- 親がどちらを学業面で有能と見ているかは、その後のきょうだいの成績差と関連していました。
- 成績の差と、その教科や学習への興味の差にも、時間を隔てたつながりが見られました。
- 親の温かい接し方がきょうだいより減った子では、気分の落ち込みやきょうだい仲の変化との関連がありました。
- 同じ接し方のつもりでも、親と子どもの受け止め方にはずれが生じます。
- 家庭での確認は、本人の過去の答案と、本人が必要としている助けを軸に進めます。
保護者がきょうだいの成績を比べると|きょうだい間の比較と自己評価の研究
きょうだいの通知表を続けて開くと、上の子にはすぐ出たねぎらいの言葉が、下の子の欄を見たところで止まることがあります。武蔵境で学習の相談先を考える保護者にとっても、身近にいるきょうだいの成績は、つい目が向く比較の相手です。同じように育てているつもりなのに差があると、教え方を変えるべきか、もっと励ますべきかと迷います。こうした比較は、子どもの成績や自分への見方にどう関わるのでしょうか。
親が抱く能力の見方は後のきょうだいの成績差と関連しており、家庭では優劣を伝えるより、本人の前回からの変化と必要な助けを話すことが出発点になります。 比較が頭に浮かぶことと、その比較を子どもへの評価として口にすることは分けて考えられます。通知表を読む目的を「どちらができるか」から「今、何を支えればよいか」へ移す余地があります。その際には成績だけでなく、話を聞く姿勢や、子どもが感じている公平さにも目を向けます。
研究が取り上げるのは、親の能力評価、接し方の差、家族それぞれの受け止め方です。この違いを押さえると、「比べてはいけない」と自分を責めるだけで終わらずに済みます。通知表の結果を次の学習につなぐために、まず何を比較しているのかをほどいていきましょう。
要点
- 親がどちらを学業面で有能と見ているかは、その後のきょうだいの成績差と関連していました。
- 成績の差と、その教科や学習への興味の差にも、時間を隔てたつながりが見られました。
- 親の温かい接し方がきょうだいより減った子では、気分の落ち込みやきょうだい仲の変化との関連がありました。
- 同じ接し方のつもりでも、親と子どもの受け止め方にはずれが生じます。
- 家庭での確認は、本人の過去の答案と、本人が必要としている助けを軸に進めます。
親の「こちらの子のほうができる」は、その後の成績と関わる
「見たままの成績差を言っているだけ」と感じる場面はあるでしょう。けれども、今の成績を読むことと、子どもの能力を固定的に捉えることは同じではありません。「今回の説明問題で苦戦した」という観察には、見直す対象があります。「下の子は勉強が苦手な子だ」という評価は、教科や課題を越えて本人全体を表す言葉になってしまいます。
Jensen・McHale(2015)は、米国の欧州系米国人の388家庭で、母親、父親、先に生まれた子、後に生まれた子から、年ごとに3回データを集めました。調査開始時の平均年齢は、先に生まれた子が15.71歳、後に生まれた子が13.18歳です。縦断研究と呼ばれる、同じ人たちを時間を置いて追う方法で、親の見方と成績のどちらが先の変化を予測するかを調べています。比較の中心は、同じ家庭のきょうだいの間にある差です。
Jensen・McHale(2015)では、きょうだいの平均的な成績と、それ以前の成績差を統計的に考慮しても、親から相対的に能力が高いと見られた子は、翌年の成績も相対的に高いという結果でした。反対に、きょうだいの成績差から、その後の親の能力評価の差を予測する関係は見られませんでした。「親は子どもの成績をそのまま映す鏡だ」とだけ捉えると、この時間的な順序を見落とします。親の見方自体も、家庭で点検する対象になります。
ここでの「予測」は、先の測定値と後の測定値に統計的なつながりがあるという意味です。親に比較の言葉を使わせる組と使わせない組を設けた実験ではなく、声かけだけが原因だと確定した結果ではありません。家庭で受け止めたいのは、過去の言葉をすべて悔やむことよりも、今ある見方を答案や本人の話で更新する姿勢です。前の学期につまずいた子にも、今できるようになった内容を具体的に尋ねられます。
成績の差が、学ぶ興味の差と結びつくとき
きょうだいの違いを尊重しようとして、「こちらは勉強が得意、こちらは別のことが得意」と役割を分けたくなることがあります。互いのよさを認める意図でも、学ぶ前から担当を決める言い方になっていないかは確かめたいところです。本人が今楽しんでいることと、これから取り組めることは別々に聞けます。通知表の評価を理由に、試す機会まで狭める必要はありません。
Jensen・McHale(2015)は、成績と学業への興味の関係も追っています。平均的な興味や成績を考慮したうえで、きょうだいより成績がよかった子は、翌年に学業への興味も相対的に強いと報告する傾向がありました。一方、先にあった興味の差から後の成績差を予測する関係は見られませんでした。この研究の主眼は、同じ家庭の中で成績と興味の違いがどう育っていくかにあります。
この結果を家庭の会話に置き直すなら、「好きではないからできない」と話を終えず、学習のどの部分に手応えがあるかを聞く方法が考えられます。たとえば、本人が説明を読めたのか、問題の意味をつかめたのか、答えまで書けたのかを分けます。成績という大きなまとまりを、本人が話せる作業へ戻すわけです。興味が薄いと聞いたときにも、すぐにきょうだいと違う進路や教科へ振り分けずに済みます。
自己評価は、ここでは「自分はこの学習にどれくらい取り組めそうか」という本人の見方として考えます。研究で扱われた親の能力評価や本人の興味と、この見方を会話の中でも区別すると、尋ねる内容が明確になります。「得意だと思うか」に加えて、「どこなら自分で進められるか」と聞けます。答えが曖昧なら、本人の答案を開き、実際に書けた箇所を手掛かりに話を進めます。
励ましのつもりの比較でも、接し方の差を見直す
比較を励ましに使うときには、成績だけを見て成功かどうかを判断しないことが大切です。きょうだいの結果を持ち出した後に、本人が何を話せる状態にあるかも確かめます。黙ったままなら、励ましが届いたと即座に判断せず、後で本人だけに話を聞く余地を残します。とくに負けた感覚が強い子に、競争を繰り返し求めるやり方は控えてよいでしょう。
Shanahanほか(2008)は、米国の白人の中流・労働者層の201家庭を対象に、親の扱いの差と子どもの状態を、同じ時点と時間を隔てた両方から調べました。調査開始時の平均年齢は、先に生まれた子が11.8歳、後に生まれた子が9.2歳でした。親子関係そのものや、子どもが評価した親の公平さも考慮しています。焦点は、家庭同士の成績競争ではなく、きょうだいの間で親の接し方がどう違っているかです。
Shanahanほか(2008)では、きょうだいと比べて親子関係の温かさが減った子で、気分の落ち込みが増え、きょうだいへの温かさが減る関連が見られました。ここでいう温かさは、親しみや愛情のある関わりのことです。年齢や性別によって気分の落ち込みとの関連が異なり、生まれ順によってきょうだい関係との関連も異なりました。家族の中で誰に何が起きているかを、それぞれに聞く必要があると読めます。
家庭での点検では、宿題を見る量だけでなく、結果がよくなかったときの応じ方に注目します。成績がよい子の話には耳を傾け、苦戦した子にはすぐ助言を始めていないかを振り返ります。反対に、苦戦する子の支援に集中して、順調な子の相談を後回しにしていないかも確認できます。支援を多く要する子がいる時期にも、ほかの子の話を聞く機会は別に確保するという考え方です。
同じように接したつもりでも、子どもの受け止め方は違う
「どちらも大切にしている」という親の思いと、「自分の話も聞いてもらえた」という子どもの感覚は、別々に確かめられます。同じ言葉をかけたかどうかだけで会話を評価すると、本人が引っ掛かった場面を取り逃がします。先に親の説明を整えるより、いつ、どんな応じ方が気になったかを聞く方法があります。本人の受け止め方を聞くことは、親の意図を否定することとは違います。
Jensen・McHale(2017)は、米国の主に白人の労働者層・中流層の381家庭で、親ときょうだいの受け止め方を3年間追いました。とくに後に生まれた子では、自分が優遇されていると感じることが、その後の母親・父親との衝突の少なさや温かさの高さを予測しました。また先に生まれた子では、母親と子どもの間で愛情の差についての報告が大きく食い違うほど、母親との衝突が多く、温かさが低い関連がありました。優遇されているという感覚と、親子間の認識のずれを分けて読むことが要点です。
研究ごとの比較を並べると、成績の見方と親子関係の見方を混同せずに済みます。成績の差を追う研究は、気分や関係の変化を測る研究とは問いが違います。どの研究も「同じ家庭にいるから、同じように感じる」とは置かず、家族それぞれの情報を扱っています。
| よく言われること | 研究で示されたこと | 比べた相手・内容 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 親は今の成績差を見ているだけ | 親の能力評価の差が後の成績差を予測 | 同じ家庭のきょうだいと時間を隔てた測定 | 米国の欧州系家庭。Jensen・McHale(2015) |
| 厳しく比べても成績がよければよい | 相対的な温かさの低下は気分やきょうだい仲の変化と関連 | きょうだいに対する親の関わりの差 | 米国の白人家庭。Shanahanほか(2008) |
| 親が公平だと思えば十分 | 親子の報告のずれも関係の質と関連 | 母親と子どもの愛情差の受け止め方 | 米国の主に白人の家庭。Jensen・McHale(2017) |
比較の言葉を「本人の前回」に置き換える手順
ここからは、研究を踏まえて家庭の会話を整えるための提案です。通知表を並べる前に、本人の前の学期の記録と最近の答案を用意します。見つけたいのは、家族の中での順位よりも、前には止まっていたところから進めた箇所です。改善が見つからない場合も、今どこで止まるかを一緒に読み取れば、相談する内容が具体的になります。
たとえば「上の子は言われなくてもできた」は、「今回は、どこまで自分で進められた」に置き換えられます。「下の子のほうが早い」は、「前より迷ったところはどこだった」と言えます。比較相手の名前を消すだけでなく、本人が説明できる行動や課題を文の中心に置くのがポイントです。答えを急がせず、話すより答案を指すほうが楽なら、その方法で進めます。
次に、点数や評価の変化と、取り組みの変化を別に記録します。たとえば評価が同じでも、自分で課題を開けたことや、途中まで説明を書けたことは記録に残せます。逆に結果がよくても、本人が負担を感じた作業があれば、それも聞き取ります。よかった点だけを集める記録にせず、次に必要な助けまで書いておくと、学習の相談に使いやすくなります。
- 本人の過去の記録を見て話しているか。
- 「できる子」「苦手な子」ではなく、具体的な課題を挙げているか。
- 本人が自分で進めたい部分と、助けてほしい部分を聞いたか。
- 結果がよくなかったときも、説明を最後まで聞いたか。
- 次に振り返る対象を、本人と共有したか。
記録を取り始めても、子どもが監視されていると感じるなら方法を変えます。親だけが細かく採点する形にせず、何を残すと本人の役に立つかを相談します。きょうだい全員の記録を並べて見せる必要もありません。本人が話しやすい範囲で、過去の自分と今の自分を結ぶ材料として使います。
学習の支援をそろえるより、必要な理由を説明する
きょうだいを比べないようにすると、「教材も助ける時間も同じにしなければ」と考えることがあります。けれども、今取り組んでいる課題や本人の希望は、それぞれに聞いてよいものです。片方が説明を求め、片方が自分で考える時間を求めているなら、同じ応じ方にそろえるより理由を共有します。「今はこの問題の読み方を一緒に見ている」と、支援の対象を具体的に伝えられます。
塾や家庭教師への相談でも、きょうだいの成績を本人の目標に置くと、何を助けてほしいかが曖昧になります。本人の答案で止まっているところ、家庭で説明しづらいところ、本人が確かめたいところを伝えるほうが、話題を絞れます。きょうだいが先に通っていた場所を検討する場合にも、同じやり方を引き継ぐこと自体を目標にしないでおきます。今の本人の学習内容を基準に、相談の目的を言葉にします。
また、得意な子を家庭の教え役に固定することにも注意が要ります。助け合いたいという本人たちの希望があるなら、教える側と教わる側の両方に続け方を聞けます。教えることが負担になったり、説明が言い争いになったりした場合は、保護者が別の方法を考えます。成績のよい子にも苦手な課題や相談したいことがあるという前提で、話す機会を残します。
公平さを説明するときは、正しさを納得させる会話だけにしないことも大切です。「今はこの助けが必要だと思った」と理由を伝えた後に、本人がどう感じたかを聞きます。親の説明と子どもの返事が一致しなくても、その違いを次の接し方を考える材料にできます。通知表を閉じた後にも、本人の困りごとを本人の言葉で話せる関係を目指します。
よくある質問
ついきょうだいと比べてしまったら、どう言い直せばよいですか
比較した言葉を取り消し、見たかった課題を具体的に言い直す方法があります。「お姉さんと比べた言い方になった。今は、あなたがこの問題のどこで困ったかを聞きたい」と戻せます。謝った直後に長い説明や励ましを続けるより、本人の返事を待ちます。すぐに話が続かないときには、後で本人だけと話せる場を設け、通知表の評価とは別に、言われてどう感じたかを聞くこともできます。
成績がよかった子を、きょうだいの前でほめてもよいですか
結果を喜ぶことと、もう片方の子を引き合いに出すことは分けられます。「よく見直して書けたね」のように本人の取り組みを言葉にし、「それに比べて」と続けない形を選べます。もう片方の子にも、その子自身の課題について話す機会を作ります。同じ強さのほめ言葉を急いで用意するより、本人の説明に耳を傾け、うまくいった箇所と困った箇所を具体的に受け止めることを目指します。
子ども自身が「きょうだいよりできない」と言ったらどうしますか
すぐに否定する前に、どの場面でそう思ったかを聞きます。通知表の評価なのか、解く速さなのか、親の言葉なのかで、話し合う対象が変わります。そのうえで本人の答案を見て、前回から変わった点と、今助けが必要な点を分けます。「同じにならなくてよい」とだけ伝えて終えず、本人が続けたい学習や挑戦したい課題も聞き、きょうだいの結果から離れて次の取り組みを決められるようにします。
この記事の限界
対象は米国の白人家庭が中心で、日本の通知表や受験、塾選びの場面を直接検証した研究ではなく、親の見方と接し方を点検する手掛かりとして読む範囲にとどまります。時間を隔てた関連を調べた結果であり、比較の言葉をやめた場合の成績への効果や、言い換えによる自己評価の改善の大きさは確定していません。
成績の話が繰り返し衝突になるときは、学校の先生や相談担当者に、具体的なやり取りと本人の困りごとを伝える方法があります。次に通知表を開くとき、きょうだいの結果を口にする前に、本人の前回からの変化について何を確かめますか。
参考文献
- Jensen AC, McHale SM. What makes siblings different? The development of sibling differences in academic achievement and interests. Journal of Family Psychology. 2015;29(3):469-478. doi:10.1037/fam0000090
- Shanahan L, McHale SM, Crouter AC, Osgood DW. Linkages Between Parents’ Differential Treatment, Youth Depressive Symptoms, and Sibling Relationships. Journal of Marriage and Family. 2008;70(2):480-494. doi:10.1111/j.1741-3737.2008.00495.x
- Jensen AC, McHale SM. Mothers’, fathers’, and siblings’ perceptions of parents’ differential treatment of siblings: Links with family relationship qualities. Journal of Adolescence. 2017;60:119-129. doi:10.1016/j.adolescence.2017.08.002
わからなくなった単元まで、講師と二人で戻ってやり直す。
- 向く人: 集団授業で質問できないまま進み、どこでつまずいたのか分からなくなった中学生・高校生
- 向く人: 苦手な科目を、つまずいた単元まで戻って一対一でやり直したい人
- 向かない人: 大勢と競い合う中で力が出る子や、集団授業の速い進度を求める人
- 向かない人: 塾に通うだけで成績が変わると考え、家で手を動かす時間を取れない人
このサイトは武蔵野個別指導塾へ案内する運営者が制作しています。武蔵野個別指導塾は武蔵境駅から徒歩30秒、完全1対1の個別指導塾です。
よくある質問
ついきょうだいと比べてしまったら、どう言い直せばよいですか
比較した言葉を取り消し、見たかった課題を具体的に言い直す方法があります。「お姉さんと比べた言い方になった。今は、あなたがこの問題のどこで困ったかを聞きたい」と戻せます。謝った直後に長い説明や励ましを続けるより、本人の返事を待ちます。すぐに話が続かないときには、後で本人だけと話せる場を設け、通知表の評価とは別に、言われてどう感じたかを聞くこともできます。
成績がよかった子を、きょうだいの前でほめてもよいですか
結果を喜ぶことと、もう片方の子を引き合いに出すことは分けられます。「よく見直して書けたね」のように本人の取り組みを言葉にし、「それに比べて」と続けない形を選べます。もう片方の子にも、その子自身の課題について話す機会を作ります。同じ強さのほめ言葉を急いで用意するより、本人の説明に耳を傾け、うまくいった箇所と困った箇所を具体的に受け止めることを目指します。
子ども自身が「きょうだいよりできない」と言ったらどうしますか
すぐに否定する前に、どの場面でそう思ったかを聞きます。通知表の評価なのか、解く速さなのか、親の言葉なのかで、話し合う対象が変わります。そのうえで本人の答案を見て、前回から変わった点と、今助けが必要な点を分けます。「同じにならなくてよい」とだけ伝えて終えず、本人が続けたい学習や挑戦したい課題も聞き、きょうだいの結果から離れて次の取り組みを決められるようにします。