- 英語を母語とする講師に多く習った人の英語力や語彙が高いという報告はありますが、もともとの違いも含む相関です。
- 発音の指導をそろえた比較では、英語を母語としない講師でも、学習者の発音のわかりやすさは同程度でした。
- 聞き取りは、話し手の母語だけでなく、その発音への聞き慣れにも左右されます。
- 講師を好むこと、授業を役立つと感じること、英語の成績が伸びることは分けて読みます。
- 授業を見る際は、誤りの扱い、発音の説明、子ども自身がやり直せる機会を確かめます。
英語を母語とする講師の塾は伸びるか|講師の母語と発音・聞き取りの研究
英検会場で子どもを待つ時間に、次はどんな講師に英語を習うかと考える保護者もいるでしょう。Levis ほか(2016)は、発音の指導について「講師自身の母語としての発音より、知識に裏づけられた教え方に左右される」と結論づけています。英語を母語とする講師に習えば、日本人の講師に習うより、発音や聞き取りは伸びるのでしょうか。英語を母語とすることだけでは講師の優位は決まらず、発音の教え方と、子どもがその英語に聞き慣れているかを見る必要があります。
母語話者とは、その言語を生まれ育ちの中で身につけた人のことです。国籍と母語は同じ分類ではないので、比べる際は「英語を母語とする講師」と「英語を母語としない講師」に分けます。武蔵境で通える塾の案内を見比べるときも、講師の紹介と、授業で何を教えるかを並べて読むと、知りたい点を絞れます。流れるように話す姿への印象、説明の理解しやすさ、習った後の力の変化をそれぞれ確かめることが、選択の手掛かりになります。
要点
- 英語を母語とする講師に多く習った人の英語力や語彙が高いという報告はありますが、もともとの違いも含む相関です。
- 発音の指導をそろえた比較では、英語を母語としない講師でも、学習者の発音のわかりやすさは同程度でした。
- 聞き取りは、話し手の母語だけでなく、その発音への聞き慣れにも左右されます。
- 講師を好むこと、授業を役立つと感じること、英語の成績が伸びることは分けて読みます。
- 授業を見る際は、誤りの扱い、発音の説明、子ども自身がやり直せる機会を確かめます。
ネイティブ講師の効果は、何が伸びたかで読む
英語を日常的に使ってきた人に習うなら、自然な表現に触れられそうだと期待するのは理解できます。ただ、講師が多彩な表現を使うことと、子どもがその表現を使えるようになることは別の観察項目です。「英語が伸びる」という言葉も、話すときの語彙、作文の正確さ、音を聞き分ける力では意味が違います。比較する前に、子どもが今困っている場面を具体的にする必要があります。
Schenck(2018)は、韓国の英語学習者100人について、英語を母語とする講師に習った量と英語力の関係を調べました。習った量が多い人ほど英語力が高いという関係があり、相関係数は r = 0.26 でした。相関係数は、別々に測ったものがどの程度一緒に増減するかを表す数で、この研究の関連は弱いものでした。英語が得意な人ほど、そのような授業を選んだ可能性も残るため、授業によって伸びた量とは区別して受け止めます。
Schenck(2020)は、英語力の高い韓国の大学生の作文を、英語を母語とする講師に多く習ったと申告した群と、そうでない群で比較しました。前者は難しく多彩な語彙を使い、後者は言葉の使い方がより正確でした。この結果は、語彙の豊かさと正確さを別々に見たものです。同じ作文でも評価する面によって違いが出ており、どちらの講師が全面的に上かという順位にはなっていません。
家庭で目標を決めるなら、「英語を上手にする」からもう少し具体的な言葉へ移します。例えば、言いたいことに合う語を増やしたいのか、知っている語で文を正確に作りたいのかを、子どもの答案や発話から選びます。案内にある講師の母語を先に決め手にするより、困っていることを授業でどう扱うかを質問するほうが、比較する内容をそろえられます。
発音が上手な人と、発音を教える人の違い
Levis ほか(2016)は、英語を母語とする講師と、英語を母語としない講師が、同じ内容の発音の授業を担当した場合を比べました。学習者が話す英語のわかりやすさを、英語を母語とする聞き手が評価すると、どちらの講師でも評価は同程度でした。学習者の多くは英語を母語とする講師を好んでいたものの、その好みと発音の評価は一致していませんでした。研究者が重視したのは、講師がどのように発音を教える知識を持っているかでした。
この比較で見ているのは、学習者の英語が聞き手にとってどれほどわかりやすくなったかです。講師自身の発音を品評した結果でも、学習者が講師と同じ話し方になったかを判定した結果でもありません。家庭で授業を見比べる際にも、講師の音を聞いて感心する場面だけで評価を終えず、説明を受けた子どもが何を変えられたかに目を向けられます。
例えば、子どもが聞き分けられない音を講師が繰り返したとき、本人が違いをつかめたかを確かめます。同じ見本を聞いても戸惑っているなら、説明の言葉を変えたり、違いのある部分を取り出したりする様子が観察の対象になります。ここでは、研究の比較対象だった教え方に目を向けるため、家庭で観察できる場面を例にしています。
また、保護者自身が英語の音を詳しく判定できなくても、やり取りの順序は見られます。子どもが言った後に説明があり、本人がもう一度試し、講師がその変化を確かめているかを追います。「発音がきれいだった」という感想に、子どもが理解した説明の内容を添えることで、授業後に話し合う材料が具体的になります。
聞き取りを変えるのは、話し手の分類だけではない
Butler(2007)は、韓国の小学6年生312人を、同じ人が米国風または韓国風の発音で読んだ録音を聞く群に、無作為に分けました。無作為とは、参加者の得意不得意などで意図的に群を決めずに割り当てることです。聞き取りの成績に差はありませんでしたが、子どもたちは米国風の発音を高く評価し、講師としても好みました。聞いた印象から「よく学べる」と判断する前に、実際に意味を取れたかを見る理由になる結果です。
Ockey と French(2016)は、英語の試験の受験者21,726人に、英語を母語とする異なる話し手の講義を無作為に割り当てました。話し手は米国・オーストラリア・英国の出身で、訛りの強さと聞き手の慣れが聞き取りに影響しました。ここでいう訛りは、言語や地域による発音の特徴の違いです。英語を母語とする話し手の間でも、聞き手にとっての理解しやすさは一様ではありませんでした。
Harding(2012)は、オーストラリア英語、日本語の特徴を含む英語、中国語の特徴を含む英語で、聞き取りテストを比べました。中国語を母語とする聞き手は、中国語の特徴を含む版で有利でした。日本語を母語とする聞き手にも一部の問題で有利さがありましたが、別の問題では逆になり、打ち消し合っていました。同じ母語を持つ話し手なら常に聞きやすい、とまとめるのも適切ではありません。
Miao(2023)の英語学習者への質問紙調査では、発音への慣れを考慮すると、母語を共有するかどうかは理解しやすさを予測しませんでした。この研究が測ったのは、回答者が感じるわかりやすさです。家庭では聞き取りの正答と本人の感想を別々に扱い、聞き慣れた声かどうかも尋ねると、つまずきの説明を講師の属性だけに求めずに済みます。
授業への好意と、英語力の伸びを分けて比べる
Pae(2017)は、講師の母語によって生徒の英語学習への態度や意欲に差があると報告しました。ただし、その違いは英会話か実用英語かという授業の種類で変わりました。家庭でも「楽しそうだった」という本人の受け止め方を大切にしつつ、何を練習した時間だったかを合わせて聞くと、授業の目的に沿って評価できます。
Johannes(2012)は、千葉県の高校で生徒112人、日本人の英語教師4人、外国語指導助手2人に調査しました。生徒は両方の教員がいる協同授業を好み、英語力を伸ばすのに役立つと感じていました。質問紙と面接による受け止め方の結果なので、ここでは授業の評価として読みます。教える人が協力する授業を子どもがどう感じるか、という観点も候補に加わります。
Fuangkarn と Rimkeeratikul(2020)は、タイのチェンマイの私立小学校の高学年252人について、担当講師の母語ごとに英語力の伸びを比較しました。どちらのクラスも伸びましたが、英語を母語としない講師のクラスの伸びが大きいという結果でした。これは普段のクラスを調べた観察研究で、講師を無作為に割り当てた比較ではありません。母語以外にも授業や学習者の条件が含まれる比較として読む必要があります。
研究を並べるときには、何と何を比べているかを先に見ます。受け止め方を尋ねた調査と、テストの伸びを比べた調査を同じ欄に混ぜると、好まれた授業が成績でも優れていたように見えてしまいます。次の表は結果を順位に置き換えず、比較の対象と測った内容の違いを見るためのものです。
| 研究 | 比べた相手・条件 | 測った内容 | 読むときの焦点 |
|---|---|---|---|
| Schenck(2018) | 英語を母語とする講師に習った量の違い | 英語力との関連 | 学び始める前の違いも含む比較 |
| Levis ほか(2016) | 母語が異なる講師による同じ発音指導 | 学習者の発音のわかりやすさ | 教える内容をそろえた比較 |
| Johannes(2012) | 日本人教師と外国語指導助手の協同授業への評価 | 生徒らの受け止め方 | テストの伸びとは別の評価 |
| Fuangkarn と Rimkeeratikul(2020) | 担当講師の母語が異なるクラス | 英語力の伸び | 普段のクラスどうしの観察 |
理解が止まる授業なら、説明の条件を見直す
講師の話す英語に期待が集まると、子どもが理解できていない部分を置き去りにしていないかも気になります。説明の後で何を直せばよいかわからない子には、そのまま先へ進む授業は選びにくいものです。講師が英語を母語とするかどうかにかかわらず、説明を受け取れているかを、本人の言葉で確かめることを勧めます。
例えば、聞き取りが苦手だという子には、使った教材の文字を見ながら、知っている語だったかを確認できます。文字なら意味が取れるのか、文字を見ても意味がわからないのかで、講師に伝える困りごとの内容は変わります。保護者が音の正しさを採点する必要はなく、子どもがどこで止まったかを一緒に探す作業です。聞けなかったことを講師の出身や本人の努力だけで説明せず、次の授業で確かめたい箇所を選びます。
説明が理解できた子にも、どこを直したのかを尋ねられます。「もう一度言ってと言われた」だけなら、本人が違いを意識しているかを講師に伝えます。「語の終わりの音を確かめた」など具体的に話せれば、その内容を次の授業の確認に使えます。答えを長く話すのが難しい子は、教材の該当箇所を指す形でも構いません。
授業への好みがはっきりしている場合も、その理由を聞くと選択に役立ちます。会話を続けたいのか、説明の言葉が理解しやすいのか、間違えた後にやり直せるのかを分けて尋ねます。好みを否定せず、その授業で学びたい内容を扱えているかまで確かめれば、講師への印象と学習上の必要を一緒に検討できます。
家庭で確かめる、誤り・説明・やり直し
授業の見学や教材の説明を聞く機会には、子どもが最近つまずいた箇所を持っていくと、観察する対象が定まります。会話の受け答えでも、読めなかった語でも、本人が困ったと覚えているものを選びます。その箇所をどのように扱うか見せてもらえば、講師の紹介文だけでは見えない授業の進め方を確かめられます。
観点は次のように分けておくと、見学中にも追いやすくなります。すべての誤りをその場で直すかではなく、今回何を練習するのかが本人に伝わっているかを見ます。保護者の英語の知識を試すための項目ではなく、子どもと講師のやり取りを観察するための項目です。
授業の後は、保護者の感想を先に伝える前に、子どもがわかったところと困ったところを聞きます。見学で使った語や文があれば、それを指しながら説明してもらえます。別の授業を比べる場合にも同じ困りごとを伝えると、会話の楽しさだけで比較が終わらず、必要な説明を受けられたかまで見られます。
発音を学びたい子には説明を理解できる授業を、聞き取りに困る子には聞けなかった部分を扱える授業を、具体的な候補として検討します。講師の母語は紹介の一項目として受け取り、子どもの困りごとへの対応と並べて判断します。子どもに向けた「英語を母語とする人に習わないと上達しない」という一言は避けたいものです。
よくある質問
英語が苦手な子は、英語を母語としない講師を選ぶべきですか
苦手という理由だけで決めず、何の説明が必要かから選びます。聞いた指示の意味がつかめないのか、知っている語を言うときに困るのかを、教材で確かめます。授業中に止まったところで質問でき、受け取れる説明が返ってくるかが観察の焦点です。本文のチェック項目を使うと、講師の母語が違っても同じ観点で比べられます。
子どもが英語を母語とする講師を希望したら、尊重してよいですか
本人の希望は、授業を選ぶ材料として扱えます。どんな会話をしたいのか、どの説明が好きだったのかを聞けば、希望の中身を具体的にできます。そのうえで、授業後に本人が説明できる内容や、やり直せた箇所も見ます。「好きだった」と「習ったことを使えた」の両方を聞くことで、希望を否定せずに授業との相性を確かめられます。
保護者が英語を話せなくても、講師の教え方を見られますか
細かな音の採点をする代わりに、子どもと講師のやり取りを追えます。子どもが戸惑った後で説明が変わったか、本人が試し直す場面があったかは、本文の手順で観察できます。家では教材を開き、直したところを指してもらう方法もあります。保護者が正しい発音を教える役を引き受けなくても、本人に必要な説明が届いていたかは話し合えます。
この記事の限界
適用範囲は、海外の英語学習者の比較や聞き取り課題、日本の高校での授業の受け止め方が中心です。英検の合否や点数、日本の小中高生の塾での英語力の伸びを、講師の母語別に確かめた結果は含みません。
授業を選んだ経歴の調査、普段のクラスの観察、録音を聞く実験では、比較の条件や測る時間の幅が異なります。講師の母語と教え方を完全に分離した長期の成績比較として、これらの結果をひとまとめにはできません。個々の子が必要とする説明や学校での課題は、本人の教材を見ながら学校の先生や担当講師と確かめる事柄です。
参考文献
- Schenck A. NESTs, Necessary or Not? Examining the Impact of Native English Speaker Instruction in South Korea. Journal of International Education and Leadership. 2018.
- Schenck A. Examining the Influence of Native and Non-Native English-Speaking Teachers on Korean EFL Writing. Asian-Pacific Journal of Second and Foreign Language Education. 2020;5(1).
- Pae TI. Effects of the Differences between Native and Non-Native English-Speaking Teachers on Students’ Attitudes and Motivation toward Learning English. Asia Pacific Journal of Education. 2017;37(2):163-178.
- Johannes AA. Team Teaching in Japan from the Perspectives of the ALTs, the JTEs, and the Students. TEFLIN Journal. 2012.
- Ockey GJ, French R. From One to Multiple Accents on a Test of L2 Listening Comprehension. Applied Linguistics. 2016;37(5):693-715.
- Levis JM, Sonsaat S, Link S. Native and Nonnative Teachers of L2 Pronunciation: Effects on Learner Performance. TESOL Quarterly. 2016;50(4):894-931.
- Butler YG. How Are Nonnative-English-Speaking Teachers Perceived by Young Learners? TESOL Quarterly. 2007;41(4):731-755.
- Fuangkarn K, Rimkeeratikul S. An Observational Study on the Effects of Native English-Speaking Teachers and Non-Native English-Speaking Teachers on Students’ English Proficiency and Perceptions. Arab World English Journal. 2020;11(3):241-259.
- Harding L. Accent, Listening Assessment and the Potential for a Shared-L1 Advantage: A DIF Perspective. Language Testing. 2012;29(2):163-180.
- Miao Y. The Relationship among Accent Familiarity, Shared L1, and Comprehensibility: A Path Analysis Perspective. Language Testing. 2023;40(3):723-747.
通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。
- 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
- 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
- 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
- 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人
このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒、講師が一人の生徒に付きっきりの完全1対1で、大学教員や東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の大学院生などが教えます。アルバイト講師はいません。
よくある質問
英語が苦手な子は、英語を母語としない講師を選ぶべきですか
苦手という理由だけで決めず、何の説明が必要かから選びます。聞いた指示の意味がつかめないのか、知っている語を言うときに困るのかを、教材で確かめます。授業中に止まったところで質問でき、受け取れる説明が返ってくるかが観察の焦点です。本文のチェック項目を使うと、講師の母語が違っても同じ観点で比べられます。
子どもが英語を母語とする講師を希望したら、尊重してよいですか
本人の希望は、授業を選ぶ材料として扱えます。どんな会話をしたいのか、どの説明が好きだったのかを聞けば、希望の中身を具体的にできます。そのうえで、授業後に本人が説明できる内容や、やり直せた箇所も見ます。「好きだった」と「習ったことを使えた」の両方を聞くことで、希望を否定せずに授業との相性を確かめられます。
保護者が英語を話せなくても、講師の教え方を見られますか
細かな音の採点をする代わりに、子どもと講師のやり取りを追えます。子どもが戸惑った後で説明が変わったか、本人が試し直す場面があったかは、本文の手順で観察できます。家では教材を開き、直したところを指してもらう方法もあります。保護者が正しい発音を教える役を引き受けなくても、本人に必要な説明が届いていたかは話し合えます。