武蔵境 塾えらびガイド武蔵野市・武蔵境駅周辺の学習塾を公式情報で比較

公開:2026年9月11日/最終更新:2026年11月1日

英語を早くから習うと国語の力は落ちるか|外国語の学習と母語の力の研究と英検

三者面談で国語の答案を広げ、子どもが記述欄の空白を指でなぞっています。Armstrong ほか(1997)は、外国語の授業を受けた子は、受けなかった子と比べて学力テストが同等かそれ以上だったと結論づけています。小学生のうちから英語や英検に時間を使うと、国語の力が育たなくなるのでしょうか。外国語を学ぶと母語の力が落ち続けるという見方は研究に支えられていませんが、授業の多くを外国語で行う教育には、一時的な後れを示す結果があります。

この記事の要点
  • 外国語の授業を受けた子は、母語の学力が同等か上回る研究があり、一律に低下する結果ではありません。
  • 外国語を選ぶ前の学力の違いを考慮する研究と、抽選を利用する研究では、比べ方が違います。
  • 授業の多くを外国語で行う教育では、初期の後れが後に解消した例があります。
  • 文章の読解が同程度でも、その土台となる言語の処理には差が残る場合があります。
  • 家庭では、英語と国語に使った時間、つまずきが始まった時期を並べて記録します。

英語を早くから習うと国語の力は落ちるか|外国語の学習と母語の力の研究と英検

三者面談で国語の答案を広げ、子どもが記述欄の空白を指でなぞっています。Armstrong ほか(1997)は、外国語の授業を受けた子は、受けなかった子と比べて学力テストが同等かそれ以上だったと結論づけています。小学生のうちから英語や英検に時間を使うと、国語の力が育たなくなるのでしょうか。外国語を学ぶと母語の力が落ち続けるという見方は研究に支えられていませんが、授業の多くを外国語で行う教育には、一時的な後れを示す結果があります。

母語とは、幼いころから身につけて使ってきた言語のことで、日本語を母語とする子にとって国語はその読み書きを学ぶ教科です。ただ、国語の答案に空白があることと、英語を習っていることが同時に見えても、それだけでは原因と結果は決まりません。研究にも、外国語の授業を加えた場合、教科を教える言語そのものを変えた場合、文章を読む力とその土台の働きを別々に調べた場合があります。「英語か国語か」という選択を急ぐ前に、何を学んだ子と何を比べた結果なのかを区別すると、成績の変化を読み解きやすくなります。

要点

  • 外国語の授業を受けた子は、母語の学力が同等か上回る研究があり、一律に低下する結果ではありません。
  • 外国語を選ぶ前の学力の違いを考慮する研究と、抽選を利用する研究では、比べ方が違います。
  • 授業の多くを外国語で行う教育では、初期の後れが後に解消した例があります。
  • 文章の読解が同程度でも、その土台となる言語の処理には差が残る場合があります。
  • 家庭では、英語と国語に使った時間、つまずきが始まった時期を並べて記録します。

英語の早期教育のデメリットを考える前に、授業の形を分ける

「早くから外国語を学ぶ」という言葉には、教科として外国語を習う場合と、その外国語で他の教科も学ぶ場合が混ざっています。後者のイマージョンは、授業の多くを外国語で行う教育です。外国語の授業を週に数回加える場合とは、母語を使う時間も、教科を理解するときに使う言語も異なります。ここで扱う研究の多くは、北米で英語を母語とする子が外国語を学ぶ教育や、移民の子を含む二言語教育で、日本語と英語の組み合わせとは違う学習環境です。

Armstrong ほか(1997)が比べたのは、小学3年生に週3回、30分ずつスペイン語を教えた組と、外国語を教えなかった組です。読み・算数・母語の言語の学力テストでは、外国語を習った組が同等かそれ以上でした。授業の時間を外国語に振り向けると他の学力が下がる、という懸念に対し、この比較では低下する結果は出ていません。抄録は短く、参加者数や組の分け方が記されていないため、結果の細かな条件は不明です。

この区別をすると、同じ「外国語を習う子」の結果でも、どこまで共通した問いに答えているかが見えてきます。外国語の授業を加える比較は、時間配分を変えたときの学力を扱います。イマージョンの比較は、教科を学ぶ言語を含めた教育課程全体の違いを扱います。

学び方 比べた相手 主に確かめる違い
週に数回の外国語の授業 外国語の授業を受けない子 外国語を学ぶ時間が加わったときの母語や他教科の成績
授業の多くを外国語で行う教育 通常の母語による教育を受ける子や、抽選に外れた子 教科を学ぶ言語も変えた教育課程での成績

母語の成績が高い子は、外国語の効果で伸びたのか

Taylor ほか(2010)は、米国ルイジアナ州の公立小学校で、外国語を続けた子と習わなかった子の学力を比べています。小学4年の州の学力テストでは、外国語を学んだ子が、母語の英語・算数・理科・社会のすべてで上回りました。母語の言語のテストでも、調べた各学年で外国語を学んだ子が上回る結果でした。「外国語のために母語が育たない」という単純な見方とは合わない結果です。

ただし、この研究は、くじ引きで外国語を習う組を決めた実験ではありません。外国語を選んだ子が、もともと成績上位だった可能性を除けないという、選抜の偏りがあります。ここでいう偏りとは、学び方の影響を測りたいのに、学ぶ前からある子どもどうしの違いも結果に混じることです。外国語を習った組の点が高かったという観察と、外国語を習ったために点が上がったという因果関係には、隔たりがあります。

Schuster(2005)は、米国カンザス州の学区で、外国語の授業を受けた子と受けなかった子について、小学2年の学力テストの点で初めの違いを調整し、小学6年の成績を比べています。調整とは、出発点の点数の違いを考慮して比べる処理です。その結果、母語で測った学力に統計的に有意な差はありませんでした。統計的に有意とは、偶然のばらつきだけでは説明しにくい差と判断された、という意味です。

この結果は、外国語を習えば母語も伸びるという期待にも、外国語に時間を回せば母語が下がるという心配にも、一律の支持を与えていません。Taylor ほか(2010)と結論が異なる点は、外国語の有無だけでなく、比較前の学力をどう扱ったかという違いとともに読む必要があります。また、有意な差がないという結果は、全員がまったく同じ伸び方をしたという意味ではありません。組として明瞭な差が出たかという問いに対し、この比較の答えは「差が出なかった」です。

抽選を利用した比較でも、読む力は上回っていた

外国語を選ぶ子の特徴が結果に混じる問題に対し、入学の抽選を利用した研究があります。希望した子の中で抽選に当たった子と外れた子を比べれば、希望する家庭と希望しない家庭をそのまま比べる場合の偏りを避けやすくなります。希望したという条件を共有した子どもの間で、教育を受ける機会の有無が決まる点が特徴です。学び方の違いと、もともとの学力や家庭の違いを切り分けるうえで、単なる在籍者どうしの比較から前進しています。

Steele ほか(2017)は、米国の大都市の学区で、二言語イマージョンの抽選に当たった子と外れた子の成績を比較しています。小学5年と中学2年に当たる学年の英語の読みでは、抽選に当たった側が、標準偏差の13%〜22%上回りました。標準偏差は点数のばらつきの大きさを表す物差しで、この数値はテストの正答率が同じ割合だけ上がったという意味ではありません。算数と理科での利点は小さかったものの、不利な結果もありませんでした。

この研究の対象には、英語を母語としない子も含まれています。そのため、英語の読みの結果は全員にとっての母語の結果というわけではなく、学校で使う英語の力を測った結果でもあります。読みで上回り、算数と理科では利点が小さいという違いも、測った教科ごとの結果です。外国語を使う教育の効果を、どの教科にも同じ大きさで期待する読み方には合いません。

Morales(2025)も二言語イマージョンへの抽選を利用し、英語を母語とする小学1〜4年の子の成績を比べています。抽選に当たった子は、母語の読みで0.12標準偏差、算数で0.14標準偏差上回り、差は小学1年から現れました。対象を英語が母語の子として見ると、教育の初期から母語の読みで有利だった例です。抽選を用いた比較でも読みの利点が見られたため、外国語を選んだ子のもともとの成績だけで、有利な結果のすべてを説明するのは難しくなります。

一時的な後れが出た研究は、いつ測ったのか

イマージョンで母語の読みが上回る研究がある一方、初期には後れが出た例もあります。Turnbull ほか(2003)は、カナダ・オンタリオ州の学力テストを分析しています。フランス語イマージョンの子は小学3年では通常の英語の教育課程の子に後れていましたが、小学6年では読み・書き・算数で同等かそれ以上でした。学年によって比較の結果が変わっているため、低学年での差だけを長期的な損と読むと、この推移を取り落とします。

反対に、後の学年で追いついた結果だけを取り上げても、途中の後れが見えなくなります。この研究は、外国語で教科を学び始めても、その時点から母語の学力がずっと同じ速度で伸びるという結果ではありません。途中で通常の教育課程に後れる時期と、同等以上になる時期が、同じ報告の中にあります。一時的な後れと、母語の力が長く損なわれることは、分けて扱うべき結果です。

また、後から成績がそろった理由として、成績の低い子がイマージョンをやめた可能性も検討されています。Turnbull ほか(2003)では、弱い子が抜けたため残った子の成績が高く見えた、という説明への支持は乏しい結果でした。つまり、残った子だけがよくできたから追いついた、という読み方にも十分な裏付けはありません。後れが解消したという観察と、その理由をどこまで説明できたかは別の問題です。

Morales(2025)では初期から読みの有利さが出ており、イマージョンならどこでも同じ経過をたどるわけでもありません。比較した教育課程や対象が異なる研究を、全員に共通する成長の予定表として重ねることはできません。初期の後れが起きる例と、初期から上回る例が並んでいる点に、この教育の結果の幅が表れています。

読解の点が同じでも、言葉の処理まで同じとは限らない

Hansen ほか(2017)は、外国語イマージョンで学ぶ子と対照の子について、文章全体の読解だけでなく、その土台となる働きを分けて調べています。対象は7〜14歳の144人で、イマージョンの子が72人、対照の子が72人でした。文章の内容を理解する読解の成績には組の差がありませんでしたが、言語の処理の成分ではイマージョンの子に後れがありました。記憶や推論に関わる成分では、逆に上回っていました。

言語の処理の成分とは、読解を支える言葉の扱いに関わる個別の働きのことです。文章全体の内容を問うテストと、その土台にある働きを調べる課題では、見ているものの大きさが違います。研究者は、土台の働きの一部で生じた損を、別の働きの利点が補っている可能性を、読解に差がなかった理由として挙げています。読解の点が同じという結果と、言語の処理で後れた結果は、互いを打ち消す記述ではなく、測定した側面の違いです。

この比較は、同じ時点で異なる組を調べる横断研究です。個々の子について、入学前からの言葉の処理の変化や、後れが解消するまでの道筋を追った研究とは異なります。全体の読解では差がなく、内訳には得手不得手の違いがあるという結果が中心です。読解の総合点だけで言葉の働きのすべてを代表させると、こうした内訳が隠れます。

母語に負担がないかという問いも、文章を理解する成績を指すのか、その途中の言葉の処理を指すのかで答えが変わります。読みの成績が保たれている例を、言葉の処理の後れまで存在しない証拠とするのは適切ではありません。同時に、処理の一部で後れがある例を、文章の読解全体が下がった証拠として扱うのも、この研究の結果と食い違います。母語への影響を読むには、テストが何を測っているかまで含めた区別が求められます。

家庭で英語と国語の時間を確かめる手順

実際に予定を見直すときは、英語をやめるか続けるかを決める前に、時間の使い方を記録します。英語や英検の勉強、国語の宿題、読書に使った時間を、週の予定に沿って書き出します。授業に出ていた時間と、その後に課題へ取り組んだ時間も分けると、どこで予定が詰まったかが見えます。記録は子の努力を採点するためでなく、勉強どうしがぶつかる箇所を探すために使います。

たとえば、英語の課題が終わると就寝の支度になり、日本語の本を開く余裕がなくなるなら、追加する課題の量が今の生活に合っていない可能性があります。国語の宿題が毎回後回しになる子にも、学習量をさらに増やす計画は向きません。その場合は、英語の課題を置く時間や量を調整し、国語に取り組める時間を予定の中へ戻します。これは記録に基づく予定の調整であり、外国語そのものが国語を損なったと決める作業とは違います。

国語のつまずきが英語を始める前から続いているなら、過去の答案と今の答案で共通する箇所を探します。漢字を書けない場合と、文章を読んでも理由を説明しにくい場合では、確認したい課題が異なります。困りごとが続くときは、その箇所と学習時間の記録を学校の先生や塾の講師に示し、国語で何を確かめるかを話し合います。本人の様子を抜きに、英語を早く習うと国語が育たなくなるとは決めつけられません。

よくある質問

英語を習っていれば、国語の成績も上がりますか

一緒に上がると約束できる結果ではありません。通常の外国語授業を扱った節で示したように、母語の学力が高かった比較も、出発点の学力を考慮すると差がなかった比較もあります。外国語を学んだ組の点が高いことと、外国語によって母語の点が上がることは区別されます。抽選を利用したイマージョンの研究は読みの利点を示していますが、教科を学ぶ言語も変える教育課程の結果です。

イマージョンで母語に後れた子は、そのままですか

今回の研究には、初期の後れが後の学年で解消した例があります。一時的な後れを扱った節の比較では、通常の教育課程に追いつき、同等以上の成績になっていました。一方で、別の教育課程を扱った研究では初期から読みで上回っており、経過は一様ではありません。前者の結果は、途中の後れを消してよい理由でも、個々の子が同じ時期に追いつくという保証でもありません。

読解の点が変わらなければ、母語への影響はないですか

総合的な読解の点だけで、言葉に関わる働きがすべて同じとは判断できません。読解の成分を調べた節では、言語の処理に後れがある一方で、記憶や推論の利点が補っている可能性が示されています。反対に、処理の一部に後れがあっても、文章全体の読解が低かったわけではありません。どの課題でどのような違いが出たかを区別すると、「影響がある」の中身を具体的に捉えられます。

この記事の限界

当てはまる範囲は、主に北米で英語を母語とする子の外国語学習や、移民の子を含む二言語教育であり、日本の国語の授業とは学ぶ内容や使う言葉が異なります。英語と日本語のように文字も文法も遠い言語どうしを確かめた研究は今回の範囲になく、この組み合わせでの影響は未検証です。授業の多くを外国語で行う教育と通常の外国語授業が混在し、追跡する学年も異なるため、結果は同じ学習量の比較ではありません。

母語を学ぶ時間を減らしたときの損を直接扱う研究は少なく、読みのテストだけでは日本語の漢字や作文まで評価したことにはなりません。英検の勉強時間と国語の成績の関係を直接測った研究は今回の範囲になく、英検の準備が国語に響くかという問いは未解決です。

参考文献

  1. Armstrong ほか. Basic Skills Revisited: The Effects of Foreign Language Instruction on Reading, Math, and Language Arts. Learning Languages. 1997.
  2. Taylor ほか. Academic Achievement Through FLES: A Case for Promoting Greater Access to Foreign Language Study Among Young Learners. The Modern Language Journal. 2010;94(1):22-42.
  3. Schuster. Did a Foreign Language in the Elementary Schools (FLES) Program in a Kansas School District Affect Students’ Academic Achievement in English? Foreign Language Annals. 2005;38(3):344-356.
  4. Steele ほか. Effects of Dual-Language Immersion Programs on Student Achievement: Evidence from Lottery Data. American Educational Research Journal. 2017;54(1_suppl):282S-306S.
  5. Morales. Dual Language Immersion Programs and Student Achievement in Early Elementary Grades. Educational Evaluation and Policy Analysis. 2025;47(2):616-623.
  6. Turnbull ほか. Grade 6 French Immersion Students’ Performance on Large-Scale Reading, Writing, and Mathematics Tests: Building Explanations. Alberta Journal of Educational Research. 2003;49(1).
  7. Hansen ほか. Reading comprehension and immersion schooling: evidence from component skills. Developmental Science. 2017;20(1).

通知表の数字の手前で止まっている一問から、講師と二人で始める。

  • 向く人: 内申が気になり始めたのに、どの教科のどこで止まっているのかを、子も保護者も言葉にできていない中学生
  • 向く人: 通塾の日だけ机に向かい、ほかの日の学習習慣が続かないことを、授業の中で一緒に組み直したい家庭
  • 向かない人: 英検や内申の結果を、通う回数を増やすことだけで変えたいと考えている家庭
  • 向かない人: 一人の講師と向き合うより、大勢と競い合いながら速い進度で先へ進みたい人

このサイトは武蔵野個別指導塾の運営者が制作しています。武蔵境駅から徒歩30秒、講師が一人の生徒に付きっきりの完全1対1で、大学教員や東京大学・早稲田大学・慶應義塾大学の大学院生などが教えます。アルバイト講師はいません。

武蔵野個別指導塾の英検対策案内

よくある質問

英語を習っていれば、国語の成績も上がりますか

一緒に上がると約束できる結果ではありません。通常の外国語授業を扱った節で示したように、母語の学力が高かった比較も、出発点の学力を考慮すると差がなかった比較もあります。外国語を学んだ組の点が高いことと、外国語によって母語の点が上がることは区別されます。抽選を利用したイマージョンの研究は読みの利点を示していますが、教科を学ぶ言語も変える教育課程の結果です。

イマージョンで母語に後れた子は、そのままですか

今回の研究には、初期の後れが後の学年で解消した例があります。一時的な後れを扱った節の比較では、通常の教育課程に追いつき、同等以上の成績になっていました。一方で、別の教育課程を扱った研究では初期から読みで上回っており、経過は一様ではありません。前者の結果は、途中の後れを消してよい理由でも、個々の子が同じ時期に追いつくという保証でもありません。

読解の点が変わらなければ、母語への影響はないですか

総合的な読解の点だけで、言葉に関わる働きがすべて同じとは判断できません。読解の成分を調べた節では、言語の処理に後れがある一方で、記憶や推論の利点が補っている可能性が示されています。反対に、処理の一部に後れがあっても、文章全体の読解が低かったわけではありません。どの課題でどのような違いが出たかを区別すると、「影響がある」の中身を具体的に捉えられます。