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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年11月5日

個別の授業は週1回で足りるか|指導の回数と間隔の研究

日曜朝、親子の前に広げた予定表には、学校の予定と習い事の印が並んでいます。Kortecamp ほか(2024)が調べた読みの支援は、週2〜3回の頻度で行われていました。個別の授業もそのくらい通わなければ足りないのかと、空いた曜日を見つめる保護者は迷います。週1回で足りるか足りないかを、研究は決めていません。研究で採用された頻度と、その子に必要な頻度は、別々に検討する問いです。

この記事の要点
  • 通う頻度、授業ごとの長さ、続ける期間、総時間は、それぞれ違う量です。
  • 指導を加えた組と加えなかった組の比較では、回数だけの差を取り出せません。
  • 学校内の支援、学校外の補習、生徒どうしの教え合いでは、教える人と比べる相手が異なります。
  • 家庭で確かめる際は、授業間の課題、見直す日、記録する項目を先に決めます。

個別の授業は週1回で足りるか|指導の回数と間隔の研究

日曜朝、親子の前に広げた予定表には、学校の予定と習い事の印が並んでいます。Kortecamp ほか(2024)が調べた読みの支援は、週2〜3回の頻度で行われていました。個別の授業もそのくらい通わなければ足りないのかと、空いた曜日を見つめる保護者は迷います。週1回で足りるか足りないかを、研究は決めていません。研究で採用された頻度と、その子に必要な頻度は、別々に検討する問いです。

「会う機会が増えれば質問を解消できる」「間が空くと前の内容を忘れそうだ」という期待や心配には、回数のほかに授業内容や自習の進め方も混じっています。研究にも、支援を加えるかどうかを比べたもの、使った総時間を分析したもの、学校外の補習を調べたものがあります。そこで比べた相手をたどると、同じ「多い指導」でも試している中身が違います。以下では、読みと算数・数学の研究を分け、結果が出た条件と出なかった条件を見ていきます。最後に、授業のない日の取り組みと、回数を見直すために残す記録を具体化します。

要点

  • 通う頻度、授業ごとの長さ、続ける期間、総時間は、それぞれ違う量です。
  • 指導を加えた組と加えなかった組の比較では、回数だけの差を取り出せません。
  • 学校内の支援、学校外の補習、生徒どうしの教え合いでは、教える人と比べる相手が異なります。
  • 家庭で確かめる際は、授業間の課題、見直す日、記録する項目を先に決めます。

個別指導は週何回か、その前に「何を増やすか」を分ける

「回数を増やす」という話には、別の変更が重なりやすいです。授業の長さを保ったまま通う日を増やすなら、教わる総時間も増えます。同じ総時間を短い授業に分けるなら、増えるのは会う機会で、学ぶ時間の合計は変わりません。通う日を固定して開始時期を早める場合は、続ける期間が長くなります。これらは予定表の見た目が似ていても、確かめたい効果が異なります。

比較の相手にも違いがあります。普段の教室の授業に補助の指導を加えた組と、教室の授業だけの組を比べる試験では、指導者との接点や教材を含む支援全体の差を調べます。同じ教材と指導者で頻度を変える試験なら、授業日の配置に焦点が近づきます。さらに総時間までそろえるかどうかで、間隔の違いを見たいのか、追加の学習量を見たいのかが変わります。

複数の指導を集めた分析では、長く取り組んだ研究と短く取り組んだ研究で、参加した子や指導の人数も違う場合があります。そのとき、時間と成果が一緒に増えていても、時間以外の条件が結果に関わる余地があります。これに対して無作為化比較試験は、くじ引きで組を分けて比べる方法です。どちらも手がかりですが、前者は研究間の関係、後者は割り当てた支援の差を捉えるという設計上の違いがあります。

「足りる」の中身も、読み始めた子の文字の理解なのか、算数の苦手な内容の補習なのかで変わります。学校を休まず通えることと、試験の点が伸びることも別の成果です。対象の子、追加された活動、最後に測るものを組み合わせて初めて、その研究が答えた問いの形が見えてきます。

読みの支援では、追加する指導と実施の頻度を調べている

Kortecamp ほか(2024)の試験では、幼稚園年長と小学校の初学年にあたる子を、マンツーマンの支援を受ける組と、学校の教員による教室の授業だけの組に無作為に分けました。読みでつまずくおそれの高い子が多い集団です。支援を担当したのは特別な訓練を受けた指導者で、デジタルの読み書き教材を使っていました。比較したのは、通常の授業にこうした支援を加えたときの読みの力です。

同じ試験では、学年を通して支援が行われ、複数の読みの測定で支援のある組が上回りました。指導者の訓練、使う教材、個別のやりとりが、実施頻度と一緒に組み込まれた試験です。支援を受けない組も教室の授業は受けており、学習の機会がまったくない相手との比較ではありません。読みを学び始めた子への補助を、通常の教育に上乗せした設計です。

一方、van der Weijden ほか(2026)は、45校の幼稚園児226人を対象に、学校でコンピュータの読み書き教材を実施した際の取り組み量と成果の関係を調べました。頻度と実施した週数が教材に触れた量や読み書きの成果と最も強く関係し、各回の長さの関係は小さいという結果でした。この研究は観察研究で、実施の様子を記録し、その違いと結果の結びつきを分析しています。子どもを頻度別の組へくじで振り分けた試験とは、比較の作り方が異なります。

後者が追ったのは、学校が教材を実施する自然な状況で生じた量の違いです。人が付ききりで教える個別授業ではなく、コンピュータ教材による読み書きの予防的な支援を扱っています。前者の問いが追加支援の有無であるのに対し、こちらは実施された支援の中での差に注目しています。同じ読みの領域でも、対象となる活動と、比較の単位が違う研究です。

算数の総時間との関係は、他の条件を調整すると変わる

Miller ほか(2025)は、算数の学習障害、またはそのおそれのある幼稚園から小学校低学年の子への集中的な支援を調べました。用いたのはメタ分析という、複数の研究を集めて結果を計算し直す方法です。実験と、無作為の割り当てなどの条件を十分には満たさない準実験を集め、24研究の164効果量を分析しています。効果量は、支援による差の大きさをばらつきを物差しにして表す数です。

Miller ほか(2025)の分析では、総時間が1時間増えるごとに効果量が0.03増える関係があり、95%信頼区間は0.01〜0.06でした。信頼区間は、推定した値の不確かさを示す幅です。ただし同じ研究で、結果に関わる他の条件を統計的に調整すると、総時間の関係は有意でなくなりました。「有意」とは、偶然のばらつきだけでは説明しにくいと統計的に判断することです。調整前には見えた時間との関係が、他の条件を含めると明瞭ではなくなったという結果です。

この分析が扱う総時間には、短い指導を積み重ねる方法も、長い指導を行う方法も入り得ます。時間の合計を使った計算なので、授業と授業の間にどれだけ日を空けるかを、その数値自体は表していません。また、支援の人数構成も分析の対象で、マンツーマンの指導の効果量は小集団より高いという結果がありました。時間の長い研究と短い研究を比べる際には、こうした実施条件の違いも並行して扱われています。

対象は、算数で特に支援を要する子への介入です。通常の学習をさらに先へ進めたい子や、別の教科を学びたい子までまとめた調査ではありません。個々の子が授業を追加した前後を記録する方法とも異なり、分析の材料になっているのは、それぞれの研究で得られた指導の効果の大きさです。

時間が多い学校内の指導と、学校外の補習を比べる

Fryer ほか(2020)は、米国ニューヨーク市の中学校で、学校を単位として無作為に組を分け、読みの支援を加える試験を行いました。子どもに文章を読ませながら導く形の指導を採用しています。読みの成果を測る試験だけでなく、学校への出席と数学の試験も調べています。授業の量に加えて、何に変化が出たかを追う設計です。

Guill ほか(2022)が調べたのは、ドイツの中等学校で学校外の私的な補習を受けていた生徒です。補習を受けている生徒の集団内で、期間や強度と成果の関係を分析しました。用いた回帰分析は、複数の条件を考慮しながら、注目する要因との関係を調べる統計的な方法です。前の試験のように学校へ指導の有無を割り当てる方式とは異なり、実際に補習を選んでいた生徒のデータを扱っています。

回数・時間 対象 比べた相手 結果
Fryer ほか(2020)が調べた、3年間に130時間以上の4対1の読みの指導 ニューヨーク市の中学生 学校単位で無作為に分けた対照の組 平均では出席に有意な改善、州の国語テストには正だが有意でない差、数学には効果なし
Guill ほか(2022)が分析した、学校外の補習の期間と強度 ドイツの中等学校で補習を受ける生徒 補習を受ける生徒内の期間・強度の違い 期間と強度の正の効果を見いだせず

前者では、読みを支える活動が学校の教育の中に置かれており、出席も成果の項目でした。後者では、学校外で既に行われていた補習を調べ、学校の成績やテストの結果との関係を見ています。教える場だけでなく、割り当てによる比較か、生徒の間にある違いの分析かも異なります。補習の期間という長い時間軸と、指導の強度という密度の両方を扱う点が、後者の特徴です。

短い支援にも、教え合いと休校中の電話では違いがある

Alegre ほか(2019)は、中等教育の数学で生徒どうしが教え合う活動について、42研究を検討しました。生徒どうしの教え合いは、学ぶ側も説明する側も生徒が担う活動です。著者たちは、異なる年齢の組み合わせより同年齢で、8週未満の期間、30分未満の各回の活動を行う形が、学業の成果を高めるうえで最適だと結論づけました。長期にわたり長い時間を確保する形を、一律に上位へ置いたレビューではありません。

この検討には、活動をしない対照の組を設けていない研究も混じっていると著者たちは認めています。そのような研究では、教え合いを始める前後の変化は追えても、同じ期間に別の学び方をした生徒との違いは測れません。活動期間や各回の長さの違いは、こうした設計の異なる研究を含めて整理されています。教える役割を担う相手も、大人の講師による補習と異なります。

Schueler ほか(2023)は、ケニアの休校中に、週1回15分の電話による算数指導を7週行う組、5分の取り組み確認を行う組、対照の組へ学校を無作為に分けました。対象は小学校3・5・6年の8,319人、105校です。電話での接触は、学校の先生が気にかけてくれているという受け止めを高めました。一方、4か月後の算数では短い確認の効果はなく、電話指導の組では学校再開後に戻った子の成績が低下していました。

著者たちは、もともとの学力が低い子ほど試験に戻ってこなかったことを、結果を説明する一因として挙げています。これは、指導の内容だけでなく、最後に誰の点を測れたかも関わる比較です。電話越しの短い指導を受ける環境、学校が閉じている時期、再開後の測定という条件が重なっています。教え合いのレビューが扱う活動内の長さと、こちらの電話で接触する長さでは、短時間の意味も異なります。

家庭で回数を決める手順は、授業のない日から始める

家庭では、通う曜日を埋める前に、授業のない日に解く課題と、止まったときの扱いを書き出します。たとえば、解説を読んでも進まない問題をどう残すか、次の授業で講師に何を渡すかまで決めます。答えの写しと自力で解いたものが混じるなら、記録の欄を分けます。これは増やす回数を先に決める方法ではなく、今の授業間に起きていることを確かめるための手順です。

見直しは、たとえば1か月後と予定に入れます。何の数字を見るかも、始める時点で選びます。同じ単元の同程度の問題で自力正解がどれだけあるか、質問を残したまま次の授業を迎えることがどれだけあるか、といった記録が候補です。終えた問題数を使う場合は、問題の難しさや扱った範囲も添えます。教わった直後に答えを覚えていた場合と、自分で手順を選べた場合も、同じ欄にまとめず残せます。

課題が多すぎて着手できない子に、授業と課題を同時に足す計画は向きません。手順の調整としては、何を持ち帰るかを講師と確認し、取り組めなかった理由を課題ごとに分けます。逆に、課題には取り組んでいるのに質問がたまり、先へ進めない場合は、質問に答える時点や渡し方が検討の対象です。通う日を変えずに直せる連絡の滞りと、授業で扱う内容の不足を切り分けます。

回数を変えて試す場合は、教材や宿題の量まで同時に大きく変更せず、変更した点を記録します。欠席や学校の試験範囲の変化があれば、その事情も見直しの日に一緒に読み返します。予定どおりに試せなかった場合には、その記録を失敗扱いせず、次の予定を組む条件として扱います。まず授業間に残った課題を確かめ、次に決めておいた記録と照らして通い方を見直します。

よくある質問

週の回数が同じなら、授業の組み方も同じですか

回数が一致しても、各回で教える内容や、次の授業までに進める課題は異なります。「何を増やすか」の節で分けたように、総時間と頻度も別の項目です。予定表には同じように授業が並んでいても、説明を受ける時間と自分で解く時間の配分までそろうわけではありません。比較するときの項目は、最後の手順の節にある授業間の課題と質問の記録にまとめています。

テストの点が変わらなければ、今の回数は失敗ですか

点だけで回数の適否を判断する前に、その間に予定した課題へ取り組めたか、測った範囲が同じかという論点があります。手順の節では、総得点のほかにも、自力で解けた問題や未解決の質問を記録する形を示しています。授業に出たことと、そこで扱った内容を自分で使えたことは別の記録です。点の上下と学習の進み方を対応させると、変更したい箇所を具体的に話せます。

子どもが通う回数を減らしたいと言ったら、どう扱いますか

減らしたいという言葉には、移動の負担、持ち帰る課題の多さ、授業内容の重なりなど、異なる理由が入り得ます。手順の節の「取り組めなかった理由」と「質問が残る箇所」は、その違いを言葉にするための項目です。本人の希望と、実際に未解決になっている学習内容を並べると、話し合う対象が回数だけに偏りません。試す条件を変えた後も、約束した見直しの日があれば再検討できます。

この記事の限界

測り方は読みの評価、算数・数学の試験、学校の成績や出席などにわかれており、授業の間隔だけを共通の物差しで測った研究の集まりではありません。週1回と週3回を同じ指導でくじ引きにより比べた研究は見つかっておらず、頻度の差そのものを判断する直接の証拠が欠けています。対象も幼児から中等教育の生徒まで異なり、学校内の支援と休校中の電話指導では、実施の期間や測定時の参加条件が違います。

日本の小中高生の通塾回数を確かめた研究は採用した文献にはなく、学校外の補習に近い調査も、無作為に頻度を変える方法ではありません。学校外の有料のマンツーマン指導を回数別に比べた研究もなく、通塾回数を決める根拠として残るのは、その子自身の取り組みの記録です。

参考文献

  1. Kortecamp ほか. The Impact of a High-Dosage Tutoring Program on Reading Achievement of Beginning Readers: A Multi-Level Analysis. Journal of Education for Students Placed at Risk (JESPAR). 2024;29(3):291-309.
  2. van der Weijden ほか. Dosage Explains Individual Differences in the Outcomes of a Prevention Program for Literacy Problems. The Elementary School Journal. 2026;126(3):469-500.
  3. Miller ほか. Dosage Response in Intensive Mathematics Interventions for Early Elementary Students With or At-Risk for Mathematics Learning Disability. Educational Psychology Review. 2025;37(4):91.
  4. Fryer ほか. High-Dosage Tutoring and Reading Achievement: Evidence from New York City. Journal of Labor Economics. 2020;38(2):421-452.
  5. Guill ほか. Intensity and content of private tutoring lessons during German secondary schooling: effects on students’ grades and test achievement. European Journal of Psychology of Education. 2022;37(4):1093-1114.
  6. Alegre ほか. Peer tutoring and mathematics in secondary education: literature review, effect sizes, moderators, and implications for practice. Heliyon. 2019;5(9):e02491.
  7. Schueler ほか. A Cautionary Tale of Tutoring Hard-to-Reach Students in Kenya. Journal of Research on Educational Effectiveness. 2023;16(3):442-472.

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

  • 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
  • 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
  • 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
  • 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人

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よくある質問

週の回数が同じなら、授業の組み方も同じですか

回数が一致しても、各回で教える内容や、次の授業までに進める課題は異なります。「何を増やすか」の節で分けたように、総時間と頻度も別の項目です。予定表には同じように授業が並んでいても、説明を受ける時間と自分で解く時間の配分までそろうわけではありません。比較するときの項目は、最後の手順の節にある授業間の課題と質問の記録にまとめています。

テストの点が変わらなければ、今の回数は失敗ですか

点だけで回数の適否を判断する前に、その間に予定した課題へ取り組めたか、測った範囲が同じかという論点があります。手順の節では、総得点のほかにも、自力で解けた問題や未解決の質問を記録する形を示しています。授業に出たことと、そこで扱った内容を自分で使えたことは別の記録です。点の上下と学習の進み方を対応させると、変更したい箇所を具体的に話せます。

子どもが通う回数を減らしたいと言ったら、どう扱いますか

減らしたいという言葉には、移動の負担、持ち帰る課題の多さ、授業内容の重なりなど、異なる理由が入り得ます。手順の節の「取り組めなかった理由」と「質問が残る箇所」は、その違いを言葉にするための項目です。本人の希望と、実際に未解決になっている学習内容を並べると、話し合う対象が回数だけに偏りません。試す条件を変えた後も、約束した見直しの日があれば再検討できます。