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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月22日

机の照明は明るいほどよいか|教室の照明と学力の研究

食卓に教科書とノートを広げると、皿を置いていたときには気にならなかった手元の影が目に入ります。子が鉛筆を動かす位置と、天井の照明が照らす位置を見比べたくなる場面です。武蔵境で通学や通塾の後に食卓を勉強場所として使う家庭なら、食事のときの見え方だけで判断せず、実際に読む姿勢で確かめたいところです。スタンドを足して明るくすれば、集中や読む速さまで上がるのでしょうか。

この記事の要点
  • 教室の照明を変えて読みや注意に改善が見られた研究はありますが、測る力によって結果が異なります。
  • 明るさと光の色味を同時に変えた比較を、明るさだけの効果として読むことには注意が必要です。
  • 読む速さ、内容の理解、勉強への意欲を別々に見ると、研究の結果を受け止めやすくなります。
  • 家庭での確認は、照明の設定の強さより、ちらつき・まぶしさ・手元の影から始められます。

机の照明は明るいほどよいか|教室の照明と学力の研究

食卓に教科書とノートを広げると、皿を置いていたときには気にならなかった手元の影が目に入ります。子が鉛筆を動かす位置と、天井の照明が照らす位置を見比べたくなる場面です。武蔵境で通学や通塾の後に食卓を勉強場所として使う家庭なら、食事のときの見え方だけで判断せず、実際に読む姿勢で確かめたいところです。スタンドを足して明るくすれば、集中や読む速さまで上がるのでしょうか。

机の照明は明るいほどよいとは言えず、教室の研究でも、改善したのは読みの速さや注意の一部に限られます。 明るさを変えることに加え、光の色味や使う時間帯を変えた研究もあるため、何を変えた結果なのかが大切です。成績を伸ばす設定を探す前に、まぶしさ、ちらつき、手の影を子と一緒に見てみるという順序を提案します。照明の評価を子の意欲の評価に結びつけず、まず教科書の文字とノートの筆跡を楽に見られるかを確かめるためです。

要点

  • 教室の照明を変えて読みや注意に改善が見られた研究はありますが、測る力によって結果が異なります。
  • 明るさと光の色味を同時に変えた比較を、明るさだけの効果として読むことには注意が必要です。
  • 読む速さ、内容の理解、勉強への意欲を別々に見ると、研究の結果を受け止めやすくなります。
  • 家庭での確認は、照明の設定の強さより、ちらつき・まぶしさ・手元の影から始められます。

明るさと色味は別の条件です

照明を明るくする話と、青白い光にする話は、分けて考える必要があります。色温度は光の色味を表す値で、数字が大きいほど青白くなります。色温度の単位はケルビンで、紙の面に届く光の明るさを表すルクスとは別です。照明の説明で両方の数字を見かけても、同じ意味の目盛りとして扱わないことが出発点になります。

学校の研究でよく出てくるのは、明るさや色味を変えられる照明です。授業の内容に合わせて設定を選ぶ場合や、時間とともに設定を変える場合があります。家庭のスタンドの明るさを上げる操作と比べると、変えている条件の組み合わせが違います。研究を読む際は、照明を交換したかどうかだけでなく、光のどの性質を変え、普段の照明とどう違う使い方をしたのかを見る必要があります。

Sleegers ほか(2013)は、オランダの小学生を対象とした3つの実験で、照明の条件が集中に良い影響を与えたと報告しています。学校での比較に加え、窓のない実験室でも調べている点が特徴です。学校での比較には準実験、つまり子どもをくじ引きで各条件に分ける方法を使わない実験が含まれています。学校の授業に近い条件で調べた意義と、集団の違いが結果に関わる余地の両方を考えて読む研究です。

家庭で見直す際は、今の照明で困っていることを先に言葉にすると、変更する箇所を絞れます。たとえば、ページ全体が見づらいのか、書いている部分だけが影になるのか、光が目に入って気になるのかを分けます。子が「明るい」と言ったときも、文字を見やすいという意味なのか、まぶしいという意味なのかを聞き直せます。この区別をつけると、明るさの設定を上げ続ける以外の調整も検討できます。

読みの速さが伸びても、読解とは分けます

Barkmann ほか(2012)は、2校でそれぞれ2学級を9か月調べ、照明を変えられる学級と対照の学級を比べました。教室の「集中」設定を使ったときの変化を、読みの速さだけでなく、注意や意欲などの指標でも調べています。長く使う教室の環境を、複数の学習面から評価しようとした研究です。どの指標が改善したかは、下の表のように分けると捉えやすくなります。

Mott ほか(2012)は小学3年生84人で、明るく色温度の高い照明と通常の照明を比べています。ここでいう音読の流暢さは、声に出して文章を滑らかに読む力です。同じ研究班のMott ほか(2014)は、学習につまずく危険のある小学3年生172人を対象に、まぶしさを抑えた明るい照明の下で読みの授業を行いました。後の研究は年間の読みの授業を扱っており、照明を点けた直後の変化だけを見る比較とは異なります。

研究 比べた相手・条件 改善が報告された指標 改善が示されなかった指標・検討課題
Barkmann ほか(2012) 照明を変えられる学級と対照学級 注意テストの誤り、読みの速さ 読解の改善は統計的に有意でなく、達成意欲と学級の雰囲気は変化なし
Mott ほか(2012) 明るく色温度の高い照明と通常照明 音読の流暢さの伸びは変更した組で36%、対照で17% 意欲と集中に照明の効果なし
Mott ほか(2014) まぶしさを抑えた明るい照明と通常照明 読みの授業で音読の流暢さがより速く向上 照明が学習に関わる仕組みは追加の検討が必要

高校生や大学生でも結果は一様ではありません

Yang ほか(2026)は、台湾の高校1年生の女子を対象に、5学級に異なる取り組みを割り当てて19週間比べました。朝4時間の疑似太陽光を使う照明では、通常の室内照明などを使う対照と比べ、睡眠時間・気分・集中に改善が見られました。睡眠について学ぶ授業と照明を組み合わせた学級では、学業成績の改善も報告されています。ただし各条件がそれぞれの学級に対応するため、照明や授業による差と、学級にもともとあった違いを切り分けにくい比較です。

Bae ほか(2026)の研究は、韓国の男子高校生65人で行われた2週間の予備的な比較です。青から水色に当たる光を強めた照明を、通常の照明と比べています。測定項目を並べると、変化のあった注意の一部と、変化が示されなかった睡眠・気分を区別できます。朝の疑似太陽光を使った先の研究とは、対象者も期間も照明の条件も違います。

研究 比べた相手 改善が報告された指標 改善が示されなかった指標
Bae ほか(2026) 青から水色の光を強めた照明と通常照明 注意テストの一部で誤りが相対的に減少 睡眠と気分には統計的に有意な効果なし

Liu ほか(2020)は、中国の武漢大学の教室で、大学生79人が異なる照明環境で自習した前後を調べました。照明によって部屋の雰囲気や肌の色の好みは変わりましたが、眠気の程度と注意には測れる効果がありませんでした。文字を読む快適さに影響したのは、照明より紙の色でした。この結果を読むときは、部屋を好ましく感じる評価と、課題をこなす成績を別の項目として扱うことが大切です。

研究全体から明るさの正解を探す難しさ

Kompier ほか(2020)は、動的照明について14本の研究を集めた系統的レビューを行いました。動的照明とは、時間に応じて明るさや色味を変える照明です。系統的レビューは、あらかじめ決めた条件で研究を集め、その結果や方法を検討するまとめ方です。このレビューでは、照明の設計、説明の根拠、評価の方法などが研究によって大きく異なっていました。

研究者は、人の働きに良い影響を与える可能性を認めつつ、照明の条件を記述し評価する方法がそろっていないとしています。ここが、研究の本数だけを数えて結論を出しにくい理由です。光の色味を変えた研究と、光を浴びる時間帯を変えた研究では、同じ名前の照明でも実際に行ったことが異なります。対象が子どもに限られていないことも、学校の学習を考える際に見るべき条件です。

比べた相手にも目を向けると、結果を読み違えにくくなります。学校で普段使っている照明との比較は、その学校で行った変更の評価です。すでに異なる照明が使われている場所で、同じ変更が必要かどうかは別の判断になります。家庭では「研究で良かった設定」を探す前に、今の状態と変えた後の状態を、同じ教材を置いて見比べる方法が取りやすくなります。

また、「集中」という言葉で何を測ったのかも見ておきたい点です。注意テストの見落とし、本人の感じ方、授業に取り組む意欲は、いずれも保護者には気になる項目ですが、同じ結果ではありません。宿題を終えるまで席にいたことと、読んだ内容を説明できることも、家庭で見る項目として分けられます。照明を変えた後に評価する項目を決めておくと、部屋の印象だけで効果を判断するのを避けられます。

ちらつきやまぶしさが気になる子を基準にします

Laycox ほか(2024)は、ちらつきのある光と、点滅を感じない光の下で音読の速さを比べました。不快な視覚環境では読む効率が下がり、見え方の刺激に敏感な人ほど影響を受けるとしています。調べたのは光のちらつきであり、単純な明るさの強弱とは異なります。明るさの設定だけを見ていると、このような光の質の問題を見落とすおそれがあります。

子が照明の変更を嫌がったときは、勉強を避けていると解釈する前に、何が気になるのかを聞く順序を勧めます。光源が目に入るのか、紙に光が映るのか、明滅する感じがあるのかを、子の位置から確かめます。保護者の立ち位置では気にならなくても、子がいつもの姿勢で見る場合を確認する意味があります。明るくした設定でまぶしいと感じる子には、その設定を保ったまま慣れるよう求めない対応ができます。

家庭での観察では、ちらつきが気になるかを尋ねることと、機器の性能を測定することを分けます。子の訴えは、使っていて困る条件を知るための情報です。照明を見つめて我慢比べをしたり、不快な条件で課題を続けさせたりする必要はありません。すぐに気になる場合は元の状態に戻し、照らす向きや使う場所を見直す候補にできます。

明るさを上げても文字を追いにくいときは、照明の設定だけを何度も変えるより、困っている場面を具体化します。ノートへの書き込み、教科書の音読、光沢のあるページを見るときなど、同じ困り方が出るかを確かめます。学校でも同様に困る場合は、その場面を学校の先生に伝えると、家庭以外の様子と照らし合わせられます。保護者の好みの光を基準にするより、本人が実際に教材を使う場面から調整する考え方です。

家庭では教材を置いてから照明を調整します

まず、いつもの位置に教科書とノートを置き、子に普段どおり座ってもらいます。保護者も子の目の高さに近づき、文字のある面に光が映り込まないかを見ます。次に、鉛筆を持って書く動きをしてもらい、手の影が書く場所に重ならないかを確かめます。読むときだけでなく書くときも見ることで、学習中のどの動作で困るかをつかめます。

調整は、照明の向きや位置など、変えた箇所がわかる形で進めます。向き、明るさ、座る場所を一度にすべて変えると、どの変更が助けになったかを振り返りにくくなります。元の状態に戻せるようにしておけば、変更後のほうがまぶしいという反応にも対応しやすくなります。以下は成績を測る検査ではなく、子と見え方を確かめるための確認項目です。

  • いつもの姿勢で、光源が直接目に入らないか
  • 教科書のページやノートに、気になる反射がないか
  • 鉛筆を動かしたとき、書く場所を手の影が覆わないか
  • 文字を読んでいる間に、ちらつきやまぶしさを感じないか
  • 向きや位置を変えた後、元の状態と比べて楽に見られるか

調整後は、子の「見やすい」という感想と、実際に読み書きする様子を合わせて見ます。音読なら急がせずに普段の読み方で試し、内容について話す場面も別に設けられます。書く課題なら、影を避けるために何度もノートを動かしていないかを見ます。変更の目的を、得点の約束ではなく、今ある見づらさを減らすことに置くと、本人も感想を伝えやすくなります。

照明を変えた後も、子が見やすいと感じる条件を維持できるかを確かめます。食卓では教材の位置が毎回変わることもあるため、以前と同じ設定という理由だけで判断せず、その日に開いたページの見え方を確認できます。Mott ほか(2012)が調べた84人の結果でも、音読の伸びと意欲・集中への効果は一致していませんでした。

よくある質問

青白い照明にすれば集中しやすくなりますか

光の色味だけで集中のしやすさを決めるのは早計です。教室の研究には、色味と明るさを一緒に変えたものや、朝に特定の光を使ったものがあり、変更内容が異なります。「明るさと色味は別の条件です」の節を踏まえ、家庭では子がまぶしいと感じないか、教材の文字が見やすいかを確かめるところから始められます。

音読が速くなったら、理解も良くなったと考えてよいですか

速さと理解は別々に確かめる必要があります。教室の比較表にあるように、読みの速さが改善しても、読解で明確な改善が示されなかった研究があります。家庭で様子を見るときも、読み終えた時間だけに注目せず、何が書かれていたかを子の言葉で説明してもらうと、速さとは別の面を見られます。

新しいスタンドを用意する前に何を試せますか

手元の照明の向きや教材の位置を変え、影や反射がどう変わるかを確かめられます。保護者が上から机を見るだけで終えず、子が実際に座って鉛筆を持った姿勢で試すことが大切です。まぶしさやちらつきが気になる場合はその状態で続けさせず、元に戻したときとの見え方の違いを本人に聞いて調整できます。

この記事の限界

対象は学校の児童・生徒や大学生が中心で、日本の小中高生の家庭の机で照明を変え、成績を比べた研究はこの研究群に含まれていません。人数や学級が少ない比較や、無作為に組を分けていない比較もあり、光の効果と集団の違いを分けるうえで制約があります。

照明と学習をめぐる結果は、音読や注意テストなど、測った課題ごとに読む必要があります。夜の青白い光を家庭で使うことの睡眠への影響は、ここで扱った学校の照明研究とは別に検討する課題です。本人の見づらさが調整後も続く場合には、困る教材や場面を学校の先生と共有し、個別の対応につなげることが大切です。

参考文献

  1. Barkmann C, Wessolowski N, Schulte-Markwort M. Applicability and efficacy of variable light in schools. Physiology & Behavior. 2012;105(3):621-627.
  2. Sleegers P, Moolenaar N, Galetzka M. Lighting affects students’ concentration positively: findings from three Dutch studies. Lighting Research & Technology. 2013;45(2):159-175.
  3. Mott MS, Robinson DH, Williams-Black TH. The supporting effects of high luminous conditions on grade 3 oral reading fluency scores. SpringerPlus. 2014;3:53.
  4. Yang YC, Wang JS, Karan M. Smart lighting and mindfulness interventions: pathways to better health and learning in high school education. Journal of Sleep Research. 2026;35(4):e70307.
  5. Bae S, Hwang E, Jung KY. Real-world effects of melanopic-enhanced classroom lighting on sleep, mood, and cognition in male Korean adolescents: a field-based pilot study. Clocks & Sleep. 2026;8(1):6.
  6. Mott MS, Robinson DH, Walden A. Illuminating the effects of dynamic lighting on student learning. SAGE Open. 2012;2(2).
  7. Kompier M, Smolders K, de Kort Y. A systematic literature review on the rationale for and effects of dynamic light scenarios. Building and Environment. 2020;186:107326.
  8. Liu Q, Huang Z, Li Z. A field study of the impact of indoor lighting on visual perception and cognitive performance in classroom. Applied Sciences. 2020;10(21):7436.
  9. Laycox CA, Thompson R, Haggerty JA. Flicker and reading speed: effects on individuals with visual sensitivity. Perception. 2024;53(8):512-528.

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よくある質問

青白い照明にすれば集中しやすくなりますか

光の色味だけで集中のしやすさを決めるのは早計です。教室の研究には、色味と明るさを一緒に変えたものや、朝に特定の光を使ったものがあり、変更内容が異なります。「明るさと色味は別の条件です」の節を踏まえ、家庭では子がまぶしいと感じないか、教材の文字が見やすいかを確かめるところから始められます。

音読が速くなったら、理解も良くなったと考えてよいですか

速さと理解は別々に確かめる必要があります。教室の比較表にあるように、読みの速さが改善しても、読解で明確な改善が示されなかった研究があります。家庭で様子を見るときも、読み終えた時間だけに注目せず、何が書かれていたかを子の言葉で説明してもらうと、速さとは別の面を見られます。

新しいスタンドを用意する前に何を試せますか

手元の照明の向きや教材の位置を変え、影や反射がどう変わるかを確かめられます。保護者が上から机を見るだけで終えず、子が実際に座って鉛筆を持った姿勢で試すことが大切です。まぶしさやちらつきが気になる場合はその状態で続けさせず、元に戻したときとの見え方の違いを本人に聞いて調整できます。