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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月26日

第一子と一人っ子は勉強で有利か|生まれ順ときょうだいの数と学力の研究

日曜朝、子どもの宿題を見ながら、上の子が同じ年頃だったときの様子を思い出すことがあります。「上の子のほうが勉強を進めやすかったのは、生まれた順番のせいでしょうか」と疑問に思う保護者もいるでしょう。下の子が説明を待っている姿と、記憶の中で自分から取り組んでいた上の子の姿が重なると、順番で得意不得意が決まっているように感じるかもしれません。けれども、当時と今とでは、宿題の内容も、保護者が横にいられる時間も違います。

この記事の要点
  • 第一子の知能検査や成績が高い傾向はありますが、集団の平均の差はわずかです。
  • 同じ家庭のきょうだいを比べる場合と、異なる家庭の子を比べる場合を区別して読む必要があります。
  • 一人っ子の有利さは、測る学力や暮らす地域によって違います。
  • 家庭では、生まれ順よりも宿題を見る機会や決まりの運用を記録し、支え方を見直せます。

第一子と一人っ子は勉強で有利か|生まれ順ときょうだいの数と学力の研究

日曜朝、子どもの宿題を見ながら、上の子が同じ年頃だったときの様子を思い出すことがあります。「上の子のほうが勉強を進めやすかったのは、生まれた順番のせいでしょうか」と疑問に思う保護者もいるでしょう。下の子が説明を待っている姿と、記憶の中で自分から取り組んでいた上の子の姿が重なると、順番で得意不得意が決まっているように感じるかもしれません。けれども、当時と今とでは、宿題の内容も、保護者が横にいられる時間も違います。

集団の平均では第一子がわずかに有利という結果がありますが、生まれ順だけで目の前の子の学力は決まりません。一人っ子についても、言語の検査で有利だった調査がある一方、ほかの学業の指標や地域によっては差が見られませんでした。知能検査、学校の成績、保護者から見た勉強の進めやすさは、それぞれ違うものを見ています。研究を家庭で役立てるなら、子どもを生まれ順の型に当てはめるより、どの力を測り、誰と比べた結果なのかを読むことから始められます。

要点

  • 第一子の知能検査や成績が高い傾向はありますが、集団の平均の差はわずかです。
  • 同じ家庭のきょうだいを比べる場合と、異なる家庭の子を比べる場合を区別して読む必要があります。
  • 一人っ子の有利さは、測る学力や暮らす地域によって違います。
  • 家庭では、生まれ順よりも宿題を見る機会や決まりの運用を記録し、支え方を見直せます。

第一子の平均が高いという研究は、何を測ったのでしょうか

Rohrer ほか(2015)は、米国の5,240人、英国の4,489人、ドイツの10,457人の全国調査のデータを使い、生まれ順と知能や性格との関係を調べました。知能検査の得点は、第一子から後に生まれた子へわずかに下がる傾向がありました。一方、外向性、情緒の安定、協調性、誠実性、想像力には、生まれ順の効果は見られませんでした。この結果を読むときは、知能検査の小さな差と、性格全体についての結果をセットで受け止める必要があります。

知能検査は、決められた課題への答えを通して認知の力を測る検査です。学校の成績には教科の学習内容が入り、家庭で見える宿題への取り組みには、課題を理解しているかや助けを求められるかも含まれます。そのため、知能検査の平均が高いという結果を、宿題を早く終える、忘れ物が少ない、進路を自分で決められる、といった特徴に広げる読み方は避けたいところです。測ったものの名前を保ったまま読むと、研究が答えた問いがはっきりします。

学校の成績を扱ったLillehagen ほか(2020)は、ノルウェーの登録データを使い、複数の相手との間に子をもつ親の子どもを調べています。この対象では、中学の成績に、生まれ順が後になるほど低くなる関係が見られました。対して、Steelman ほか(1985)が子どもと青年3,568人を調べた研究では、生まれ順と学業成績に統計的に有意な関係はありませんでした。有意な関係とは、偶然のばらつきだけでは説明しにくいと統計的に判断された関係のことで、成績を扱う研究でも結論はそろっていません。

家族の中で比べる場合と、別の家庭と比べる場合

生まれ順の研究には、同じ家庭の上の子と下の子を比べる方法と、異なる家庭の第一子や後の子を集めて比べる方法があります。別の家庭どうしなら、きょうだいの数に加え、保護者の学歴、生活の条件、学習に使える時間なども違います。同じ家庭内の比較では共有する条件をそろえやすい一方、子どもが育った時期や、その時点の家族の状況まで同じにはなりません。比べ方を読むことは、平均の差に何が含まれているかを読むことでもあります。

徴兵検査の受検者を分析したKristensen ほか(2007)は、IQ、つまり知能検査の得点の水準が、生まれた順番そのものより、家族の中での社会的な順位に左右されたと報告しています。ここでいう社会的な順位は、出生の順序だけでなく、家族の関係の中で占める位置を指します。研究者はこの結果を、胎内の要因より家族の関わりによる説明を支持するものとしています。出生の順序と、育つ間の家族内の位置を分けたところに、この研究の意味があります。

ただし、家族の関わりに注目することと、保護者が一緒にいる時間の長さで説明することも別です。米国の全国調査を使ったMonfardini ほか(2016)では、認知の力に生まれ順の差がありましたが、親の時間配分の違いは主に家庭どうしで見られ、同じ家庭の中では小さかったとされています。研究者は、親と過ごす良質な時間の差が、生まれ順の効果を生んでいるとは考えにくいと結論づけています。家族の中の位置、時間の配分、関わりの内容は、まとめて同じ原因と扱わずに読む項目です。

一人っ子の有利さは、言語とほかの学業で違います

一人っ子は最初に生まれた子でもありますが、下にきょうだいがいる第一子とは、家族の構成が違います。「第一子が高い」という結果を読んだときは、一人っ子も含めた分類なのか、きょうだいのいる家庭だけなのかを確かめたいところです。また、一人っ子と後に生まれた子の比較では、生まれ順だけでなくきょうだいの有無も同時に違います。何を比べたかを分けると、一人っ子に関する研究の答えも細かく読めます。

Falbo ほか(1993)は、中国の4省の小学3年生と6年生4,000人、およびその保護者と学校の先生を調べました。一人っ子は言語能力の検査で高い得点を示しましたが、そのほかの学業と性格の指標は、第一子や後に生まれた子と同程度でした。言語での有利さが、学業全般の有利さと同じではないところがポイントです。たとえば言葉を扱う課題の結果を読んでいるなら、その範囲で有利だったと受け止めます。

Poston ほか(1990)は、中国の長春の都市部と農村で行われた小学生の調査を分析しています。一人っ子では学業の才能があるとされた子の割合が高かった一方、農村ではきょうだいのいる子より高いという結果ではありませんでした。同じ研究の中でも、都市部と農村という条件を分けると答えが違っています。一人っ子という分類だけを取り出すと、この地域の違いが見えなくなります。

一人っ子の家庭で勉強が順調なときも、きょうだいのいる家庭でつまずきが出たときも、まず見たいのは子どもが取り組んでいる教科と課題です。読み取りが進むことと、計算の手順が身についていることは、家庭でも別々に確かめられます。家族構成を学力の説明として先に置くより、どの部分ができていて、どこで説明を求めているかを書き出す方が、学習の相談に使える具体的な材料を残せます。

家庭の条件を分けると、第一子の有利さが消える場合もあります

Luo ほか(2022)は、米国の出生時から追う調査を用い、生まれ順と幼い子の認知の力や就学への準備との関係を調べました。研究上、家庭のリスクが低く英語を話す家庭では第一子が有利でしたが、リスクが高い家庭や家庭内で英語以外を話す場合には、後に生まれた子が同等かそれ以上でした。家庭での学習活動が、この関係を仲立ちしていたとも報告されています。英語以外を話すことを不利と決める結果ではなく、家庭の条件によって生まれ順との関係が変わるという結果です。

平均の差を読むときには、どちらが有利かという向きに加え、比べた集団の範囲を見ます。生まれ順、きょうだいの数、測った力が違えば、研究が答えている問いも変わります。次の表では、よく聞く言い方に対して、どこまでが研究の結果で、どこからが個々の子への決めつけになるかを並べています。

よく言われること 研究で言えること 比べた相手・対象 個々の子を見るときの区別
上の子は勉強全般が得意 知能検査の平均にはわずかな差 Rohrer ほか(2015)の米国・英国・ドイツの生まれ順の比較 平均の差と、その子の教科の得意不得意
第一子の性格が勉強に向く 知的な領域以外の幅広い性格特性に効果なし 同じ研究の性格の比較 検査の得点と、性格についての印象
一人っ子は学業全般で有利 言語の検査では高く、ほかの学業は同程度 Falbo ほか(1993)の中国の小学生 言語の力と、ほかの教科の力
下の子は家庭の条件によらず不利 条件によって同等か、それ以上 Luo ほか(2022)の米国の幼い子 集団の条件と、いま必要な学習の支え

下の子への関わりを、厳しさだけでそろえない

Hotz ほか(2015)は、米国の全国追跡調査で、後に生まれた子ほど学校の成績が低く、親のしつけも緩い傾向を報告しています。悪い成績を持ち帰ったときに、下の子ほど罰しにくいと親が答えていました。研究者は、上の子への厳しい対応を下の子にも見せるという、親の戦略で説明しています。これは調査で見られた対応の型についての説明であり、罰を増やせば下の子の成績が上がると確かめた試験ではありません。

家庭で関わりを見直すなら、厳しく言ったかどうかより、決まりをどのように運用したかを記録できます。たとえば上の子には宿題を開くところまで一緒にしていたのに、下の子には終わったかどうかだけ尋ねている場合には、その違いを書きます。声をかけた後に子が何を尋ねたか、保護者がその場で答えられたかも、記録する候補です。こうした書き方なら、保護者や子の性格を評価せずに、やり取りを確かめられます。

また、上の子の方法をそのまま下の子に移すことが合うとは限りません。すでに自分で進めている子なら、横でずっと確認されるより、質問したいときに聞ける形を望むことも考えられます。反対に、問題文の意味で止まっている子なら、終わったかどうかを尋ねるだけでは、困っている場所を聞き取れません。声かけを増やしたことだけを成果にせず、本人がどの助けを求めたかを見直しの中心に置けます。

上の子を自動的に教える役にすることにも、慎重でありたいところです。保護者の関わりを見直すための記録が、上の子に下の子の勉強を任せる話に変わると、何を確かめたかったのかがずれます。下の子が質問する相手と、上の子が自分の宿題に取り組む時間をそれぞれ確かめる形にすれば、家族内の役割を当然のものとして固定せずに済みます。

宿題を見る機会と決まりを、家庭の記録で確かめる

ここからは、研究で示された効果量を持つ方法ではなく、家庭の関わりを見える形にするための手順です。日曜から次の日曜までを目安に、宿題を見た場面と、そのときの決まりの運用を書き留めます。保護者の記憶にある上の子への対応と、いま下の子にしている対応を見比べる場合は、思い出した内容と実際の記録を欄で分けます。記憶が曖昧なところは空欄にして、上の子への対応がいつも同じだったと補わないようにします。

  • 宿題を始める前に、取り組む内容を一緒に確かめたか
  • 子が質問したいときに、保護者へ声をかけられたか
  • 保護者が見たのは、途中の考え方か、終わったかどうかか
  • 決まりを変えた日には、どんな事情があったか
  • 子が助けを望んだ場面と、自分で進めたかった場面はどこか

記録を読むときは、子ども別の合計だけを見るより、場面を並べます。上の子は保護者が落ち着いている時間に質問でき、下の子は別の用事の最中に質問していたなら、質問の受け方を見直す候補になります。どちらにも同じ長さだけ付き添うことを目標にするより、必要な場面で話を聞けていたかを確かめます。一人っ子の家庭なら、本人が助けを求めた場面と、実際に助けが届いた場面を対応させて読めます。

見直す点が見つかったら、たとえば宿題に取りかかる前の確認を加えるなど、変更する内容を絞ります。その後は、子が困っている箇所を言葉にできたか、保護者が次に見る箇所が明確になったかを記録します。点数の変化だけでなく、何を手伝う話になったかを残すと、勉強の中身に沿って振り返れます。学校や塾へ学習の相談をするときにも、本人の答案と具体的なつまずきを一緒に示せます。

生まれ順に関する話が気になったときも、家庭で扱えるのは今日の学習と関わり方です。上の子にも下の子にも、一人っ子にも、得意な課題と助けがほしい課題を別々に尋ねられます。子の順番を理由に進路や学習の機会を狭めず、記録に残ったつまずきに合わせて支え方を選ぶことが、家庭での具体的な判断です。

よくある質問

真ん中の子や末の子は、勉強で不利と考えるべきですか

生まれ順の分類から、その子の勉強の見通しを決める必要はありません。家庭条件を分けた節で見たように、後に生まれた子が同等か、それ以上だった集団もあります。まず本人の答案や説明を見て、どの教科のどの課題で助けが要るかを確かめます。生まれ順を学習計画の基準にせず、実際の理解に合わせて内容を選べます。

一人っ子なら、宿題は任せてもよいのでしょうか

一人っ子についての研究は、言語とほかの学業を分けて結果を示しています。きょうだいの有無だけで任せる範囲を決めるより、本人が課題の指示を理解し、困ったときに質問できるかを見ます。自分で進めたい部分は本人に任せ、助けを求めた部分を一緒に確かめる形なら、本人の取り組みを見ながら関わりを調整できます。

上の子にしていたことを下の子にもすれば、差はなくなりますか

家庭での記録は、成績の差を消す方法としてではなく、関わりの違いを見つけるために使います。親と過ごす時間だけでは説明しにくいという研究も、比べ方を扱った節で取り上げました。同じ対応をそろえること自体を目的にせず、質問を聞く機会や宿題の決まりが、その子の困り方に合っているかを確かめるのが、この手順の目的です。

この記事の限界

比べた相手が同じ家族のきょうだいなのか、異なる家庭の子なのかによって、生まれ順の差の大きさは変わり、研究の設計によって結論が揺れます。きょうだいの数や家族内の位置の扱いも違うため、分類名が同じでも、そろえて比較した条件を確かめる必要があります。知能検査、幼い子の就学準備、中学の成績という測定の違いもあり、同じ学力の変化としてまとめることには限界があります。

日本の小中高生の内申や定期テストと生まれ順を結びつけた研究は今回の範囲に含まれず、家庭での記録の手順も、その効果を検証したものではありません。一人っ子と第一子を分けずに数えた研究が多く、一人っ子だけの結果を読む際には、古い調査への依存が残っています。

参考文献

  1. Rohrer ほか. Examining the effects of birth order on personality. Proc Natl Acad Sci U S A. 2015;112(46):14224-14229.
  2. Lillehagen ほか. New Partner, New Order? Multipartnered Fertility and Birth Order Effects on Educational Achievement. Demography. 2020;57(5):1625-1646.
  3. Steelman ほか. The Social and Academic Consequences of Birth Order: Real, Artifactual, or Both? Journal of Marriage and the Family. 1985;47(1).
  4. Kristensen ほか. Explaining the relation between birth order and intelligence. Science. 2007;316(5832):1717.
  5. Monfardini ほか. Birth Order and Child Cognitive Outcomes: An Exploration of the Parental Time Mechanism. Education Economics. 2016;24(5):481-495.
  6. Falbo ほか. The Academic, Personality, and Physical Outcomes of Only Children in China. Child Development. 1993;64(1).
  7. Poston ほか. Academic Performance and Personality Traits of Chinese Children: “Onlies” versus Others. American Journal of Sociology. 1990;96(2):433-451.
  8. Luo ほか. A Closer Look at the Birth Order Effect on Early Cognitive and School Readiness Development in Diverse Contexts. Front Psychol. 2022;13:871837.
  9. Hotz ほか. Strategic parenting, birth order, and school performance. J Popul Econ. 2015;28(4):911-936.

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

  • 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
  • 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
  • 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
  • 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人

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よくある質問

真ん中の子や末の子は、勉強で不利と考えるべきですか

生まれ順の分類から、その子の勉強の見通しを決める必要はありません。家庭条件を分けた節で見たように、後に生まれた子が同等か、それ以上だった集団もあります。まず本人の答案や説明を見て、どの教科のどの課題で助けが要るかを確かめます。生まれ順を学習計画の基準にせず、実際の理解に合わせて内容を選べます。

一人っ子なら、宿題は任せてもよいのでしょうか

一人っ子についての研究は、言語とほかの学業を分けて結果を示しています。きょうだいの有無だけで任せる範囲を決めるより、本人が課題の指示を理解し、困ったときに質問できるかを見ます。自分で進めたい部分は本人に任せ、助けを求めた部分を一緒に確かめる形なら、本人の取り組みを見ながら関わりを調整できます。

上の子にしていたことを下の子にもすれば、差はなくなりますか

家庭での記録は、成績の差を消す方法としてではなく、関わりの違いを見つけるために使います。親と過ごす時間だけでは説明しにくいという研究も、比べ方を扱った節で取り上げました。同じ対応をそろえること自体を目的にせず、質問を聞く機会や宿題の決まりが、その子の困り方に合っているかを確かめるのが、この手順の目的です。