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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月22日

速読の練習で読むのは速くなるか|読む速さと理解の研究と英検の長文

図書館で子どもが選んだ厚い本を見ると、読む速さを身につければ勉強にも役立ちそうだと感じることがあります。Chang(2010)は、英語を外国語として学ぶ大学生の時間を計る練習で、読む速さが平均25%上がったと報告しています。武蔵境の図書館で本を選ぶ保護者にとっても気になる数字ですが、時間を計る練習と、目の動きを鍛える速読の練習は分けて考える必要があります。速読の講座やアプリを使えば、本も英検の長文も、理解を落とさずに速く読めるようになるのでしょうか。

この記事の要点
  • 研究用の読み加速訓練と、市販の講座やアプリの練習は区別して読む必要があります。
  • 訓練前より伸びた結果と、別の練習をした相手より伸びた結果では、意味が違います。
  • 速く読み終えても、内容の理解や行間を読む推論が下がった研究があります。
  • 家庭では、読む時間、設問の正誤、知らない語をそろえて見てから練習を選びます。

速読の練習で読むのは速くなるか|読む速さと理解の研究と英検の長文

図書館で子どもが選んだ厚い本を見ると、読む速さを身につければ勉強にも役立ちそうだと感じることがあります。Chang(2010)は、英語を外国語として学ぶ大学生の時間を計る練習で、読む速さが平均25%上がったと報告しています。武蔵境の図書館で本を選ぶ保護者にとっても気になる数字ですが、時間を計る練習と、目の動きを鍛える速読の練習は分けて考える必要があります。速読の講座やアプリを使えば、本も英検の長文も、理解を落とさずに速く読めるようになるのでしょうか。

読む練習で速さが上がる例はありますが、理解を保って何倍にも速く読むことを期待する根拠は乏しいです。 研究で伸びたものには、単語を正しく読む力、つかえずに読む力、文章を読み終える速さなどがあります。それらをまとめて「読解力が伸びた」と扱うと、練習の成果を見誤ります。家庭では読む時間だけでなく、設問への答えと知らない語を一緒に見ることから始められます。

要点

  • 研究用の読み加速訓練と、市販の講座やアプリの練習は区別して読む必要があります。
  • 訓練前より伸びた結果と、別の練習をした相手より伸びた結果では、意味が違います。
  • 速く読み終えても、内容の理解や行間を読む推論が下がった研究があります。
  • 家庭では、読む時間、設問の正誤、知らない語をそろえて見てから練習を選びます。

速読の効果は「何が伸びたか」で見る

「速く読める」という言葉には、違う成果が含まれています。単語を読み間違えなくなることと、文章を短い時間で読み終えることは別です。さらに、書かれた事実を答えることと、文どうしを結びつけて理由を考えることも区別しておきたい点です。読む時間が短くなった報告に接したら、理解も測ったのかを先に探します。

Nevo と Breznitz(2014)は、小学3年生97人を対象にした無作為化比較試験、つまりくじ引きのように組を分けて比べる試験を報告しています。扱ったのは文字を消していく研究用の読み加速訓練で、市販の速読講座やアプリと同じものではありません。加速訓練だけの組は対照の組より単語を読む正確さが伸び、作業記憶の訓練も組み合わせた組は単語と無意味語を読む流暢さが伸びました。作業記憶とは情報を一時的に頭に置いて扱う力で、流暢さとはつかえずに読む滑らかさです。

この試験を読むときは、単語の読みと文章全体の理解を分けます。無意味語は意味を持たない文字の並びを使った課題であり、本のあらすじや登場人物の気持ちを答える課題とは違います。また、訓練を組み合わせた組の成果は、その組み合わせに対応させて読む必要があります。加速訓練の名前だけを取り出して、報告された成果をすべてそこへ割り当てる読み方は避けたいところです。

家庭で説明資料を見る際にも、成果の見出しの下まで読むようにします。「読む力」という言葉だけなら、実際に何を答えさせたのかを探します。文章の内容を問う課題があるなら、速さと正答を別々に示しているかも確認します。この区別をしておくと、子どもに必要な練習と研究の課題を照らし合わせやすくなります。

子どもの訓練で伸びた結果をどう読むか

Horowitz-Kraus ほか(2014)は、ヘブライ語または英語を話す、読みに困難のある子ども89人を調べています。待機する組と訓練する組を設け、4週の研究用の読み加速訓練を行いました。報告された改善は、訓練する前の本人と比べた黙読の速さ、読解、処理速度の伸びです。処理速度は情報を扱う速さを表す指標で、学校の試験の得点そのものとは分けて扱います。

この報告では、待機した組との差の大きさより、本人の訓練前後の変化が抄録に示されています。そのため、前よりよくなったという比較として読むのが適切です。待機した子と比べてどれだけ大きく伸びたのかという問いは、別に残ります。比べる相手を明確にすることで、改善の報告を必要以上に広げずに評価できます。

Özkara ほか(2025)は、小学2年生で、速読技法を練習する20人と通常の学習を続ける20人を比べました。8週の練習後、訓練した組では読む速さと読解が上がり、追加の訓練をしない組では伸びは見られませんでした。ただし、これは無作為に組を分けない準実験で、小規模な比較です。練習前からの組の違いや、追加して学習したことを踏まえて読む必要があります。

「子どもでも伸びた」という言葉だけでは、こうした比較の違いが隠れます。本人の前後を比べるのか、通常の学習を続けた組と比べるのか、別の練習をした組と比べるのかを分けます。保護者が説明を読むときは、対象の子どもの困りごとと、比べた相手を並べてみます。自分の子と学年が近いというだけでなく、読む際に何で困っていた子を助ける訓練なのかが大事です。

比較相手を変えると、練習の見え方も変わる

Klimovich ほか(2023)は、ドイツ語を話す大学生30人で、市販アプリの速読訓練、自分の読み方を意識する訓練、訓練なしを比べました。読み方を意識する訓練は、メタ認知訓練と呼ばれ、自分がどう読んでいるかに目を向けるものです。どちらの訓練でも、訓練しない条件より読む速さは上がりましたが、アプリがうたうほどの伸びではありませんでした。理解には条件間の差がなく、著者は速さの伸びを、目の動きの基本的な変化より読み方への意識の高まりによるものと解釈しています。

この比較では、訓練なしを上回ったという点だけで判断を止めないことが大切です。別の働きかけでも似た成果が出るなら、速読の技法に固有の効果なのかを考える余地があります。子どものために練習を選ぶときにも、「何もしないよりよかった」と「ほかの学び方よりよかった」を分けます。次の表は、練習をひとまとめにしないために、比較の軸を並べたものです。

比較の軸 研究で見ること 保護者が説明資料で探すこと
訓練前の本人との比較 参加後に何が変わったか 時間だけか、正確さや理解も測ったか
追加の訓練をしない組との比較 通常の学習に追加した結果 相手の組が何をしていたか
別の練習をする組との比較 特定の方法を使う利点 練習内容や取り組む条件の違い
普通の読み方との比較 速くしたときに失われるもの 内容を答える課題も含まれるか

説明資料の中に研究の名前があっても、それだけで結論を決める必要はありません。まず練習の内容を読み、続いて比較相手と測った課題を追います。読み終えた時間しか示されていなければ、理解をどう確かめたかという観点を手元に残します。家庭で必要なのは、研究名の多さより、子どもが解きたい問題に対応した成果かを見分けることです。

急いで読むと失われる理解にも目を向ける

Rayner ほか(2016)は、読む過程を扱った研究を見渡した総説で、理解を維持したまま速さを2〜3倍にするのは考えにくいと述べています。総説は研究をまとめて論じるもので、この報告は効果をまとめて計算し直したメタ分析ではありません。著者は、速さと正確さが引きかえになりやすいことを説明しています。深い理解を求めず大まかな内容を探す読み方と、内容を十分に理解する読み方では、達成したいことが違います。

Acklin と Papesh(2017)は、語を順に画面へ高速表示する方式と、普通に文章を表示する方式を比べました。表示の速さや文章の難しさを変えても、理解の成績は普通の文章表示のほうがよい結果でした。画面の表示が先へ進んだことと、読み手が内容を理解したことを同じにしないための材料になります。表示の速度を成果の中心に置く説明なら、読み手の答えをどう評価したかまで確かめたいところです。

Collins と Daniel(2018)は、普通の読み手、速読の訓練を受けた人、拾い読みの訓練を受けた人で推論を調べました。推論とは、文章の手がかりを結びつけ、直接書かれていない意味を考えることです。反応にかかる時間を使った課題では、普通の読み手に推論が起きた形跡があり、速読や拾い読みの人には見られませんでした。この結果は、目に入った言葉を拾うだけでは捉えにくい理解にも注目する必要を示しています。

Miyata ほか(2012)は、日本の短編小説を、日本の速読法の訓練者と訓練していない人が読む事例を調べました。訓練者は速く読んだ一方で理解の得点が低く、速さと正確さの引きかえが見られました。少数の訓練者を扱った事例研究で、上級者にはその引きかえが小さい可能性も示されています。身近な日本語の文章でも、速さだけでは読みの成果を判断しにくいという位置づけで読めます。

英検の長文を考えるなら、語彙と設問を先に見る

Chang(2010)は、英語を外国語として学ぶ大学生84人を、時間を計る練習をする組と対照の組に分けています。練習した組は読む速さが平均29語/分、理解が0.63(4%)上がり、訓練前後の変化は統計的に意味のあるものでした。対照の組では同じような有意な変化はありませんでした。これは英文を時間を計って読む活動の結果として扱い、目を動かす練習の成果とは分けます。

英検の長文に取り組む家庭では、まず困りごとを具体的にします。「最後まで届かなかった」場合も、知らない語で止まったのか、文の意味を考えたのか、選択肢で迷ったのかを子どもに聞けます。読み終えるまでの時間と、設問を解き終えるまでの時間も分けて見ます。速さという言葉を、文章を読む部分と答えを選ぶ部分へ分けるための観察です。

Rayner ほか(2016)は、理解を保ちながら速く読む道として、読む練習と語彙などの言語の力を挙げています。家庭でこの見方を取り入れるなら、意味を知らずに通り過ぎた語を、読み終えた後に探します。訳を見れば文全体が通じるのか、語の意味がわかっても文のつながりで迷うのかを区別します。目をもっと速く動かす課題を増やす前に、取り組むべき箇所を選ぶ手掛かりになります。

速く読めた日にも、答えの理由を本文のどこに見つけたかを確かめます。子どもが内容を説明できるなら、その読み方でどこまで答えられたかを見ます。逆に、時間は短くなっても理由が曖昧なら、速さを上げる設定はいったん戻す判断ができます。練習を選ぶ基準を、読み終えた満足感だけでなく、根拠を持って答えられたかに置きます。

家庭で確かめる順番と、速さを求めない判断

家庭では、まだ答えを覚えていない、設問と解答のある英文を選びます。読んでいる途中で保護者が急かさず、普段の読み方で時間を計ります。読み終えたら、読む時間の計測を止めて設問に取り組みます。ここでは練習の効果を証明するのではなく、どこで困っているかを子どもと確認することを目的にします。

答え合わせでは、正解した数だけで終えず、誤った設問に対応する箇所を探します。その後、意味を知らなかった語に印を付けて数え、解答の根拠となる文に含まれる語を優先して調べます。単語の意味を調べた後でも説明しにくい文は、学校の先生などに尋ねる候補として残します。次のチェック項目は、子どもだけでも順番を追えるようにしたものです。

  • 読む前に、答えを覚えている文章でないか確かめる
  • 普段の読み方で時間を計り、読み終えたところで止める
  • 設問を解き、答えの理由を本文で探す
  • 知らない語を数え、答えの根拠となる文の語を調べる
  • 時間、正誤、迷った箇所を並べて次の練習を選ぶ

次に読むときは、同じ文章の時間だけを成果にしないようにします。内容も答えも覚えた文章なら、その条件を記録に添えます。初めて読む文章なら、難しさや知らない語の多さも横に置いて比べます。時間が延びた日を失敗と決めず、正しく答えるために使った時間も含めて振り返ります。

速さを意識すると設問の誤りが増える子には、計測を止めて内容を確かめる読み方へ戻せます。見えにくさや読む際の負担がある子にも、速い表示へ合わせることを優先させる必要はありません。保護者は「まだ読み終わらないの」ではなく、止まった文や言葉を一緒に見る声かけを選べます。語の意味でつまずいている子や、文章の理由を丁寧に考える場面には、速さだけを上げる練習は向きません。

よくある質問

小学生のうちに速読を始めたほうがよいですか

学年だけを理由に始めるより、単語の読み間違い、文章の理解、読み終える時間のどこで困っているかを確かめます。子どもの訓練研究でも、対象の読みの状態や訓練内容は違い、伸びた指標も同じではありません。本人の困りごとに対応する課題を見つけ、その課題の成果を確かめる順番が役立ちます。早く始めること自体を目標にせず、読んだ後に何が答えられるようになりたいかを子どもと話せます。

本を速く読み終えたら、理解も伸びたと考えてよいですか

読み終わったことに加えて、本の内容を本人の言葉で説明できるかを見ます。物語なら出来事のつながり、説明文なら筆者の説明の理由を尋ねるなど、読んだ目的に合った確かめ方を選べます。ただし、好きな本を楽しむ時間まで毎回の試験にする必要はありません。学習のために成果を比べる場面では、時間と理解を別に扱うという使い分けです。

アプリを使わずに家庭で様子を確かめられますか

手元の設問つきの英文と時計があれば、読む時間と答え方を見られます。家庭で確かめる節の順に、読む、設問を解く、知らない語を数えるという流れで進めます。正解でも理由が曖昧だった設問を残しておくと、単に時間を短くする以外の課題を選べます。結果を子ども同士の速さ比べにせず、本人が次に理解したい箇所を探すために使います。

この記事の限界

測り方は、単語の正確さ、読む滑らかさ、読解の得点、推論の反応時間と幅があり、同じ「速さの改善」でも評価した力が違います。子どもの研究には研究用の訓練や小規模な準実験が含まれ、本人の前後の変化と、対照群との差を区別する必要があります。

日本の小中高生が市販の速読講座やアプリを使い、英検の長文の点や学校の成績が上がるかは、この研究群では確かめていません。家庭での計測は子どものつまずきを探す材料であり、研究と同じ条件で練習法の効果を判定するものではありません。読む際の困難が続くときは、実際に迷った文と解答を学校の先生に見てもらい、必要な支援を個別に考えることが大切です。

参考文献

  1. Nevo E, Breznitz Z. Effects of working memory and reading acceleration training on improving working memory abilities and reading skills among third graders. Child Neuropsychol. 2014;20(6):752-765.
  2. Horowitz-Kraus T, Cicchino N, Amiel M. Reading improvement in English- and Hebrew-speaking children with reading difficulties after reading acceleration training. Ann Dyslexia. 2014;64(3):183-201.
  3. Chang ACS. The effect of a timed reading activity on EFL learners: Speed, comprehension, and perceptions. Reading in a Foreign Language. 2010;22(2):284-303.
  4. Özkara Y, Mergen Gürses S, Bilişli Y. The Effect of Speed Reading Technique on Second-Grade Students’ Reading Comprehension Levels. SAGE Open. 2025;15(3).
  5. Klimovich M, Tiffin-Richards SP, Richter T. Does speed-reading training work, and if so, why? Effects of speed-reading training and metacognitive training on reading speed, comprehension and eye movements. J Res Read. 2023;46(2):123-142.
  6. Rayner K, Schotter ER, Masson ME. So Much to Read, So Little Time: How Do We Read, and Can Speed Reading Help? Psychol Sci Public Interest. 2016;17(1):4-34.
  7. Acklin D, Papesh MH. Modern Speed-Reading Apps Do Not Foster Reading Comprehension. Am J Psychol. 2017;130(2):183-199.
  8. Collins WM, Daniel F. The impact of reading at rapid rates on inference generation. J Res Read. 2018;41(3):564-581.
  9. Miyata H, Minagawa-Kawai Y, Watanabe S. Reading speed, comprehension and eye movements while reading Japanese novels: evidence from untrained readers and cases of speed-reading trainees. PLoS One. 2012;7(5):e36091.

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

  • 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
  • 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
  • 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
  • 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人

このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒、講師が一人の生徒に付きっきりの完全1対1で、大学教員や東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の大学院生などが教えます。アルバイト講師はいません。

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よくある質問

小学生のうちに速読を始めたほうがよいですか

学年だけを理由に始めるより、単語の読み間違い、文章の理解、読み終える時間のどこで困っているかを確かめます。子どもの訓練研究でも、対象の読みの状態や訓練内容は違い、伸びた指標も同じではありません。本人の困りごとに対応する課題を見つけ、その課題の成果を確かめる順番が役立ちます。早く始めること自体を目標にせず、読んだ後に何が答えられるようになりたいかを子どもと話せます。

本を速く読み終えたら、理解も伸びたと考えてよいですか

読み終わったことに加えて、本の内容を本人の言葉で説明できるかを見ます。物語なら出来事のつながり、説明文なら筆者の説明の理由を尋ねるなど、読んだ目的に合った確かめ方を選べます。ただし、好きな本を楽しむ時間まで毎回の試験にする必要はありません。学習のために成果を比べる場面では、時間と理解を別に扱うという使い分けです。

アプリを使わずに家庭で様子を確かめられますか

手元の設問つきの英文と時計があれば、読む時間と答え方を見られます。家庭で確かめる節の順に、読む、設問を解く、知らない語を数えるという流れで進めます。正解でも理由が曖昧だった設問を残しておくと、単に時間を短くする以外の課題を選べます。結果を子ども同士の速さ比べにせず、本人が次に理解したい箇所を探すために使います。