします。
  • 面談には判定だけでなく、見通しの根拠となった時点と、その後の答案の変化を持ち寄ります。

最後に伸びる受験生はどれくらいいるか|模試の判定と成績予測の外れ方の研究

三者面談の前夜、武蔵境で大学受験を控えた子の模試結果を並べながら、志望先をどう話そうかと迷う保護者もいるでしょう。判定の厳しさは気になる一方、本人が取り組んできた答案には前より書けた箇所も見つかります。今の判定が低くても、最後に伸びて合格する人はどれくらいいるのでしょうか。ここで扱う研究からその割合は算出できませんが、予測を読むときは、一致の程度と、高め・低めのどちらに外れたかを分けることが大切です。

「まだ伸びる」と励ましたい気持ちと、進路を具体的に考えたい気持ちは両立します。そのためには、成績が上がること、予測を上回ること、合格することを別々に捉える必要があります。予測よりよい結果でも、以前より学力が大きく伸びたとは限りませんし、学力の伸びだけで進路の結果が決まるわけでもありません。面談では、子どもの可能性を言い当ててもらうより、いまの見通しがどの資料に基づき、どんな変化があれば更新されるのかを聞くと、話が具体的になります。

要点

  • 教師の判断と試験の成績に関連があることと、将来の結果を正確に言い当てることは別です。
  • 予測の外れは、高めに見積もる場合と低めに見積もる場合で、進路選択への意味が変わります。
  • 合格した人の話だけから、最後に伸びる人の割合を決めないようにします。
  • 面談には判定だけでなく、見通しの根拠となった時点と、その後の答案の変化を持ち寄ります。

大学受験で最後に伸びる子を、予測の外れと混同しない

受験の話では、「予想外の合格」と「終盤の急成長」が同じ意味で語られがちです。しかし、予想した人がもともとの力を低く見ていた場合にも、結果は予想を上回ります。本人の力が変わった場合と、予測のほうにずれがあった場合では、確かめる資料が違います。前者には時点をそろえた学習の記録、後者には予測と実際の結果の組み合わせが必要です。

「どれくらい」という問いに答えるには、まず何を伸びと呼ぶかを決めることになります。模試の得点が上がることなのか、本人の予測成績を上回ることなのか、志望先に合格することなのかで、数える対象が変わります。また、最後という時期の区切りと、どの受験生全体を追うのかもそろえる必要があります。成功した人だけの振り返りは努力の内容を知る材料になりますが、同じ出発点にいた人全体の結果を示す資料とは役割が違います。

たとえば、学校の先生が控えめな見通しを示していても、その後に本人の答案が安定してくれば、面談で話す材料が増えます。反対に、本人の手応えがよくても、予測の根拠にした課題と本番で問われる内容が離れていれば、その違いを確かめたいところです。こうした確認は、伸びる性格や伸びない性格を決めるためのものではありません。今の見通しに何が含まれていて、何を追加して考えるかを明らかにするために行います。

家庭では「伸びる子かどうか」という呼び方をいったん外し、「前の予測に使った材料から何が変わったか」と捉え直せます。努力した時間の印象と、答案で示せる理解の変化も分けて話すとよいでしょう。子ども自身の希望を聞く時間を残しながら、判断の根拠を机上に置いて比べることができます。見通しを更新する余地を持つことは、楽観にも悲観にも決めつけないための実務です。

教師の判断は成績と関連するが、相関は的中率ではない

Südkampら(2012)は、教師による学力の判断と、標準テストの成績の関係を調べた75研究を、メタ分析でまとめました。メタ分析では、複数の研究が報告した結果を統合し、この場合は教師の判断と試験成績の結びつきを計算し直します。標準テストは、共通の手順や基準で成績を測るための試験を指します。学校種、学年、教科の異なる研究を統合したところ、平均の相関は0.63でした。

相関は、ある評価が高い人ほど別の評価も高い傾向が、どれほどそろっているかを表します。教師が高く評価した生徒ほど試験でも高い成績を取る傾向があるなら、正の相関になります。一方、教師が生徒全体を高めに見積もっていても、評価の高低の並びが似ていれば相関は高くなりえます。したがって、関連の強さを見る数字と、予測した成績がそのまま実現した割合は、別の物差しとして読みます。

Südkampら(2012)の統合では、情報を与えられた教師の判断は、そうでない判断より実際の学力との一致が高いという結果でした。ここで比べたのは、情報の有無などが異なる判断と標準テストとの関係です。教え方を変えた組と変えなかった組の成績向上を比べたものではありません。家庭で活かすなら、「よく見てもらっているから安心」と止めずに、どの教科のどんな資料を判断に使ったかを聞く方向につながります。

この区別を踏まえると、面談での説明を受け止めやすくなります。「普段の課題では理解が進んでいる」と「試験の時間内に答案を仕上げられる」は、判断の根拠として別々に整理できます。どちらの情報も子どもの現状の一部であり、食い違いがあれば、その理由を話し合う入口になります。学校の先生と家庭が持つ情報を並べ、見通しが何に支えられているかを確かめましょう。

英国の予測成績は、高めに外れる場合が多かった

Murphy・Wyness(2020)は、英国の大学出願について3年分のデータを使い、予測成績と実際の試験成績を比較しました。この仕組みでは、生徒は実際の結果が出る前に、予測された試験成績を使って出願します。予測成績が実際と一致した出願者は16%で、75%は実際より高く予測されていました。この結果が表すのは、予測と結果のずれの分布です。

同じMurphy・Wyness(2020)の研究では、成績上位で不利な家庭環境にある生徒は、低めの予測を受けやすい傾向がありました。また、低めに予測された出願者は、本人の学力に比べて要求水準の低い課程に進みやすいことが示されました。全体として高めに予測する傾向があっても、どの生徒にも同じ方向のずれが生じるわけではありません。平均的な外れ方だけを見ると、特定の生徒が低く見積もられる問題を見落とします。

予測が高めなら、届くことを前提に進路を考えすぎる心配があります。低めなら、現在の力に見合う候補を検討から外す心配があります。どちらのずれでも、保護者が根拠を聞く意味はあります。「厳しい見通しだから正確」「明るい見通しだから無責任」と、説明の調子だけで選ばないことが大切です。

英国で出願に使う予測成績を調べると、全体の傾向と生徒の背景による違いが見えてきます。家庭で持ち帰りたいのは、予測には方向のあるずれが含まれうるという読み方です。厳しい評価への疑問は、結果を無視する理由にするより、使われた資料が最新かを聞く形にすると話し合いやすくなります。楽観的な評価についても、どの条件が続くことを見込んでいるかを同じように確認します。

比べている相手をそろえると、研究の読み違いを減らせる

教師の判断と試験結果がよく対応するという研究と、予測成績が実際に一致する割合は低いという研究は、矛盾しているように見えます。しかし、前者は評価の高低がどれほど対応するか、後者は予測した成績がどの方向にずれたかを見ています。さらに、現在の学力を見立てることと、後の試験成績を見通すことにも違いがあります。以下の表は、数字を並べて優劣をつけるためではなく、何と何を比べた研究かを読むためのものです。

よく言われること 研究で捉えたこと 比べた相手 対象
教師には学力がわかる 教師の判断とテスト成績には関連がある(Südkampら、2012) 教師の判断と標準テストの成績 学校種・学年・教科の異なる学校研究
予測した成績どおりになる 一致だけでなく、高め・低めのずれがある(Murphy・Wyness、2020) 出願時の予測成績と後の実際の成績 英国の大学出願者
低い予測は安全な判断だ 低めの予測と、力に比べて要求水準の低い課程への進学が関連した(Murphy・Wyness、2020) 予測のずれ方と進学した課程 英国の大学出願者

家庭で説明を聞くときも、この表と同じ順番で整理できます。まず、話題になっているのが現在の理解なのか、将来の試験成績なのか、進路の結果なのかを明らかにします。次に、その見立てを何と比べて確かめたのかを聞きます。予測の対象が途中で変わると、「当たる」という言葉の意味まで変わってしまうからです。

「前にも似た生徒がいた」という説明なら、似ているのは現在の得点、取り組んでいる課題、受ける試験のどの部分かを聞けます。「最近よくなった」という説明なら、見通しに反映された答案を示してもらうと、家庭にも変化が伝わります。子どもが自分で説明できる改善点も加えれば、大人の評価だけで話を終えずに済みます。数字の強さだけを比べるより、見通しに含まれる情報の中身をそろえるほうが、次の判断を具体化できます。

大きな上下を、期待や失望に直結させない

Barnett・van der Pols・Dobson(2005)は、医学の例を使った総説で、平均への回帰を説明しています。これは、極端に高い値や低い値の後に、平均に近い値が出やすくなる現象で、繰り返し測る際の自然な変動が本当の変化のように見えることがあります。測定の誤差が大きい場合や、初めの極端な値で対象を選んだ場合には、影響が目立ちます。受験直前の大きな上下を読む際も、測定のぶれが混ざる可能性を考え、同じ条件での記録を並べる視点が役立ちます。

そのうえで、家庭の記録では「見えている変化」と「そこから考えた見通し」を分けて書くと整理しやすくなります。答案の空欄が減ったことは観察した事実ですが、そこから志望先に届くと考えることは見通しです。逆に、結果が下がった事実と、もう伸びないという判断も別です。事実を詳しくするほど、面談で尋ねたい点を絞りやすくなります。

気をつけたいのは、上がった結果だけを本来の力とし、下がった結果をすべて偶然として片づける読み方です。その逆に、悪い結果だけを重く受け止めると、実際に改善した箇所を見落とします。どちらの場合も、採用する記録が気持ちに引っ張られてしまいます。よい結果と厳しい結果を同じ基準で残し、違いを説明できる材料を探しましょう。

家庭での使い方として、とくに避けたいのは、予測がよくなるまで何度も説明を求め、本人に安心の証拠を出させることです。判定の話だけで疲れている子には、その進め方が負担になりえます。反対に、見通しを低く固定して本人の希望を話題から外すと、必要な情報を持ち寄る機会も失います。予測を話す日と、目の前の課題に取り組む時間を区切り、本人が話せる範囲から始めるという方法が考えられます。

面談では、予測を更新する材料と条件を持ち帰る

三者面談で持ち帰りたいのは、将来についての強い断言より、次に何を見れば判断が進むかという共通理解です。家庭からは、最近の結果と本人の説明を分けて伝えます。学校の先生には、見通しの根拠となった資料と、その後の変化が含まれているかを聞きます。以下は研究の結果を家庭の確認に置き直した手順であり、面談の準備として使うためのものです。

たとえば、理解は進んでいるのに時間内の答案が安定していないという説明なら、次に確かめる対象は明確です。学習量を増やしたという報告だけでなく、時間を区切った場面で何ができたかを残せます。説明が「まだ可能性はある」にとどまる場合には、その可能性を支える現在の材料を聞きます。反対に厳しい見通しなら、課題のどこが判断を左右しているかを確認します。

家庭と学校で見方が違っても、どちらかを直ちに否定する必要はありません。家庭は落ち着いて取り組む様子を見ており、学校は限られた時間の中での答案を見ているという違いも考えられます。見た場面と資料をそろえれば、認識の差を話し合えます。本人の希望は希望として残し、予測の根拠は根拠として更新する形を目指します。

面談後のメモには、結論だけでなく、その理由も添えます。そうすると次の結果が出た際に、以前の説明のどの部分が変わったのかをたどれます。最後の伸びを待つという曖昧な構えから、変化を確かめながら考える構えへ移れます。次の面談に向けて、今の見通しを更新するために、どの答案や学習の記録で何を確かめますか。

よくある質問

判定が悪いままでも、志望先を残してよいですか

志望先への希望と、現時点の見通しを分けて話すところから始められます。希望を持っていること自体を、予測が正しいかどうかの争点にしなくてよいのです。面談では、判断に使った資料と、これから確かめる課題を聞き、別の進路候補について話す時間も設けます。本人が何を重視しているかを含めて考えると、判定を受け入れるか無視するかだけの話から離れられます。

学校の先生と家庭で見通しが違うときはどうしますか

双方が見ている資料の時点と、評価している内容を確かめます。家庭で解き直せることと、試験中に自力で解けることを別に記録すれば、説明の食い違いを具体的に扱えます。本人にも、できるようになった箇所と、まだ迷う箇所を聞きましょう。誰の見立てを信じるかで対立するより、次の判断に使う資料を共有するほうが話を進めやすくなります。

予測よりよい成績なら、急に伸びたと考えてよいですか

まず確かめたいのは、実際の成績が前の自分の結果からどう変化したかです。予測を上回ったという事実は、予測との差を示しており、以前からの学力の伸びとは比較の相手が違います。同じ内容を自力で扱えるようになったか、条件をそろえた答案でも変化が続くかを見ます。よい結果を喜びながら、何が改善したかを本人の言葉と答案で残すと、次の相談にも使えます。

この記事の限界

対象は学校種や学年の異なる教師判断の研究と英国の大学出願者で、日本の受験直前期を同じ条件で追跡した集団ではありません。英国の出願用の予測成績と日本の模試判定は仕組みが違い、ここで参照した研究には日本の模試判定の的中率や、終盤に伸びて合格した人の割合を直接測った査読研究は含まれません。

成績予測のずれに関する結果は、終盤の学習支援の効果や個々の合否を確定する根拠ではなく、平均への回帰の総説も受験生の伸びを測ったものではありません。本人の体調、学習上の困難、進路の希望が関わる判断は、答案と経過を持って学校の先生や必要に応じた専門家と相談することが大切です。 次の面談では、その見通しがどの答案や変化を根拠にしているのか、本人と一緒に尋ねられますか。

参考文献

  1. Südkamp A, Kaiser J, Möller J. Accuracy of teachers’ judgments of students’ academic achievement: A meta-analysis. Journal of Educational Psychology. 2012;104(3):743-762. doi:10.1037/a0027627
  2. Murphy R, Wyness G. Minority report: the impact of predicted grades on university admissions of disadvantaged groups. Education Economics. 2020;28(4):333-350. doi:10.1080/09645292.2020.1761945
  3. Barnett AG, van der Pols JC, Dobson AJ. Regression to the mean: what it is and how to deal with it. International Journal of Epidemiology. 2005;34(1):215-220. doi:10.1093/ije/dyh299

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よくある質問

判定が悪いままでも、志望先を残してよいですか

志望先への希望と、現時点の見通しを分けて話すところから始められます。希望を持っていること自体を、予測が正しいかどうかの争点にしなくてよいのです。面談では、判断に使った資料と、これから確かめる課題を聞き、別の進路候補について話す時間も設けます。本人が何を重視しているかを含めて考えると、判定を受け入れるか無視するかだけの話から離れられます。

学校の先生と家庭で見通しが違うときはどうしますか

双方が見ている資料の時点と、評価している内容を確かめます。家庭で解き直せることと、試験中に自力で解けることを別に記録すれば、説明の食い違いを具体的に扱えます。本人にも、できるようになった箇所と、まだ迷う箇所を聞きましょう。誰の見立てを信じるかで対立するより、次の判断に使う資料を共有するほうが話を進めやすくなります。

予測よりよい成績なら、急に伸びたと考えてよいですか

まず確かめたいのは、実際の成績が前の自分の結果からどう変化したかです。予測を上回ったという事実は、予測との差を示しており、以前からの学力の伸びとは比較の相手が違います。同じ内容を自力で扱えるようになったか、条件をそろえた答案でも変化が続くかを見ます。よい結果を喜びながら、何が改善したかを本人の言葉と答案で残すと、次の相談にも使えます。