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公開:2026年9月11日/最終更新:2026年10月22日

鉛筆の持ち方は直したほうがよいか|持ち方と字の速さ・読みやすさの研究

夕暮れに宿題を見ていると、書き上がった文字より、鉛筆を握る子の指に目が向くことがあります。Chandrasekaran と Gajendran(2026)が学校で調べた子どもは500人で、持ち方だけでなく指先の器用さと書くことの苦手さとの関係を調べています。教わった形と違う持ち方は、字を速く、読みやすくするために直させたほうがよいのでしょうか。見本と形が違うだけで直すと決めず、実際の読みやすさ、書く速さ、手の疲れを確かめることが先です。

この記事の要点
  • 見本と異なる持ち方でも、書く速さや読みやすさが同程度だった比較があります。
  • 書くのが苦手な子に特定の握りが多いという関連と、握りを直す効果は別の話です。
  • 指先の器用さを見ることと、実際に文字を書く練習を支援に含めることが手掛かりになります。
  • 家庭では書いた量だけでなく、読み返せるか、手が疲れるかを子と一緒に確かめます。

鉛筆の持ち方は直したほうがよいか|持ち方と字の速さ・読みやすさの研究

夕暮れに宿題を見ていると、書き上がった文字より、鉛筆を握る子の指に目が向くことがあります。Chandrasekaran と Gajendran(2026)が学校で調べた子どもは500人で、持ち方だけでなく指先の器用さと書くことの苦手さとの関係を調べています。教わった形と違う持ち方は、字を速く、読みやすくするために直させたほうがよいのでしょうか。見本と形が違うだけで直すと決めず、実際の読みやすさ、書く速さ、手の疲れを確かめることが先です。

武蔵境周辺で学校や塾に宿題の相談をするときも、「持ち方が変です」だけでは、何に困っているかが伝わりにくくなります。「最後の行になると読みにくい」「写す途中で手を休める」といった様子なら、書いたものと一緒に示せます。研究にも、握りの違いを見る比較と、書く練習を含む支援の効果を見る比較があり、答えている問いが異なります。指の形をそろえることと、子が必要な文字を書けるようにすることを分けて考えると、家庭で見る点も絞れます。

要点

  • 見本と異なる持ち方でも、書く速さや読みやすさが同程度だった比較があります。
  • 書くのが苦手な子に特定の握りが多いという関連と、握りを直す効果は別の話です。
  • 指先の器用さを見ることと、実際に文字を書く練習を支援に含めることが手掛かりになります。
  • 家庭では書いた量だけでなく、読み返せるか、手が疲れるかを子と一緒に確かめます。

「正しい形」と「書きやすい形」を分ける

鉛筆の持ち方を気にするとき、まず目的を言葉にすると判断しやすくなります。読み手に文字を伝えたいのか、授業の書き写しに間に合わせたいのか、手のつらさを減らしたいのかを分けます。「正しく持つ」という目標だけでは、形を変えた後に何を確かめるかが曖昧になります。見本どおりになったかに加えて、最初に気になっていた困りごとがどうなったかを見る必要があります。

研究でいう成熟した握りとは、発達上、文字を書くための持ち方として分類される握りを指します。成熟した握りにも指の使い方が異なる型があり、見本に近い形だけを指す言葉ではありません。反対に、未熟な握りという分類名は、子の態度や努力を評価した言葉ではありません。家庭で手元を見ただけで分類を決めるより、どんな課題で書きづらさが出るかを伝えるほうが相談の内容を具体的にできます。

Schneck(1991)は、書くことに困難のある小学1年生と、困難のない子の握り方を比べました。困難のある子では握りの評点が低い傾向があり、持ち方にも目を向ける理由になります。ただし、これは相関、つまり特徴が一緒に見られるという関係の報告であり、持ち方を直した前後の改善を比べた結果ではありません。支援を考える際には、握りを手掛かりにしつつ、書いたものと子の話を合わせて見る読み方が適切です。

親が気になる点と子が困る点を、最初から同じと決める必要もありません。親は指の重なりを気にしていても、子は長い文章の後半がつらいと話すかもしれません。まずは「どこが書きにくかったですか」と聞き、親の見た様子と子の答えを並べてみます。答えが違ったときほど、形を直す前に確かめる対象がはっきりします。

握りの型を比べた研究では差が小さい

Schwellnus ほか(2012)の2つの報告は、同じ研究班が小学4年生の握りと書字を調べたものです。一方は120人の書く様子を録画し、成熟した握りの型と、速さ・読みやすさとの関係を分析しました。もう一方は10分間の書き写しの前後を調べ、字の質と速さに加えて、本人が感じる負担も比べました。成熟した握りの型によって明確な差は見られず、見本と異なる握りも、速く読みやすく書くために使えていました。

ここで比べたのは、ふだん異なる持ち方をしている子どうしです。同じ子に新しい持ち方を覚えさせ、慣れるまで練習させた比較とは問いが異なります。また、同じ研究班の報告を、別々の地域で繰り返し成功した指導の例として数えることも避けます。この結果から家庭に持ち帰れる判断は、見た目の違いだけを理由に、今の書き方を低く評価する必要は薄いということです。

ほかの研究でも、比較する課題や学年が少しずつ異なります。下の表では、誰を比べ、どの場面の文字を評価したかを並べました。「字がきれい」という印象だけでなく、読みやすさと速さのどちらを測ったのかも見ると、結果を取り違えにくくなります。

研究 比べた相手・課題 研究で見られたこと
Koziatek と Powell(2003) 小学4年生の異なる握りと英語の筆記体 指の間に挟む握りを除き、速さは同程度で、複数の握りが機能していました
Dennis と Swinth(2001) 小学4年生の異なる握りと、短い課題・長い課題 長い課題では読みやすさが下がりましたが、握りによる差はありませんでした
Donica ほか(2018) 小学1・2年生の成熟した握り・未熟な握り 読みやすさの検査で統計的に明確な差はありませんでした

力の使い方と指先の器用さを見る

持ち方の見た目が同じでも、どの指にどれほど力をかけているかは別の観点です。Lin ほか(2022)は、力を測れるペンを使い、書くことに困難のある子28人と、困難のない子36人を比べました。困難のある群はペン先にかかる力が小さく、指の力の配分にも違いがありました。調べているのは指の位置の写真だけでは捉えにくい力の使い方で、持ち方の名前を当てることとは異なります。

この報告も、困難のある子とない子を比べた相関の研究です。家庭で「もっと強く握ればよい」と指示するための目標値として扱う研究ではありません。親ができるのは、筆跡だけから力の強弱を決めず、途中で握り直す様子や、どこに疲れを感じるかを聞くことです。手元に見える動きと本人の感覚を分けて残しておけば、後で学校の先生にも説明しやすくなります。

Chandrasekaran と Gajendran(2026)の横断研究、つまり同じ時点で特徴を調べた研究では、字の苦手な群に未熟な握りが多く見られました。一方、他の要因を合わせて分析すると、握りは苦手さを独立して予測する要因にはならず、指先の器用さの低さが関連していました。著者は握りを覚え直すことより、指先の細かな運動の制御に目を向ける支援を提案しています。未熟な握りが多いという発見と、分析で残った要因とを区別すると、指の形だけに支援を集中させない理由が見えてきます。

家庭では、宿題のどの動作で止まるかを見ます。書き始めから進みにくいのか、消して書き直すときに手間取るのか、続けた後に手が止まるのかを区別します。観察したことを、そのまま器用さの検査結果に置き換える必要はありません。苦手な場面を具体的に伝えるための材料として使います。

練習は指の形だけで終わらせない

書くことへの支援を考えるなら、実際に文字を書く時間が含まれるかも見る点になります。Hoy ほか(2011)は、書くことに困難のある学齢期の子への支援を比べた対照試験11本を、系統的レビューという方法で集めて検討しました。これは、あらかじめ決めた基準に沿って研究を探し、結果をまとめる方法です。書く練習を含まない支援や、練習量が少ない支援には効果が見られず、改善のためには十分な書く練習を含める必要があると結論づけています。

この研究が扱う練習は、握り方だけの矯正ではなく、文字を書くことへの支援です。家庭で応用するときは、指を見本の位置に置けたことだけを達成の目印にせず、練習した文字が読み返せるかまで見ます。たとえば、自分の書いた文を読み、読みにくかった文字を本人と選び、次にそこを意識して書く方法が考えられます。これは研究の手続きをそのまま再現するものではなく、困りごとを絞って練習を考えるための家庭での提案です。

書く量を増やすことだけを目標にすると、何を練習しているかが曖昧になります。「行の最後まで文字を区別して書く」「自分で読み直せる形にする」といった目的を、子と共有します。終わった後は、見本との差をすべて指摘するより、決めた箇所を見直します。持ち方、速さ、文字の形を同時に変えるよう求めず、何を試したかがわかる形にしておきます。

学校で受けている指導がある場合は、その目的も確かめます。持ち方の練習なのか、文字の形を覚える練習なのかで、家庭から伝える情報も変わります。「家ではこの文字が読めましたが、続けて書くと止まりました」と実物を示せば、次の課題を相談できます。指先への支援と書く練習を対立させず、どちらも実際の書きづらさと結びつけて考えます。

疲れや痛みがある子は形の点検を急がない

Schneider ほか(2023)は、学齢期の子の握りと書くことを扱う13本を、スコーピングレビューで整理しました。スコーピングレビューは、研究の範囲や不足している点を見渡す方法です。効率の悪い握りが文字の読みやすさの低下や疲れにつながる可能性を挙げつつ、研究全体として結論は定まっていないとしました。関連を扱う研究をまとめた報告として、持ち方を無視する根拠にも、一律に直す根拠にもせずに読みます。

家庭で区別したいのは、見本との違いだけが気になる場合と、本人がつらさを訴えている場合です。手を休める子にさらに同じ量を求める前に、どの作業のどのあたりでつらくなったかを聞きます。完成した紙からは読みやすさを見られますが、本人が我慢していたかまでは読み取れません。手の痛みが続く場合や、書くことを強く嫌がる場合は、学校の先生や医師に相談してください。

また、書き写しの最後で文字が崩れたとしても、それだけで握りが原因だと決めないことが大切です。宿題の種類、書き続けた場面、本人の言葉をセットで伝えれば、困りごとの説明になります。「読みにくい字だから持ち方を直す」という順序に固定せず、「何をすると読みにくくなるか」から相談します。形が整っている子にも書きづらさはないか、同じ観点で聞けます。

試している方法で痛みや嫌がる様子が出たら、最後までやり切らせることを優先しません。できた文字だけを見て成功とせず、負担も含めて続け方を見直します。保護者が気になる形をなくすことより、子が書く作業を続けられる条件を確かめます。手のつらさがある場面では、家庭の形の点検より、本人の訴えを伝える準備が先になります。

家庭では同じ文を写して確かめる

痛みがなく本人も試せるときは、同じ文を5分ほど写す場を設け、速さ・読みやすさ・手の疲れを見ます。この時間は家庭で観察するための目安で、研究から決まった練習量や合格基準ではありません。すでに読める短い文を選び、ふだんの鉛筆と紙を用意します。始める前に、持ち方の試験ではなく、どこが書きにくいかを一緒に見る時間だと伝えます。

最初は持ち方を変えるよう求めず、普段の様子を見ます。終わったら、写せたところまでを確認し、読みにくい箇所があるか子と読み返します。さらに、疲れを感じた場所と、始める前と終わった後の違いを本人に聞きます。書けた量だけを比べず、量は増えたが読みづらかった、読みやすいが疲れた、といった組み合わせも残します。

別の日に見直す場合も、文や道具をそろえておくと、どこが変わったかを話しやすくなります。持ち方の工夫を試すなら、本人の希望や学校での助言を踏まえ、何を変えたかも一緒に残します。うまく書けた日だけを選ぶより、書きづらかった紙も持っていくと、学校での様子と照らし合わせられます。この観察は順位を付けるためではなく、次に相談する内容を具体的にするために使います。

見直しの後は、読みやすさに困っているのか、時間が足りないのか、疲れが大きいのかに戻ります。困っていることがなければ、指の見た目だけを毎回点検する必要は薄くなります。形を合わせるほど手のつらさが増す子には、持ち方をそろえる練習を続けさせる理由はありません。

よくある質問

見本と違う持ち方でも、そのままでよいですか

「握りの型を比べた研究では差が小さい」の節で見たように、複数の握りが同じように機能していた比較があります。家庭では、本人や読み手が文字を読めるか、必要な作業を進められるか、疲れや痛みがないかを確かめます。形が違うという理由だけで直すと決めず、困りごとがあれば、書いた紙を使って具体的に相談する順序になります。

字が読みにくいときは、持ち方から直しますか

まず、どの場面で読みにくくなるかを分けて見ます。最初から判別しにくいのか、長く書いた後に崩れるのかで、学校の先生に伝えたい内容が変わります。本人にも読みにくい箇所を選んでもらい、持ち方に加えて、文字を書く練習の目的や量を相談すると、見た目の指摘だけで話が終わらず、取り組む課題を共有できます。

家では書けても、学校で書くのが遅い場合はどうしますか

家庭で写した紙と、学校で途中になったノートを並べ、どんな作業だったかを子に聞きます。見本を写すときと、自分で答えを考えて書くときは、課題の内容も違います。持ち方を原因と決める前に、写し始めるまでに困ったのか、書いている途中で止まったのかを学校の先生に伝えれば、授業での様子と家庭の観察を合わせて相談できます。

この記事の限界

測定されたものは書き写しの速さ、文字の読みやすさ、本人が感じる負担などで、学校の成績全体とは異なります。握りの比較は小学生が中心で、日本語のひらがなや漢字、中高生の長い記述を調べた研究は、この研究群に含まれません。

持ち方だけを直す効果を、くじ引きで組を分けて確かめた試験や、補助具の効果を示す研究も、この研究群にはありません。指先の器用さとの関連があっても、どの練習をどれほど行えば個々の子が改善するかまでは決まりません。家庭での観察は診断に使わず、書いたものと本人の負担を学校の先生や医師へ伝える材料として扱います。

参考文献

  1. Schneck CM. Comparison of pencil-grip patterns in first graders with good and poor writing skills. Am J Occup Ther. 1991;45(8):701-706.
  2. Lin YC, Hsu CH, Lin CF. Pen-grip kinetics in children with and without handwriting difficulties. PLoS One. 2022;17(6):e0270466.
  3. Schneider MK, Myers CT, Morgan-Daniel J. A Scoping Review of Grasp and Handwriting Performance in School-Age Children. Phys Occup Ther Pediatr. 2023;43(4):430-445.
  4. Chandrasekaran A, Gajendran R. Finger Dexterity and Pencil Grasp Patterns as Correlates of Handwriting Proficiency: A School-Based Cross-Sectional Analytical Study. Indian Pediatr. 2026;63(9):650-655.
  5. Schwellnus H, Carnahan H, Kushki A. Effect of pencil grasp on the speed and legibility of handwriting in children. Am J Occup Ther. 2012;66(6):718-726.
  6. Schwellnus H, Carnahan H, Kushki A. Effect of pencil grasp on the speed and legibility of handwriting after a 10-minute copy task in Grade 4 children. Aust Occup Ther J. 2012;59(3):180-187.
  7. Koziatek SM, Powell NJ. Pencil grips, legibility, and speed of fourth-graders’ writing in cursive. Am J Occup Ther. 2003;57(3):284-288.
  8. Dennis JL, Swinth Y. Pencil grasp and children’s handwriting legibility during different-length writing tasks. Am J Occup Ther. 2001;55(2):175-183.
  9. Donica DK, Massengill M, Gooden MJ. A Quantitative Study on the Relationship between Grasp and Handwriting Legibility: Does Grasp Really Matter? Journal of Occupational Therapy, Schools, & Early Intervention. 2018;11(4):411-425.
  10. Hoy MM, Egan MY, Feder KP. A systematic review of interventions to improve handwriting. Can J Occup Ther. 2011;78(1):13-25.

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見本と違う持ち方でも、そのままでよいですか

「握りの型を比べた研究では差が小さい」の節で見たように、複数の握りが同じように機能していた比較があります。家庭では、本人や読み手が文字を読めるか、必要な作業を進められるか、疲れや痛みがないかを確かめます。形が違うという理由だけで直すと決めず、困りごとがあれば、書いた紙を使って具体的に相談する順序になります。

字が読みにくいときは、持ち方から直しますか

まず、どの場面で読みにくくなるかを分けて見ます。最初から判別しにくいのか、長く書いた後に崩れるのかで、学校の先生に伝えたい内容が変わります。本人にも読みにくい箇所を選んでもらい、持ち方に加えて、文字を書く練習の目的や量を相談すると、見た目の指摘だけで話が終わらず、取り組む課題を共有できます。

家では書けても、学校で書くのが遅い場合はどうしますか

家庭で写した紙と、学校で途中になったノートを並べ、どんな作業だったかを子に聞きます。見本を写すときと、自分で答えを考えて書くときは、課題の内容も違います。持ち方を原因と決める前に、写し始めるまでに困ったのか、書いている途中で止まったのかを学校の先生に伝えれば、授業での様子と家庭の観察を合わせて相談できます。