- 寝室にテレビがある子の学力テストの得点が低い調査と、ゲーム機を渡した後に学習活動が減った実験があります。
- 画面の合計時間と成績に関係がない分析や、ゲームとの関係がごく小さい分析もあります。
- 寝室の画面を調べた追跡研究では、読書や睡眠が減ることを通じた成績とのつながりが示されています。
- 家庭では平日の寝る時刻と読書の時間を記録し、使う場所や終える場面を決める材料にできます。
子ども部屋にテレビやゲーム機を置くと成績は下がるか|寝室の画面と勉強時間の研究
子ども部屋の棚にテレビを置く場所をつくると、机からもベッドからも画面が見える配置になります。ゲーム機もつなげば、宿題を片づけた後、そのまま遊んで眠るまで過ごせそうです。保護者には子が自分の場所で楽しめるよさが見える一方、部屋の外からは遊びを終えた時刻をつかみにくくなります。テレビやゲーム機を部屋に置くと、それだけで勉強時間や成績が下がるのでしょうか。
寝室の画面には学力の低さとの関係が見られますが、判断の中心は、何を・いつ・何の代わりに見ているかです。 寝室のテレビを調べた研究と、新しくゲーム機を持たせた実験では、比べている条件が違います。さらに、画面の時間をまとめて数えた研究と、平日のテレビやゲームを分けた研究でも、結果は同じではありません。置くかどうかを急いで決める前に、子が寝る時刻、読みかけの本を開く時間、宿題を始めるまでの過ごし方を、別々に見ていくと話し合う内容が具体的になります。画面を減らせたかだけでなく、残したかった時間が実際に残っているかまで確かめる視点で、研究を読んでいきます。
要点
- 寝室にテレビがある子の学力テストの得点が低い調査と、ゲーム機を渡した後に学習活動が減った実験があります。
- 画面の合計時間と成績に関係がない分析や、ゲームとの関係がごく小さい分析もあります。
- 寝室の画面を調べた追跡研究では、読書や睡眠が減ることを通じた成績とのつながりが示されています。
- 家庭では平日の寝る時刻と読書の時間を記録し、使う場所や終える場面を決める材料にできます。
テレビがある部屋と、ない部屋を比べた結果
Borzekowski ほか(2005)は、米国・北カリフォルニアの公立小学校の小学3年生で、家の機器と学力テストの関係を調べました。寝室にテレビがある子は、ない子より算数・読み・言語の得点が低い傾向でした。一方、家庭でパソコンを利用することは得点の高さと関係し、寝室にテレビがなく家にパソコンがある組み合わせで得点が最も高くなりました。画面を備えた機器でも、種類や置かれている条件によって成績との結びつきが違った調査です。
このように、生活に手を加えずに違いを見る方法を観察研究といいます。この調査は、ある時点の機器の状況と得点を並べているので、テレビを置く前からあった家庭学習の違いも考える必要があります。たとえば、寝室で過ごす時間の使い方や家庭の決まりが違う場合、機器の有無と一緒にそれらの違いも比べることになります。得点の低さという結果を読む際は、何を置いたかに加えて、どのような暮らしの子どうしを比べたかという視点が要ります。
保護者が知りたいのは、調査の平均だけでなく、これから自分の家にテレビを置く判断です。その際は「家にある」と「眠る部屋で使える」を分けてみると、変更する条件がはっきりします。共用の場所で見終えてから部屋へ移る使い方と、ベッドの近くで続きを見られる使い方では、家族が終了を把握する場面も違います。まず現在の使い方を書き出せば、設置によって何が変わる予定なのかを子と共有できます。
この研究のパソコンの結果も、機器の名前だけで良し悪しを決めないための材料です。勉強のために使ったのか、遊びのために使ったのかという問いと、寝室に置いたのかという問いは分けて扱えます。学習に使う機器を検討するなら、使う課題と終えた後の置き場所まで決めると、導入後に確かめる内容が明確になります。
ゲーム機を渡す時期を分けると、学習活動に差が出た
Weis ほか(2010)は、ゲーム機を持っていなかった男児を、すぐに受け取る組と4か月後に受け取る組に分けました。組分けにはくじ引きに相当する方法を使っており、無作為化比較試験と呼ばれます。すぐに受け取った組は、後から受け取る組より放課後のゲーム時間が増え、学習に関わる活動の時間が減りました。追跡時の読み・書きの得点は低く、学校の先生が報告する学業上の問題も多くなりました。
この比べ方の特徴は、すでにゲーム好きの子と、そうでない子を集めて比べただけではない点です。受け取る時期を研究側が分けてから変化を見ているので、もともとの好みや家庭の選び方による偏りを抑えられます。同じ研究では、ゲームをする時間の長さが組どうしの差を仲立ちしていました。研究者は、ゲームが放課後の教育的な活動を置き換え、一部の子の読み書きの発達を妨げる可能性を示したと結論づけています。
寝室のテレビの調査とは異なり、ここで変えたのはゲーム機を受け取る時期です。したがって、家庭で検討する際も、新しく持たせることと、すでに持っている機器を別の部屋へ移すことを区別できます。初めて機器を持つ子では、これまでの放課後の予定のどこに遊ぶ時間を入れるつもりか、先に聞くのが具体的です。読みかけの本や宿題が後回しになる予定なら、遊び終える場面も一緒に考えられます。
子がゲームを楽しみにしていることと、読み書きの時間を確保することは、同時に話し合える内容です。「勉強が終わったら自由」という約束を使う場合も、何を終えるのかが曖昧だと確認しにくくなります。宿題を提出できる状態にする、本を読む時間を残すなど、実際の活動に沿って決めると、ゲームの時間だけを数えるより予定を確かめやすくなります。
合計時間では見えない、使い方による違い
Adelantado-Renau ほか(2019)は、子どもと青年の画面利用と学業成績について、メタ分析を行いました。メタ分析とは、画面利用と成績のような共通の問いを扱う研究を集め、結果を数値で統合する方法です。画面を使う時間の合計には成績との統計的な関係がなかった一方、種類を分けると、テレビの視聴は総合・言語・数学の成績の低さと関係しました。ゲームについても総合成績との負の関係があり、著者は画面を使う活動ごとに調べることを求めています。
Ferguson(2015)が子どもと青年のゲーム使用をまとめたメタ分析では、学業成績の低下との関係は r = -.01 と、ごく小さい結果でした。r は相関係数といい、物事がどの程度一緒に変わるかを表す数です。この分析は、病的なのめり込みに当たるゲーム使用を対象から外しています。通常の使用を広く集めた平均の結果と、生活に強い支障が出ている使い方は区別して読むことになります。
また、米国北東部の児童・生徒を調べた Sharif ほか(2006)は、平日のテレビ時間と週末の画面時間を分けて見ています。平日のテレビ時間が長いほど成績が悪い確率は高かったものの、週末の画面時間とゲームの使用には成績との関係が見られませんでした。成績は本人が答えたもので、学校の試験の得点を直接集めた調査とは測り方が違います。平日と週末を足した合計だけでは、この調査で表れた条件の違いを見落とします。
これらの結果を家庭の記録に生かすなら、見る内容、使う曜日、終える時刻を分けて残す方法があります。平日に宿題を後ろへずらして見るテレビと、予定のない休日に楽しむゲームを、同じ欄にまとめる必要はありません。「画面を使った」という記録に、何の後で始め、何の前に終えたかを添えると、生活の中での位置が見えます。結果が小さい研究も含めて読むことで、機器を持つ子すべてを同じように心配するのではなく、実際の時間配分に目を向けられます。
読書と睡眠が減る経路を確かめる
Gentile ほか(2017)は、方法・年齢・期間・国の異なる追跡調査を使って、寝室のメディアと子どもの発達を調べました。寝室にメディアがある子では画面を見る時間が長く、その分の読書と睡眠が減り、後の学校の成績の悪さにつながる関係が見られました。このように、間に別の変化を挟んだつながりを統計的に調べることを、媒介の分析といいます。著者が示したのは、機器の有無から成績だけへ飛ぶ説明ではなく、途中にある時間の使い方です。
この結果から家庭で注目する対象を選ぶなら、画面の使用を終えた後に何をしているかが候補です。たとえば、以前は本を開いていた時間に続きを見ている場合、読書が後回しになった場面を記録できます。反対に、予定していた読書を終え、眠る支度も予定どおりなら、その日の記録にはそれも残せます。うまくいかなかった日だけを集めるより、使っても予定が保たれた日と並べる方が、変更したい条件を話し合いやすくなります。
睡眠そのものを調べた Cespedes ほか(2014)の米国の追跡研究では、寝室のテレビと短い睡眠の関係が、人種・民族的少数派の子で見られました。白人でヒスパニックではない子では、有意な関係は見られませんでした。また、フィンランドの学齢期の子を追跡した Nuutinen ほか(2013)では、パソコンやテレビの使用、寝室のメディアが、短い睡眠や遅い就寝と関係しました。これらは成績を測っていない睡眠の研究なので、睡眠の差をそのまま試験の点の差として扱うことはできません。
家庭では、床に入った時刻と、本人が眠れたと思う時刻を分けて聞くと、記録の意味が明確になります。保護者が部屋の明かりを消した時刻だけを書いた場合、それは実際に眠った時刻とは区別して読む記録です。朝の様子も添えれば、早く部屋へ入ったかだけに注目せず、子がどう過ごしたと話しているかを残せます。
画面の有無と、置き換わる時間を分けて考える
ここまでの研究には、寝室に機器がある子とない子を比べるもの、持たせる時期を分けるもの、利用時間の長短を見るものがありました。比べる条件が違えば、家庭で変更する対象も変わります。機器を置く場所、遊び始める場面、終了後の活動を分けて考えると、次の表のように確認する内容を選べます。
| 判断する対象 | 比べる条件 | 家庭で確かめる内容 |
|---|---|---|
| 画面そのもの | テレビ、ゲーム、学習に使う機器 | 何を見るため、何をするために使っているか |
| 画面の置き場所 | 寝室、家族が共用する場所 | 使い終わりを本人と家族が把握できるか |
| 使う時期 | 学校のある平日、週末 | 宿題や翌朝の予定に合わせて終えられるか |
| 置き換わる時間 | 視聴の前後の読書、学習、睡眠 | 後回しになった活動が、その後にできているか |
| 設置後の判断 | 予定していた使い方、実際の使い方 | 終える約束と残したい時間が両方保たれているか |
一律に部屋から出す方法が合わない場面
学習にも機器を使う子については、課題に必要な利用と、課題が終わった後の娯楽を分けて予定に書けます。家族が共用する場所では落ち着いて課題を進めにくいなど、置き場所を変える際に考えたい事情もあります。そうした家庭では、移動を先に決めるより、課題の終了時に片づける場所を決める案から検討できます。スマホを中心に調べたものではないテレビやゲーム機の研究を読む際も、機器名の置き換えを急がず、生活のどこを見直すために読むのかを明確にします。
画面を片づけた後の時間を、すべて追加の勉強で埋める案にも注意が要ります。眠る支度が遅いことを変えたいのに、新しい課題が増えて就寝が遅れたままなら、初めの目的に合っていません。もともと読書や睡眠が保たれている子も、成績だけを見て遊びを減らす前に、宿題の内容やつまずく場面を別に確かめられます。変更後の判断は「画面を減らした」という事実だけで終えず、守りたかった生活の活動に戻して行えます。
家庭では平日の寝る時刻と読書を記録する
最初は1週間、ふだんの平日の寝る時刻と読書の時間を、週の予定に沿って記録します。記録を始めるときは、遊びを取り上げるためではなく、どの時間が押されているかを知るためだと子に伝えます。学校の課題が多かった日、家の予定がずれた日も添えておくと、画面を使った時間だけでその日を説明せずに済みます。次の項目を、本人が振り返れる範囲で同じ用紙に残せます。
記録を見返すときは、予定が崩れた日の流れを、子の説明と照らし合わせます。ゲームの終了が延びたのか、その前の宿題で困っていたのかでは、変更する場面が違います。読書が押されていたら読む時間を先に決め、寝る支度が押されていたら画面を終える場面や夜の置き場所を話し合えます。部屋から出す案は、時間の記録を見た後で選ぶ方法の中に置けます。
変更した後も、同じ項目で生活を見直します。終了の約束を守れたかと、読みたい本や宿題に取りかかれたかは別々に確かめます。テストの点が動いた場合も、同時期に課題や授業内容が変わっていないかを一緒に記録しておけば、配置の変更だけに結びつけずに振り返れます。眠りの乱れが続くときは、画面の利用と寝る時刻の記録を持って小児科で相談できます。
子ども部屋の画面を置く判断では、楽しみをどう残すかも子と相談する内容です。移動する場合は使える場所と終える場面を決め、置いたままにする場合は読書や眠る支度が後回しになっていないかを見ていけます。機器があるかどうかから生活の中の使い方へ目を移すことで、家庭で変更する点を具体的に選べます。
よくある質問
テレビを部屋から出せば、次のテストの点は上がりますか
配置を変えた後は、まず目的にしていた時間が戻ったかを確かめます。読む時間を残したかったなら実際に本を開けたか、寝る支度を早めたかったならその流れが変わったかが確認の対象です。試験の点だけを待つと、日々の使い方の変化を見落としやすくなります。点数と生活の記録を別々に残せば、移動によって変わった場面を子と具体的に話せます。
休日だけゲームをする場合も、同じように心配すべきですか
平日と休日は分けて考えられます。学校の課題や翌朝の予定がある日と、ゆっくり過ごせる日では、画面の時間とぶつかる予定が違います。本文の「合計時間では見えない、使い方による違い」で扱った研究も、この区別に注目する材料です。休日という名前だけで判断せず、その日の読書や宿題、眠る支度がどのように残っているかを記録できます。
学習用の画面も、ゲーム機と一緒に片づけますか
学習に使う予定がある場合は、何の課題を終えるまで使うかを先に決められます。終えた後の遊びまで同じ利用として数えると、課題に要した時間と楽しむ時間が混ざってしまいます。課題の終了と、機器をしまう時点を記録に分ければ、置き場所を変える際にも学習に必要な利用を残す案を考えられます。子が何のために使っているかを聞くところから、具体的な片づけ方を決められます。
この記事の限界
研究の対象者は海外の子どもが中心で、日本の小中高生の寝室の画面と、内申や定期テストを追跡した結果は含んでいません。寝室のテレビを扱った調査は米国のものが多く、同じ時点で機器と成績を測る設計が多いため、テレビが原因で成績を下げたとは言い切れません。ゲーム機を渡した試験も、もともと機器を持たない男児を対象としており、長く使ってきた子の置き場所を変える比較とは条件が異なります。
睡眠を調べた研究と学力を調べた研究では測る結果が異なり、家庭で場所を変えたときの点数の上がり幅まで示した結果はありません。スマホやタブレットが中心になった現在の寝室を、成績と結びつけて追った研究はまだ少ない状況です。
参考文献
- Borzekowski ほか. The remote, the mouse, and the no. 2 pencil: the household media environment and academic achievement among third grade students. Arch Pediatr Adolesc Med. 2005;159(7):607-613.
- Weis ほか. Effects of video-game ownership on young boys’ academic and behavioral functioning: a randomized, controlled study. Psychol Sci. 2010;21(4):463-470.
- Adelantado-Renau ほか. Association Between Screen Media Use and Academic Performance Among Children and Adolescents: A Systematic Review and Meta-analysis. JAMA Pediatr. 2019;173(11):1058-1067.
- Ferguson. Do Angry Birds Make for Angry Children? A Meta-Analysis of Video Game Influences on Children’s and Adolescents’ Aggression, Mental Health, Prosocial Behavior, and Academic Performance. Perspect Psychol Sci. 2015;10(5):646-666.
- Sharif ほか. Association between television, movie, and video game exposure and school performance. Pediatrics. 2006;118(4):e1061-70.
- Gentile ほか. Bedroom media: One risk factor for development. Dev Psychol. 2017;53(12):2340-2355.
- Cespedes ほか. Television viewing, bedroom television, and sleep duration from infancy to mid-childhood. Pediatrics. 2014;133(5):e1163-71.
- Nuutinen ほか. Do computer use, TV viewing, and the presence of the media in the bedroom predict school-aged children’s sleep habits in a longitudinal study? BMC Public Health. 2013;13:684.
通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。
- 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
- 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
- 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
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よくある質問
テレビを部屋から出せば、次のテストの点は上がりますか
配置を変えた後は、まず目的にしていた時間が戻ったかを確かめます。読む時間を残したかったなら実際に本を開けたか、寝る支度を早めたかったならその流れが変わったかが確認の対象です。試験の点だけを待つと、日々の使い方の変化を見落としやすくなります。点数と生活の記録を別々に残せば、移動によって変わった場面を子と具体的に話せます。
休日だけゲームをする場合も、同じように心配すべきですか
平日と休日は分けて考えられます。学校の課題や翌朝の予定がある日と、ゆっくり過ごせる日では、画面の時間とぶつかる予定が違います。本文の「合計時間では見えない、使い方による違い」で扱った研究も、この区別に注目する材料です。休日という名前だけで判断せず、その日の読書や宿題、眠る支度がどのように残っているかを記録できます。
学習用の画面も、ゲーム機と一緒に片づけますか
学習に使う予定がある場合は、何の課題を終えるまで使うかを先に決められます。終えた後の遊びまで同じ利用として数えると、課題に要した時間と楽しむ時間が混ざってしまいます。課題の終了と、機器をしまう時点を記録に分ければ、置き場所を変える際にも学習に必要な利用を残す案を考えられます。子が何のために使っているかを聞くところから、具体的な片づけ方を決められます。