武蔵境 塾えらびガイド武蔵野市・武蔵境駅周辺の学習塾を公式情報で比較

公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月26日

勉強中にホワイトノイズを流すと集中できるか|雑音と注意の研究

改札前では、通り過ぎる人の足音に案内の声や改札機の音が重なります。待ち合わせの間に教材を開いても、文字より周囲の音に気を取られる場面があります。それなのに勉強用の雑音をわざわざ足すという話を聞くと、静かにする工夫とは逆に感じるかもしれません。家で宿題をするときにも、ホワイトノイズを流すと集中しやすくなるのでしょうか。

この記事の要点
  • 注意の状態によって、雑音を加えたときの成績の変化は異なります。
  • 実験室の課題で見られる平均的な効果は小さく、音を流せば学習全般がよくなるという結果ではありません。
  • 記憶、目の動き、読むこと、書くことを分けて結果を見ると、研究どうしの違いがわかります。
  • 家庭で比べるなら、宿題の種類をそろえ、進み具合と負担を子と一緒に見ます。

勉強中にホワイトノイズを流すと集中できるか|雑音と注意の研究

改札前では、通り過ぎる人の足音に案内の声や改札機の音が重なります。待ち合わせの間に教材を開いても、文字より周囲の音に気を取られる場面があります。それなのに勉強用の雑音をわざわざ足すという話を聞くと、静かにする工夫とは逆に感じるかもしれません。家で宿題をするときにも、ホワイトノイズを流すと集中しやすくなるのでしょうか。

ホワイトノイズは、ザーという、全周波数にわたる成分を含む雑音です。研究では、音を加えたときと加えなかったときに、言葉を覚える課題や注意を保つ課題の成績がどう変わるかを比べています。注意に困難のある一部の子では短い課題に小さな効果がありますが、効果がない子や、かえって成績が下がる子もいます。「集中用」と呼ばれていることより、誰が何をしているときの結果なのかが判断の出発点です。

要点

  • 注意の状態によって、雑音を加えたときの成績の変化は異なります。
  • 実験室の課題で見られる平均的な効果は小さく、音を流せば学習全般がよくなるという結果ではありません。
  • 記憶、目の動き、読むこと、書くことを分けて結果を見ると、研究どうしの違いがわかります。
  • 家庭で比べるなら、宿題の種類をそろえ、進み具合と負担を子と一緒に見ます。

雑音を足す研究は、何と何を比べているか

ホワイトノイズの研究で問うているのは、普段の生活音が多い場所ほど勉強に向くかではありません。決められた課題をする間に、一定の性質の雑音を加えるかどうかを変えて比べています。会話や案内の声が次々に変わる改札前の音と、研究で用いる雑音は区別して読む必要があります。雑音という同じ言葉でも、比べている条件が違えば、家庭で確かめたいことも変わります。

Söderlund ほか(2007)は、ADHD(注意欠如・多動症)の子と対照の子が、雑音のある条件とない条件で記憶課題に取り組む実験を行いました。ホワイトノイズを加えると、診断のある組の成績は上がり、対照の組は下がりました。同じ音を加えても、組によって変化の向きが逆だった点が、この研究を読む際の中心です。音そのものに学習を助ける性質があると一括りにせず、対象者との組み合わせで捉える結果です。

研究者はこの結果を、確率共鳴という、適度な雑音が信号を拾いやすくする現象で説明しています。これは結果について研究者が示した説明であり、家庭で音を強くするほど有利になるという意味ではありません。保護者が先に決めたいのは音の強さを追い込むことではなく、そもそも子が音を足すことを望んでいるかです。静かな状態を好むなら、その希望も比較の出発点にできます。

Söderlund ほか(2010)の中学・高校段階の生徒による短い言葉の記憶課題でも、不注意の傾向がある子では成績が上がり、注意深い子では下がりました。この研究の雑音条件は78デシベルでしたが、これは実験の設定であり、家庭でまねる音量の目安ではありません。著者も、より多い人数と雑音の水準での追試を求めています。

研究をまとめても、効果は小さい

個別の実験だけでなく、研究を集めて全体の傾向を見る方法もあります。メタ分析では、雑音がある条件とない条件の差などを複数の研究から集め、全体としての効果を計算します。効果量は、得点のばらつきを物差しにして差の大きさを表した数で、学校の試験で何点上がるかを直接示す数ではありません。結果を読むときは、効果があるかと、どれほど大きいかを分けて考えます。

Nigg ほか(2024)は、ADHDの診断があるか、その症状が強い子どもと大学生年代の若者を調べた13研究、335人の結果をまとめました。対象となったのはホワイトノイズと、低い音の成分が強い雑音であるピンクノイズです。実験室の注意課題に対する効果はg = 0.249で、統計的には有意でも大きさは小さいという結果でした。一方、診断のない人には利益が見られず、すべての参加者に共通する効果ではありませんでした。

ここでいう有意とは、統計的な検討で偶然のばらつきだけでは説明しにくい差が見られたという意味です。毎日の宿題で保護者がはっきり気づくほど変わる、という意味とは別です。平均の小さな差を読む際には、目立つ成功例を思い浮かべるより、音を足しても変わらない可能性を含めて見通しを立てます。子が嫌がる音を、効果があるはずだとして続けさせる理由にはなりません。

また、この分析は性質の異なる雑音をまとめて検討しています。ピンクノイズの名前が挙がっていることだけで、ホワイトノイズよりよい選択だと順位を付ける読み方は避けます。家庭で音の種類まで次々に変えると、何が本人に合っていたのかを振り返りにくくなります。研究を選択の材料にするときも、音の名前と結果の大きさを混同しないことが肝心です。

上がる子、下がる子、変わらない子を分ける

Helps ほか(2014)は、学校の先生が評定した注意の高い子25人、通常の子29人、低い子36人を対象に、雑音を加えた課題の成績を比べました。対象は8〜10歳で、注意の低い組では実行機能、つまり行動や考えを切り替えて調整する力に関わる課題の成績が上がりました。注意の高い組では下がり、通常の組には影響がありませんでした。家庭での印象で子を分類するのではなく、研究では評定した集団を分けて結果を見ている点に注目します。

Lin(2022)は、ADHDの幼児と定型発達の幼児によるコンピューター上の注意課題を調べました。定型発達は、ここでは比較対象となった、典型的な発達の経過にある子どもの組を指します。雑音は診断のある組の注意課題の成績を上げ、多動の行動を減らした一方、定型発達の組には役立たず、負担になりました。幼児の課題でも、同じ方法を一律に使うことの難しさが表れています。

研究で比べた課題・条件 上がった子 下がった子・負担があった子 変わらなかった子
注意の評定で組を分け、ホワイトノイズを加えた課題を比較した研究 注意の低い組の実行機能課題 注意の高い組 注意が通常の組
診断の有無で組を分け、幼児の注意課題を比較した研究 診断のある組 定型発達の組に負担 この整理では該当なし

診断が同じでも、課題と特徴で結果が違う

Jostrup ほか(2024)は、ADHDの子の目の動きを抑える課題で、聞こえる雑音や画面のちらつきによる刺激と、雑音のない条件を比べました。目の動きを抑えるとは、視線を勝手に動かさずに保つなど、課題に合わせて視線を制御することです。この実験ではホワイトノイズによる成績の向上は見られませんでした。記憶課題に効果が出た研究と並べると、「注意に関わる課題」という広い分類の中にも違いがあるとわかります。

Söderlund ほか(2024)は、ADHDの診断のある子43人に、見た位置などの情報を一時的に覚えて扱う課題を行いました。聞こえる雑音と見える雑音を実験で調整しましたが、全体では有意な効果がありませんでした。不注意の特徴が強い子はよくなり、多動や衝動の特徴が強い子では成績が下がりました。診断が同じでも、集団の中の違いによって平均の結果だけでは見えない反応が生じています。

この違いは、保護者が子の特徴から使う音を処方するための表ではありません。音を流して落ち着いたかどうかだけを見て、診断の有無や種類を推測することも避けます。研究結果から受け取れる実用的な視点は、子が集中できないと話す場面を、何をする課題なのかまで具体的に見ることです。言葉を覚えるときの困りごとと、文字を追うときの困りごとを同じものとして扱わずに記録できます。

たとえば、教材を読んでいる間に手が止まる場合と、書く量が多い宿題で進まなくなる場合を分けて残します。後から見返すときにも、音ありの日はよかったという大まかな印象より、どこで止まったかが残っているほうが話し合いやすくなります。結果が変わらなければ、子の努力が足りないと評価せず、その課題では音を加える理由が薄かったと受け止められます。

単語を覚える、読む、書くは同じ成果ではない

Angwin ほか(2017)は、健康な若い成人80人が20個の新しい物の名前を覚える、単回の実験を行いました。ホワイトノイズを聞きながら覚える組と静かな中で覚える組を比べると、雑音の組では思い出す正確さが時間とともに上がりました。注意の力の違いには左右されなかったという結果です。先の注意課題の分析と対象や学ぶ内容が違うため、単に賛成の研究と反対の研究に分けず、何を覚える実験だったかを見ます。

Cavalieri ほか(2026)は、限局性学習症という読み書きなどの学習の障害がある、8〜13歳の子30人を募集しました。そのうち12人にはADHDの診断もありました。短い課題でホワイトノイズを用いると、無意味な語を読む速さと正確さは上がりましたが、無意味な語を書く正確さは下がりました。読むことと書くことの効果が逆に出た点が、学習をひとまとめにしない理由です。

無意味な語は、意味を知っている言葉を思い出すこととは違う課題です。教科書の文章を理解する、漢字を思い出して書く、考えを文章にまとめるといった宿題にも、それぞれ別の作業が含まれます。家庭での記録にも、国語や英語という教科名だけでなく、音読、書き取り、内容の説明といった活動を書き添えます。そうすれば、速く終わった活動の隣で、書き間違いが増えていたことも見落としにくくなります。

気持ちよく取り組めたか、最後まで終わったか、答えが合っていたかは、別々に確かめられます。子の感想を退けずに聞いたうえで、実際のノートや答案も一緒に開きます。保護者の見た進み具合と本人の感じ方が違うときは、どちらかを正解にせず、その違いを次に確かめる項目として残せます。

家庭では、同じ種類の宿題で進み具合を比べる

試すことを子が望むなら、流す期間と流さない期間を1週間ずつ交代し、同じ種類の宿題で様子を比べます。この期間は家庭で違いを見やすくするための区切りとして使い、音の有無以外の条件も記録します。始める前に、音が嫌になったら途中でもやめられることを子と共有します。保護者が完成した答案を採点するだけでなく、本人が続けたいかも判断に含めます。

  • 音あり・音なしの期間で、宿題の種類と取り組む時間帯をできるだけそろえます。
  • 終えた範囲、間違いの様子、途中で手が止まった場面を残します。
  • 音が気になったか、疲れたか、また使いたいかを本人の言葉で書きます。
  • 音量は小さくし、耳が痛い、頭が痛いときはやめます。

音の有無と同時に、教材の難しさや勉強する場所まで変えると、何が進み具合に関わったのかが見えにくくなります。難しい単元に入った日や、普段より疲れていた日は、その事情も短く添えます。家族の会話が続いていた日と静かだった日も区別しておくと、雑音を足す条件の違いを見返せます。予定どおりに比較できなかった日を失敗として扱う必要はありません。

見直す際は、取り組みやすさが増したかだけでなく、正確さや不快感も横に並べます。音の有無で差が乏しいなら、流すことを習慣にするために理由を探さず、本人が負担なく選べる状態に戻せます。注意の困難が宿題以外の日常にも続くときは、困る場面の記録を持って学校の先生やスクールカウンセラー、医療機関に相談してください。音を選ぶ際の中心に置くのは、評判ではなく、その子がその課題に取り組んだときの具体的な変化です。

よくある質問

静かなほうを好む子にも流したほうがよいですか

静かな状態を好むなら、ホワイトノイズを加えることを前提にしなくて構いません。「上がる子、下がる子、変わらない子を分ける」の節では、雑音が負担になった対象も扱っています。研究で有利だった集団があることと、本人が嫌がる音を続けさせることは結びつけず、普段の取り組みやすさを起点に判断できます。

集中できたという感想だけで決めてよいですか

感想は記録に残し、終えた範囲や間違いの様子と一緒に見ます。子が楽に取り組めたと感じても、読む課題と書く課題で同じ結果になるとは限りません。進んだ量だけを比べるのではなく、何をしていたか、正確さはどうだったかまで残すと、本人の感じ方を尊重しながら宿題に合う条件を探せます。

効果が出なければ音量を上げて試しますか

効果を求めて音量を上げる進め方は勧めません。「雑音を足す研究は、何と何を比べているか」の節にある実験設定は、家庭への推奨値ではありません。変化がなかったことも記録に残し、本人の不快感がある場合は中止するという、始める前の約束を優先してください。

この記事の限界

研究の対象者は、注意欠如・多動症の診断がある子や症状の強い子を中心としており、個々の実験の人数も少ないため、年齢や特徴の違いを細かく検討する余地が残っています。一般の子どもが家庭で毎日音を流し、宿題や定期テストの成績がどう変わるかを調べた研究は、ここで扱った範囲には含まれていません。大人の単語学習や幼児の注意課題も含まれるため、日本の小中高生が普段行う学習との隔たりがあります。

短い実験での正答や反応を測った結果が中心で、長く使い続けたときの学習と負担の変化は、今回の根拠からは言えません。子どもの学習に用いる際に安全といえる音量の上限も、これらの研究ではまだ定まっていません。

参考文献

  1. Söderlund ほか. Listen to the noise: noise is beneficial for cognitive performance in ADHD. J Child Psychol Psychiatry. 2007;48(8):840-847.
  2. Söderlund ほか. The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children. Behav Brain Funct. 2010;6:55.
  3. Nigg ほか. Systematic Review and Meta-Analysis: Do White Noise or Pink Noise Help With Task Performance in Youth With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder or With Elevated Attention Problems? J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2024;63(8):778-788.
  4. Helps ほか. Different effects of adding white noise on cognitive performance of sub-, normal and super-attentive school children. PLoS One. 2014;9(11):e112768.
  5. Lin. The Effects of White Noise on Attentional Performance and On-Task Behaviors in Preschoolers with ADHD. Int J Environ Res Public Health. 2022;19(22):15391.
  6. Jostrup ほか. No Effects of Auditory and Visual White Noise on Oculomotor Control in Children with ADHD. J Atten Disord. 2024;28(13):1668-1683.
  7. Söderlund ほか. Sensory white noise in clinical ADHD: Who benefits from noise, and who performs worse? Scand J Child Adolesc Psychiatr Psychol. 2024;12(1):92-99.
  8. Angwin ほか. White noise enhances new-word learning in healthy adults. Sci Rep. 2017;7(1):13045.
  9. Cavalieri ほか. Effects of White Noise on Academic Skills in Children with ADHD and Specific Learning Disorders: New Perspectives for Personalised Rehabilitation and Educational Intervention. Pediatr Rep. 2026;18(3):81.

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

  • 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
  • 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
  • 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
  • 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人

このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒、講師が一人の生徒に付きっきりの完全1対1で、大学教員や東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の大学院生などが教えます。アルバイト講師はいません。

武蔵野個別指導塾の学習障害案内

よくある質問

静かなほうを好む子にも流したほうがよいですか

静かな状態を好むなら、ホワイトノイズを加えることを前提にしなくて構いません。「上がる子、下がる子、変わらない子を分ける」の節では、雑音が負担になった対象も扱っています。研究で有利だった集団があることと、本人が嫌がる音を続けさせることは結びつけず、普段の取り組みやすさを起点に判断できます。

集中できたという感想だけで決めてよいですか

感想は記録に残し、終えた範囲や間違いの様子と一緒に見ます。子が楽に取り組めたと感じても、読む課題と書く課題で同じ結果になるとは限りません。進んだ量だけを比べるのではなく、何をしていたか、正確さはどうだったかまで残すと、本人の感じ方を尊重しながら宿題に合う条件を探せます。

効果が出なければ音量を上げて試しますか

効果を求めて音量を上げる進め方は勧めません。「雑音を足す研究は、何と何を比べているか」の節にある実験設定は、家庭への推奨値ではありません。変化がなかったことも記録に残し、本人の不快感がある場合は中止するという、始める前の約束を優先してください。