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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月18日

塾の夏期講習で成績は上がるか|夏の補習授業の研究

夏休みの予定表を前に、部活の大会と講習が重なる日をどうするか、家庭で相談する場面を考えます。米国の夏の補習の授業93件の評価をまとめたCooper ほか(2000)は、夏の授業が参加した子の知識と技能を伸ばしたと結論しています。気になるのは、わが子にも効果があるのか、通う量をどう決めればよいのかという点です。研究の平均と、家庭で選ぶ講習の内容を分けて読む必要があります。

この記事の要点
  • Cooper ほか(2000)は、米国の夏の補習93の評価で、参加した子の知識と技能が伸びたと報告しています。
  • Lynch ほか(2023)では、数学を含む夏の学習37研究をまとめた比較群との差は、平均で+0.10標準偏差でした。
  • Lauer ほか(2006)は、学力の低い子向けの学校外学習35研究で、読みと算数・数学に小さいが統計的に有意な効果を報告しています。
  • Borman ほか(2006)では、招いた組全体の比較で効果はなく、よく出席した子に限った比較では差が見られました。
  • Cooper ほか(2000)では、規模が小さく指導が個別化されている補習で効果が大きいと報告されています。

塾の夏期講習で成績は上がるか|夏の補習授業の研究

夏休みの予定表を前に、部活の大会と講習が重なる日をどうするか、家庭で相談する場面を考えます。米国の夏の補習の授業93件の評価をまとめたCooper ほか(2000)は、夏の授業が参加した子の知識と技能を伸ばしたと結論しています。気になるのは、わが子にも効果があるのか、通う量をどう決めればよいのかという点です。研究の平均と、家庭で選ぶ講習の内容を分けて読む必要があります。

夏の学習には小さな効果が期待できますが、参加するだけで伸びるとは限らず、出席の見通しと扱う単元を確かめることが大切です。 夏の学習をまとめた結果と、参加を促す働きかけを試した結果は同じではありません。よく出席した子に差が見られても、出席したことだけが原因とは言い切れません。以下では、夏の補習を扱った研究について、誰と誰を比べ、何を測ったかを整理します。最後に、予定表と答案を使って家庭で確認する手順を示します。

要点

  • Cooper ほか(2000)は、米国の夏の補習93の評価で、参加した子の知識と技能が伸びたと報告しています。
  • Lynch ほか(2023)では、数学を含む夏の学習37研究をまとめた比較群との差は、平均で+0.10標準偏差でした。
  • Lauer ほか(2006)は、学力の低い子向けの学校外学習35研究で、読みと算数・数学に小さいが統計的に有意な効果を報告しています。
  • Borman ほか(2006)では、招いた組全体の比較で効果はなく、よく出席した子に限った比較では差が見られました。
  • Cooper ほか(2000)では、規模が小さく指導が個別化されている補習で効果が大きいと報告されています。

夏期講習の効果はどのくらいか

夏は差がつくと言われることがあります。そう聞くと、講習の日数を増やしたほうがよいのかと迷います。ただ、研究の平均的な効果は、日数を増やすごとに成績が上がるという意味ではありません。扱う教科や比べた相手を確認してから、数字の意味を考えます。

数学に絞ったLynch ほか(2023)のメタ分析(複数の研究の結果をまとめて計算し直す方法)は、幼稚園前から高校3年までの37の実験・準実験を扱っています。準実験は、くじ引きで組を分ける方法以外で、条件の近い組などを比べて効果を調べる方法です。数学の活動を含む夏の学習の比較群との差は、平均で+0.10標準偏差でした。標準偏差は点のばらつきを表す物差しで、この数字を学校のテストの点数にそのまま換算することはできません。

学力の低い子向けの学校外学習を扱ったLauer ほか(2006)は、放課後や夏の学習35研究をまとめました。読みと算数・数学の成績に、小さいが統計的に有意な効果が報告されています。統計的に有意とは、偶然のばらつきだけでは説明しにくい差と判断されたことです。放課後か夏かという違いでは、効果に差がありませんでした。

これらは、夏の学習に一定の可能性があると読む材料です。一方、平均に差があったことと、個々の子に同じ差が出ることは区別します。Lynch ほか(2023)の結果からも、日本の塾で何日通えばよいかは決まりません。候補の講習が、本人のどの課題を扱うかまで確かめる必要があります。

どんな夏の学習が効きやすいか

Cooper ほか(2000)は、米国の夏の補習の授業93の評価を、メタ分析と文章によるレビューで整理しています。補習や先取りなどの夏の授業は、参加者の知識と技能を伸ばしたとしています。補習では、規模が小さく指導が個別化されているほど効果が大きく、読みより算数・数学で効果が大きい可能性がありました。ここでいう個別化は、子の状態に合わせて指導を調整することとして読みます。

Lauer ほか(2006)でも、読みの個別指導を含むなど、特定の特徴を持つ学習では効果が大きいとされています。ただし、これだけで集団形式と個別形式のどちらがよいかを一律に決めることはできません。家庭で聞くなら、授業形式の名前に加えて、つまずいた単元をどう扱うかを確認します。

夏の学習への期待 研究で言えること 比べた相手・条件 対象
夏に一気に伸ばせます Lynch ほか(2023)では数学の差は平均+0.10標準偏差でした 各研究の比較群 幼稚園前〜高校3年の37研究
大人数ほど力が付きます Cooper ほか(2000)では小規模で個別化された補習の効果が大きい結果でした 規模や個別化の異なる補習 米国の夏の補習93評価
どの教科も同じように伸びます Cooper ほか(2000)では読みより算数・数学で効果が大きい可能性がありました 読みと算数・数学 米国の夏の補習
参加を決めれば伸びます Borman ほか(2006)では招いた組全体の効果はありませんでした 招かなかった組 ボルチモアの子438人と248人

講習の内容を確認するときは、学校の答案で止まった問題を見せ、その単元をどこで扱うかを尋ねます。教材の一覧に単元名があるだけでなく、説明の後に解き直す機会があるかも聞きます。これは個々の講習の内容を知るための確認で、この手順そのものの効果を測った研究ではありません。

読みより算数・数学で効果が大きい可能性について、Cooper ほか(2000)の今回の資料は理由を示していません。家庭での会話や読書の量を持ち出して、その理由を補うことは避けます。教科を選ぶときは、平均の大小だけでなく、本人がどの内容に困っているかも合わせて考えます。

招くことと、よく出席することを分けて読む

Borman ほか(2006)は、米国ボルチモアの貧困地域の子を、夏の補習に招く組438人と招かない組248人にくじで分けました。無作為化比較試験と呼ばれる、くじ引きで組を分けて比べる試験です。補習は複数年にわたるものでしたが、招いた組全体と招かなかった組を比べたとき、成績への効果はありませんでした。参加は任意で、出席は年によってばらついていました。

同じBorman ほか(2006)で、よく出席した子に限った比較では、最終の読みのテストに1学年分の40%〜50%の差が見られました。この差は、招くかどうかをくじで分けた比較の結果とは区別する必要があります。よく出席するかどうかは本人側の選択も含むため、出席の違いだけが成績差を生んだとは言い切れません。

したがって、出席日数に比例して伸びるという読み方はできません。講習を選ぶ場面では、招かれただけでは効果が出なかった結果を、参加を決めた後の見通しまで考える材料にします。通う予定が立つか、欠席した内容をどう扱うかという質問につなげます。予定を調べることと、成績の伸びを保証することは別です。

部活の大会や家族の予定が重なるなら、講習の日程と同じ紙に書き込みます。欠席の可能性がある回では、扱う単元と補い方を確認します。移動や学校の課題の時間も置いてみると、計画どおり通えそうかを本人と相談できます。出席できる量を先に見定め、その中で何を学ぶかを絞るための作業です。

効果が一様でないことをどう受け止めるか

Cooper ほか(2000)は、中流の家庭の子のほうが、不利な家庭の子より効果が大きかったと報告しています。夏の補習に益があっても、すべての家庭で同じ大きさとは限らないという結果です。この結果だけを使って、ある家庭の子には効果がないと決めることはできません。

一方、Lynch ほか(2023)の数学の研究では、貧困の度合いが高い地域でも低い地域でも同じような効果でした。前者は夏の補習全体、後者は数学に絞った実験・準実験を扱っています。家庭の状況を比べることと、地域の状況を比べることも同じではありません。どちらかを使って家庭の事情が効果を決めると断定するのは避けます。

家で勉強を見る時間が取りにくい場合は、講習の宿題を本人だけで進められるかを相談します。家庭でどの程度の確認が求められるかを聞けば、予定に組み込めるか考えられます。家庭の支え方を研究から一律に割り当てるためではなく、実際に続けられる計画かを確かめるためです。

夏に休息が必要な子や、すでに予定が詰まっている子には、予定を増やす選択が合わない場合も考えられます。本人が負担に感じていることを聞き、学校の課題も含めて優先する内容を相談します。今回の研究は、休息を削って講習を増やした場合の害を測ったものではありません。講習の平均的な効果だけを理由に、予定を埋める必要はありません。

夏期講習を選ぶときに確かめること

案内を見る前に、学期中の答案と夏の予定表を用意します。答案では、点数だけでなく、どの単元のどの問題で止まったかに印を付けます。予定表では、通える日と重なりのある日を区別します。両方がそろうと、何をどの日に扱えるかという具体的な相談になります。

  • 講習の日と部活・家族の予定が重ならないか確かめます。
  • 講習の単元名と、学校の答案で止まった単元を並べます。
  • 説明を聞いた後に、自分で問題を解く機会があるか尋ねます。
  • 欠席した回の内容をどう補うか、講師に確認します。
  • 夏の後に同じ単元を解き直す機会があるか調べます。

これは、研究の平均を本人に当てはめるための判定表ではありません。内容と予定が合っているかを確認する手順です。通える日が少ないなら、その範囲で扱う内容を絞れるかを相談します。先に日数を決め、その後で苦手を詰め込む形にならないようにします。

夏の前の答案は、講習が終わるまで残しておきます。夏の後には、同じ単元の問題で説明できることや、自分で解けることを確かめます。前後の点数が変わっても、学校の授業や家庭学習もあるため、変化のすべてを講習の効果と決めることはできません。どこがまだ難しいかを次の相談に使う記録として扱います。

日本の塾の夏期講習を選ぶ判断に戻す

研究の対象と、武蔵境で家庭が選ぶ講習の内容には隔たりがあります。教科名が同じでも、復習を中心にするのか、先取りを中心にするのかで目的が違います。まず、今回の夏に確かめたい課題を、本人の答案に沿って言葉にします。

例えば、計算で止まった問題と、文章を読んで式を立てられなかった問題を分けて持参する方法があります。講師には、どの内容をどの教材で扱うかを尋ねます。同じ数学の講習でも、目的に合う内容かを具体的に話せます。これは講習の効果を確定する作業ではなく、選んだ内容と本人の課題のずれを確かめる作業です。

説明を聞いたら、通える日程でその内容を扱えるかを確かめます。欠席する回に希望する単元が重なる場合は、教材の渡し方だけでなく、質問する機会があるかも聞きます。夏の後の学校の課題や授業とのつながりも含め、本人が取り組める見通しを整えます。

講習の案内と学期中の答案を並べ、通える日と扱いたい単元を照らし合わせます。相談した内容は本人と確認します。夏の後に解き直す単元まで、予定表に残しておきます。

よくある質問

夏期講習は何日通えば効果が出ますか。

Borman ほか(2006)では、招いた組全体では効果がなく、よく出席した子に限った比較で差がありました。出席は本人側の選択も含むため、特定の日数を超えれば伸びるとは読めません。家庭では通える日を先に確かめ、その範囲でどの単元を扱えるかを相談します。

数学だけを選んでもよいですか。

Lynch ほか(2023)の37研究では、数学を含む夏の学習の比較群との差は平均+0.10標準偏差でした。数学だけを選ぶ方法と、複数教科を選ぶ方法の優劣を直接比べた数字ではありません。本人の答案を見て、数学のどの内容を補いたいのかを先に決めます。

通っても成績が上がらないときは何を見ますか。

出席の記録と、扱った単元を並べて確認します。欠席した回の内容や、講習で扱わなかった苦手が残っていないかを講師に尋ねます。点数だけで理由を決めず、解き直しで何ができるかまで確かめると、次に相談する課題が具体的になります。

集団と個別ではどちらがよいですか。

Cooper ほか(2000)では、小規模で指導が個別化されている補習ほど効果が大きい結果でした。日本の塾の集団形式と個別形式を直接比べた結果としては扱えません。形式の名前に加えて、本人のつまずきを確認し、扱う内容をどう調整するかを尋ねます。

この記事の限界

当てはまる範囲は米国の夏の補習や学校外の学習であり、読みの支援と数学の活動では目的も対象も異なります。日本の塾の夏期講習を直接評価した資料は、今回の根拠に含まれていません。武蔵境の学校の教材との対応や、夏の後に同じ単元を学ぶ機会は、候補の講習ごとに確かめる必要があります。

参加を促された組全体の比較と、よく出席した子に絞った比較は、答えようとしている問いが違います。家庭の都合や本人の選択を含む任意の出席と成績の関連から、日数を増やすだけで伸びるとは判断できません。部活や家庭の予定で通える量が変わるときは講師に扱う単元と欠席時の補い方を聞き、学校の課題との両立は学校の先生とも相談する対応が考えられます。

参考文献

  1. Cooper ほか. Making the most of summer school: a meta-analytic and narrative review. Monographs of the Society for Research in Child Development. 2000;65(1):i-v, 1-118.
  2. Lauer ほか. Out-of-School-Time Programs: A Meta-Analysis of Effects for At-Risk Students. Review of Educational Research. 2006;76(2):275-313.
  3. Lynch ほか. The Impact of Summer Programs on Student Mathematics Achievement: A Meta-Analysis. Review of Educational Research. 2023;93(2):275-315.
  4. Borman ほか. Longitudinal Achievement Effects of Multiyear Summer School: Evidence from the Teach Baltimore Randomized Field Trial. Educational Evaluation and Policy Analysis. 2006;28(1):25-48.

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

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よくある質問

夏期講習は何日通えば効果が出ますか。

Borman ほか(2006)では、招いた組全体では効果がなく、よく出席した子に限った比較で差がありました。出席は本人側の選択も含むため、特定の日数を超えれば伸びるとは読めません。家庭では通える日を先に確かめ、その範囲でどの単元を扱えるかを相談します。

数学だけを選んでもよいですか。

Lynch ほか(2023)の37研究では、数学を含む夏の学習の比較群との差は平均+0.10標準偏差でした。数学だけを選ぶ方法と、複数教科を選ぶ方法の優劣を直接比べた数字ではありません。本人の答案を見て、数学のどの内容を補いたいのかを先に決めます。

通っても成績が上がらないときは何を見ますか。

出席の記録と、扱った単元を並べて確認します。欠席した回の内容や、講習で扱わなかった苦手が残っていないかを講師に尋ねます。点数だけで理由を決めず、解き直しで何ができるかまで確かめると、次に相談する課題が具体的になります。

集団と個別ではどちらがよいですか。

Cooper ほか(2000)では、小規模で指導が個別化されている補習ほど効果が大きい結果でした。日本の塾の集団形式と個別形式を直接比べた結果としては扱えません。形式の名前に加えて、本人のつまずきを確認し、扱う内容をどう調整するかを尋ねます。