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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月22日

転校すると成績は下がるのか|転校と学力の研究と保護者の準備

改札前で新しい学校までの道順を確かめるとき、通学の準備と一緒に勉強のことも気になりませんか。「武蔵境へ引っ越して学校が変わると、今までの成績を保てるのでしょうか」という問いには、転校の回数と移る前の状態を分けて答える必要があります。転校をすれば一律に成績が下がるわけではなく、頻繁な転校で遅れが見られた研究と、単発の転校の影響が小さいか一時的だった研究があります。 引っ越しが決まった家庭で先に進めたいのは、下がる点数の予想より、前の学校で習った内容を新しい学校へ伝える準備です。

この記事の要点
  • 頻繁な転校と、引っ越しに伴う単発の転校は分けて読む必要があります。
  • 転校した子としなかった子の差には、移る前からの成績や家庭の違いも含まれます。
  • 学力テストの結果、中退、成人後の学歴は、それぞれ別の指標です。
  • 家庭では教科書の進み方を単元ごとに照らし、未習の候補を学校の先生に確かめます。

転校すると成績は下がるのか|転校と学力の研究と保護者の準備

改札前で新しい学校までの道順を確かめるとき、通学の準備と一緒に勉強のことも気になりませんか。「武蔵境へ引っ越して学校が変わると、今までの成績を保てるのでしょうか」という問いには、転校の回数と移る前の状態を分けて答える必要があります。転校をすれば一律に成績が下がるわけではなく、頻繁な転校で遅れが見られた研究と、単発の転校の影響が小さいか一時的だった研究があります。 引っ越しが決まった家庭で先に進めたいのは、下がる点数の予想より、前の学校で習った内容を新しい学校へ伝える準備です。

転校をめぐる研究には、テストの点を比べるものも、高校を卒業したかを長く追うものもあります。測ったものが違えば、保護者が受け取る意味も変わります。今の子どもの宿題と、将来の学歴を同じ心配として抱え込まず、まずは教科ごとに授業のつながりを見てください。前の教科書とノートを残し、新しい教科書の目次と照らすところからなら、子どもに大量の復習を求めずに準備を始められます。

要点

  • 頻繁な転校と、引っ越しに伴う単発の転校は分けて読む必要があります。
  • 転校した子としなかった子の差には、移る前からの成績や家庭の違いも含まれます。
  • 学力テストの結果、中退、成人後の学歴は、それぞれ別の指標です。
  • 家庭では教科書の進み方を単元ごとに照らし、未習の候補を学校の先生に確かめます。

頻繁な転校で見られた遅れは、誰との比較か

米国シカゴの低所得の黒人の子どもを追ったTemple と Reynolds(1999)は、幼稚園から7年生までに頻繁に学校を変えた子の読みと算数が、転校しなかった子より約1年遅れていたと報告しています。著者が重視したのは、ときどき移ることより、何度も学校を変えることでした。ここでの約1年はテストで見た学力の差であり、転校後に回復するまで待つ期間を表す数字ではありません。回数の多い集団の結果を、今回の引っ越し後の予定表へそのまま書き込む読み方は避けたいところです。

同じシカゴの追跡データを25年分使ったHerbers ほか(2013)は、学校を移る回数と、若い成人になった後の教育上の結果との関連を調べています。転校が多いほど高校を期限どおりに終える割合や学歴が低く、とくに4〜8年生の転校で悪い結果が目立ちました。住まいの移動や家庭の貧困を考慮しても、転校の回数は後の結果を予測していました。長い期間を追った報告として読むと、移動が重なる子の学習を継続して見守る必要性を考える材料になります。

この研究を家庭で読む際には、転校歴を子どもの能力の評価に使わず、授業の引き継ぎを確かめるために使います。前の学校でわからないまま残った箇所があれば、さらに移る前に、その単元名を残しておきます。新しい学校へ伝える際も「全体に遅れています」と広くまとめるより、使った教科書と途中になった課題を示す形にします。何度も転校を経験している子には、毎回最初から事情を説明させずに済むよう、保護者が教材の情報を引き継ぐ役割を持てます。

移った後の低い点数を、転校だけの結果にしない

Pribesh と Downey(1999)は、転居や転校をした子と、移らなかった子の学校での成績の差を追跡データで検討しました。差の一部は友人などとの関係が減ることで説明されましたが、大部分は移る前から存在した両群の違いによるものでした。「移った子の点が低い」という比較と、「移ったために点が低くなった」という因果関係を区別する研究です。因果関係とは、ある出来事が別の出来事を生んだという関係を指します。

米国の全国追跡調査を使ったGasper ほか(2012)は、高校で転校した生徒を、転校しなかった似た特徴の生徒と組み合わせて比べました。転校と中退との関連の半分以上は、9年生より前に測った特徴で説明されました。それでも関連は残り、その強さは転校しやすさによって違いました。比較相手を似た生徒にすると見え方が変わる一方、転校に伴う問題をすべて消して考える結果でもありません。

家庭でこの違いを生かすなら、転校前の答案を新しい学校で困ったときの比較材料として残します。点数だけでなく、どの単元のどの問いで止まっていたかを見るためです。移る前から苦手だった問題なら、その続きとして支援を相談でき、新しく出てきた内容なら授業の進み方を尋ねられます。答案が手元になければ、前のノートで本人が説明できる問題を一緒に探す方法もあります。転校後に間違いが増えたときも、過去の答案を叱る材料にせず、支援を頼む箇所を絞る材料として扱います。

どのくらい続くのかは、単発の転校を調べた研究で読む

スイスの前期中等教育の生徒17,000人を調べたAngelone ほか(2024)は、義務教育の終わりの学力評価などから、転校による差を推定しました。全体の効果は小さく、統計的に有意ではありませんでした。統計的に有意とは、分析の基準上、偶然のばらつきだけでは説明しにくいと判断されたという意味です。男子では小さな負の効果が見られましたが、それも転校の1年後には速やかに薄れました。

Vandell ほか(2021)の子どもの追跡研究では、直近の転校や1回だけの転校が、学業や対人面の状態と関係する証拠は見られませんでした。学童期の転校が広く危険になるとは考えにくいと、著者はまとめています。頻繁な移動を主題にした研究とは、見ている転校の範囲が違います。題名に同じ「転校」という言葉があっても、回数と測る時期を先に読むと結果を取り違えにくくなります。

これらは「移れば必ず下がる」という予想を見直す材料です。同時に、男子の平均に小さな差があったことだけで、目の前の男の子の成績を予告する必要はありません。家庭では回復の期限を先に決めず、現在の授業で理解できている内容を確かめる方針にします。学校で扱う内容が変わったことと、以前できていた内容を忘れたことも、教材を開いて分けて見ます。すでに学校の課題に困っている場合は、研究の追跡期間が過ぎるのを待たず、止まっている問題を相談に持っていきます。

転居・中退・学校の種類を同じ話に混ぜない

都市部の小中学生を追ったVoight ほか(2012)が調べたのは、学校の変更そのものではなく住まいの移動でした。低学年の転居は後の成績や読みの伸びと負の関係があり、算数では転居した年の低下も見られました。読みでは同じ時期の低下が見られず、教科によって結果も異なりました。住まいと学校が一緒に変わる家庭でも、研究がどちらの変化を測ったのかを区別して読みます。

米国の全国追跡調査を使ったRumberger と Larson(1998)は、転校と高校卒業との関係を調べています。転校は学校から離れていく過程を示す面と、中退の危険因子になる面の両方があると報告しました。この場合の危険因子とは、望ましくない結果と結びつく特徴のことで、子どもの将来が決まるという意味ではありません。今日の算数の理解と、高校を終えたかという結果は、相談の内容も分けて考えます。

研究で追った変化 比べた相手・条件 家庭で読むときの焦点
頻繁な学校の変更 学校を変えなかった子 回数と移る前の学習状況
高校での学校の変更 移る前の特徴が似た生徒 点数と卒業の指標の違い
住まいの移動 転居歴とその後の教科別の推移 住居と学校の変更の区別
異なる種類の学校の変更 移る事情が異なる生徒 新しい学校で学ぶ条件

Schwartz ほか(2017)がニューヨーク市の公立小中学生を調べた研究では、学校の構造上避けられない変更と、それ以外の転校で結果が違いました。後者では英語の成績が上がっており、移る事情をまとめて扱うと大事な違いを落とします。米国の転校研究をまとめたWelsh(2017)も、より質の高い学校への転校が移動の負担を上回る可能性を指摘しています。家庭で学校について考える際には、移るかどうかに加えて、学ぶ内容や支援の受け方を具体的に確かめる視点が必要です。

復習を増やす前に、未習の単元を見つける

ここからは、研究を踏まえて保護者が準備を進めるための手順です。まず前の学校の教科書、ノート、配られた課題を、教科ごとに取り出せるようにしておきます。新しい教科書を受け取ったら、最後に使ったページの数字だけでなく、目次の単元名を照らします。違う教科書を使うときには、見出しの言葉が違っていても同じ内容が含まれるか、本文の説明や例題まで見ます。

書き出す欄は「前の学校で扱った内容」「新しい学校で今扱っている内容」「先生に確かめたい内容」に分けます。子どもに全部思い出してもらうより、ノートの日付や実際に解いた問題を手がかりにします。見つからない単元はすぐ未習と決めず、「習ったかを尋ねる候補」に入れておきます。教科書に書き込みがないことだけで、授業で扱っていないと判断しないためです。

学校の先生には、単元名を添えて「前の学校ではここまで進んでいました」と伝えます。そのうえで、新しい学校ではすでに終わった内容か、今後授業で扱う内容かを尋ねます。すでに終わった内容なら、どの教材のどこから確かめるかを相談します。これから習う内容なら家庭の先取りに急いで組み込まず、学校の予定と合わせて扱えます。

この作業は、保護者が教科の説明をすべて引き受けるためのものではありません。子どもが難しいと言う箇所を、学校の先生と同じ教材を見ながら話すための準備です。自分で解ける問題と説明が必要な問題が混じる場合も、教科全体を苦手とまとめず、止まった問いを示します。学年の途中で移るときほど、引き継ぐ内容を単元の単位でそろえておく方針が役立ちます。

子どもの負担に合わせ、相談する内容を絞る

転校の直後から、遅れを心配して全教科の問題集を最初からやり直す計画は、すでに宿題だけで手いっぱいの子には向きません。学校で出た課題と家庭で足した課題を、いったん別に並べてみます。どちらから手をつけるか本人が迷う場合は、学校で今必要な内容を先生に確かめ、家庭の追加分を見直します。準備の目的は学習量を一律に増やすことではなく、学ぶ必要のある箇所を見つけることです。

子どもが授業の話をしたがらないときは、毎日の説明を求める方法にこだわらず、本人の了解を得て教材を見る形に変えます。書くのが遅い子には、確認のためだけに教科書の内容を長く写させず、単元名や問題の場所を保護者が控えます。文字が見えにくい子なら、本人が読める大きさで教科書を開き、口頭でも内容を照らします。どの方法でも、子どもが困っている箇所を言いやすい量に作業を絞ります。

学校へ相談する際は、成績を戻してほしいという大きな要望に加え、実際に困った場面を添えます。「前に習った計算はできるが、新しい単元の説明から止まっている」など、教材を見て言える範囲を伝えます。学校からの返答を受けたら、家庭で取り組む内容と学校で確かめる内容を分けます。中学の途中の転校で高校入試の調査書がどう扱われるかは、東京都教育委員会の公表資料と在籍校で確かめてください。

引っ越しの前後にできる準備は、全部の不安を消す作業ではなく、相談に使える具体的な材料をそろえる作業です。まだ新しい教科書を受け取っていない家庭なら、前の学校で最後に扱った単元を確かめるところまで進められます。すでに通い始めている家庭なら、今使っているページを出発点にできます。来週の準備は子どもと教科書を開き、今の授業につながる単元を学校の先生に尋ねることから始められます。

よくある質問

転校前に全教科を復習しておく必要がありますか

まずは前の学校で終えた単元と、新しい学校で進んでいる単元を照らす方法を勧めます。教科書の目次やノートを使い、習っていない候補と、習ったけれど難しい箇所を分けておくと、先生への相談内容を具体的にできます。すべてをやり直す予定を立てる前に、授業で必要になる箇所を絞ってください。新しい学校がこれから扱う内容なら、その授業に合わせる予定も相談できます。

点数が下がったら、慣れるまで待つべきですか

待つ期間だけを決めるより、返された答案でどの内容に困ったかを確かめます。前の学校の答案やノートと照らし、以前からの苦手なのか、今回初めて出会った内容なのかを学校の先生と確認してください。研究で平均の影響が薄れたことと、目の前の疑問を放置してよいことは別です。困っている問題が見えているなら、その問題を持って相談するところから始められます。

転校の準備として塾を利用するか、何で判断しますか

まず学校の授業範囲と、本人が説明を必要としている単元を確かめ、その内容を家庭や学校でどう扱うか相談します。そのうえで外部の学習支援を考えるなら、手元の教材を見ながら未習の内容を確かめてもらえるかが相談の観点になります。予定を増やす前に、今の宿題にかかる負担も本人に尋ねてください。転校という出来事だけで決めず、必要な支援の内容に合わせて判断します。

この記事の限界

比べた相手は、転校しなかった子や移る前の特徴が似た子であり、家庭の事情や転校を選んだ理由まで同じ条件にそろえる難しさがあります。米国の都市部や低所得層を扱う追跡が多く、頻繁な転校と単発の転校、転居と学校の変更も研究ごとに扱いが異なります。

日本の小中高生の転校や、教科書を照らす準備、塾の利用で学力の低下を防げるかは、この研究群で検証されていません。本文の準備は成績改善の効果が測られた方法ではなく、未習の内容とすでにある苦手を学校に伝えるための手順です。本人の教材と授業の様子をもとに、必要な支援の範囲を在籍校の先生と調整していくことが、個々の事情に沿った対応になります。

参考文献

  1. Temple JA, Reynolds AJ. School mobility and achievement: longitudinal findings from an urban cohort. Journal of School Psychology. 1999;37(4):355-377.
  2. Herbers JE, Reynolds AJ, Chen CC. School mobility and developmental outcomes in young adulthood. Development and Psychopathology. 2013;25(2):501-515.
  3. Pribesh S, Downey DB. Why are residential and school moves associated with poor school performance? Demography. 1999;36(4):521-534.
  4. Gasper J, DeLuca S, Estacion A. Switching schools: revisiting the relationship between school mobility and high school dropout. American Educational Research Journal. 2012;49(3):487-519.
  5. Angelone D, Oggenfuss C, Wolter SC. Learning loss due to school change: a cause for major concern? European Education. 2024;56(1):66-76.
  6. Vandell DL, Kuhfeld M, Gershoff ET. Predictors and consequences of school mobility in middle childhood. Journal of Applied Developmental Psychology. 2021;76:101309.
  7. Voight A, Shinn M, Nation M. The longitudinal effects of residential mobility on the academic achievement of urban elementary and middle school students. Educational Researcher. 2012;41(9):385-392.
  8. Rumberger RW, Larson KA. Student mobility and the increased risk of high school dropout. American Journal of Education. 1998;107(1):1-35.
  9. Schwartz AE, Stiefel L, Cordes SA. Moving matters: the causal effect of moving schools on student performance. Education Finance and Policy. 2017;12(4):419-446.
  10. Welsh RO. School hopscotch: a comprehensive review of K-12 student mobility in the United States. Review of Educational Research. 2017;87(3):475-511.

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

  • 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
  • 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
  • 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
  • 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人

このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒、講師が一人の生徒に付きっきりの完全1対1で、大学教員や東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の大学院生などが教えます。アルバイト講師はいません。

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よくある質問

転校前に全教科を復習しておく必要がありますか

まずは前の学校で終えた単元と、新しい学校で進んでいる単元を照らす方法を勧めます。教科書の目次やノートを使い、習っていない候補と、習ったけれど難しい箇所を分けておくと、先生への相談内容を具体的にできます。すべてをやり直す予定を立てる前に、授業で必要になる箇所を絞ってください。新しい学校がこれから扱う内容なら、その授業に合わせる予定も相談できます。

点数が下がったら、慣れるまで待つべきですか

待つ期間だけを決めるより、返された答案でどの内容に困ったかを確かめます。前の学校の答案やノートと照らし、以前からの苦手なのか、今回初めて出会った内容なのかを学校の先生と確認してください。研究で平均の影響が薄れたことと、目の前の疑問を放置してよいことは別です。困っている問題が見えているなら、その問題を持って相談するところから始められます。

転校の準備として塾を利用するか、何で判断しますか

まず学校の授業範囲と、本人が説明を必要としている単元を確かめ、その内容を家庭や学校でどう扱うか相談します。そのうえで外部の学習支援を考えるなら、手元の教材を見ながら未習の内容を確かめてもらえるかが相談の観点になります。予定を増やす前に、今の宿題にかかる負担も本人に尋ねてください。転校という出来事だけで決めず、必要な支援の内容に合わせて判断します。